悠久の王は──4
「いらっしゃいタケくん、ユミちゃんにマドカちゃん...ついでにケン坊も」
ジトっとした目付きで睨むとケンはたじろぎながら、ついでと言ったことに対してムッとする
「ついでってなんだよ!」
神父がため息を1つ吐き、まあ良いと話を置いた
「で、今日は何の用だ。またシスターを口説きに来たか?それともシスターに求婚しに来たのか?」
「なんでそんなんばっかりなのよ...」
「シスターにステータス見てもらいに来た!」
この世界の管理システムに組み込まれている個人の身体情報を覗き見る魔法、通称鑑定魔法を使える才のある人は非常に少なく、城下町に十数人居れば多い方なので行使してもらうにはとても高い対価を払わなければ行けないのだ。
そして高価なのにはまだ理由がある
とても繊細な魔力操作に加えて膨大な魔力消費、そして様々な利権が重なっていて、とても子供に使うなんて誰も思わない
なのでここでの返事はただ1つ
(一昨日来やがれ)
となるのだ
だがここにいるシスターは一味違ったのだ
「あらあら、では合言葉は?」
「バレなければ犯罪じゃないんですよ」
これである
「では懺悔室へどうぞ」
「わーい懺悔懺悔!」
懺悔室は1人の人間としてではなく、1匹の生物として神に自らの誤ちを告げる場所
ならば利権なんて言う人間の言い訳は一切通じないという暴論の末、秘密裏にステータス確認ができるのだった
「...ふぇぇ」
「いつか絶対バチが当たるわよあいつ」
「俺はしーらね」
「わーしも」
「ちゅう...」(私も知らんぞ...)
──懺悔室
普段はひとつ壁を隔てた2つの個室にそれぞれはいるのだが、ステータスを確認するには背中の中心に手を置かなければならない
必然的に狭い個室に2人入ることになり、ケン少年はシスターの膝の上に座らされている
「では、ステータスを確認しますね」
「お願いしまーす」
─名前─
ケン
─ステータス─
HP_125
MP_30
筋力_13
防壁_16
器用_14
速度_19
運命_ æ–‡å—
スキル
運命操作
剣術
_スラッシュ
─賞罰─
なし
称号
なし
「あら、スラッシュが使えるようになったんですね」
「ほんとに?!やっぱ運命背負ってる男ってのはすげーんだな!」
「うふふ、そうですね。やっぱり男子たるもの、運命を背負ってなんぼですよ。誰にも言ってませんよね?」
「おう!シスターとの約束だもん、墓まで持ってくって言ったろ?」
「それでは、今後とも頑張ってくださいね」
──見なかったことにする