雑な転生2
「このっ!この!このこのこのこのぉ!」
ぴちゃぴちゃとスライム体が叩かれる度にプルンプルンと震える
何だこの少年、一生懸命ハンマー振り下ろして可愛いな
だが少年よ、なんだその巨大なハンマーは。打撃部分が君の胴体ぐらいあるんじゃないか?
ズドンズドンと音が変わる
おっと、ぼーっとしてたら体が地面に埋まってしまったようだ
「よっこいしょっと」
窪んだ地面から体を引き抜き少年を見やると、後ろに腕を組んでるおじさんがいることに気がついた
「うわっわわ!まだ生きてる!」
「おーい坊主、あんだけ振り下ろして死なねーわきゃねーだろー?」
「生きてまーす」
1本の触手状に伸ばした部分を振って主張すると少年がさらに発狂しそうになる
「生きてるってよ?!こいつ死なないしなんか喋ってる!おかしいって絶対!」
むっ、失礼な
「俺おかしいスライムじゃないよー?」
「ほーん?売ったらいくらになるかなこいつ」
後方腕組みおじさんが話しかけてきた
うんこ座りをしてこちらを見下ろすおっさんは片目が潰れているのか、眼帯をしていて威圧感が半端ないな
「なんでそんな冷静なの!?やっぱ頭のネジどっかに落としてんじゃねーかおっさん!!」
「世界で1番ユニークだって自信あるぞ?ドヤァ!」
プルンッと1震えしてドヤる
「なるほどなるほど。例えばどんなとこがユニークなんだ?」
「意思疎通が取れるとことか!」
「他に12体ぐらい話のできる魔物がいるぞ」
「そん...なに?!」
「そのうちの一体が俺の友人だ」
「世界って狭いな」
「ホントな」
おっさんがスライムをズンムと鷲掴みにして少年の頭に乗せると、少年に次に行くぞと指示する
「あ、おいオッサン!」
「うわっ急に走るなよ、落ちるかと思ったわ」
「なんでお前は順応してんだよ!僕がおかしいのか?!」
「そうだよ」
適当に返事をして少年から落ちないようヘルメットの形になる
おほー、体の感覚が人間の時と違うのに気にならない!
これも神様のおかげかな?
「うわっ!首締める気か!?」
「ヘルメットはしっかり被らないと意味ないんだぞ!」
「それヘルメットだったのか?!クソだせーな!」
「お?なら角とかつけちゃう?」
ニョキっと小さな角をつけてみる
「もっとダサくなるわ!」
「おーいヘルメット坊主!遅れてんだからくっちゃべってねーで早く来い!」
いつの間にか話されていた後方腕組おじさんに
「うるせぇ!遅れたのはこいつのせいだろ!」
「教官相手に暴言、減点1万」
「100点満点だろ!?」
「教官のジョークに乗れなかった、罰金1万エソ」
「理不尽すぎるわ!」
「はっはっはっはっ」