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悠久の王は──3

ううっ...ここは...?


握りつぶされて気絶していたハムスターが目を覚まし起き上がろうとする

しかし妙に狭い空間に押し込まれているせいでしばらくモゴモゴと奮闘していると頭上から風が吹き込んだ


「ちゅ?」

「あ、ハムスターが起きた」


少々小太りな少年がポケットの中を覗きこんできた

人の顔を下から見るとどうしてこうも不細工に見えるのだろうか

少々チビってしまったではないか


「ちょっと大人しくしててね。元気になったら王様の口に戻してあげるから」


(王様の口...?)


謎の名詞に疑問を抱く


何かの通称だろうか


「しっ...ついさっきゴブリンがウンコしたみたいだな。近くにいるぞ」


どうやらこの少年たちは木の穴から見えた4人組のようだった


「おびき寄せて殺るか?」


「そうね。前にやった時はマドカがサンドスプラッシュで目を潰したら2人が殺してって感じよね」


「うん。ユミちゃんが見落とした分で怪我しそうになっちゃったやつだ」


「保護色で隠れてたのよ...!」


「ああ、あれは仕方ねーよ。大人でも見つけらんねーって」


なんとも不安になる作戦会議だ

ユミと言う少女が木に登り始め、小太りな少年がゴブリンの悲鳴ような鳴き声を森にひびき渡らせた


数十秒もしないうちに息を切らせながらゴブリンが全力疾走でこちらに走ってきた

なるほど、なかなか狡猾な少年たちだ


「ギギャー!ギギギャー!」


「ぎぎゃー...」


木の幹に隠れた小太りな少年が今度は力ないゴブリンの掠れたような声を出すとゴブリンが近寄ってくる


「サンドスプラッシュ!」


「ギャァァァァ!!」


たまらずといったゴブリンは目を擦りながら片手をブンブンと振り回す

そこを小太りな少年が盾で突き飛ばし、馬乗りになるとカーブがかかった短剣で喉を掻っ切った


「よし、まずは1匹」


「村の方角からゴブリンが来た!」


ジタバタと暴れていたが、すぐに息絶えた

それと同時にユミ少女から敵襲が知らされる


指示された方角にはゴブリンが弓矢が腕に刺さったのをものともせずに狂ったように走ってきた

どうやら仲間を殺されたのを相当怒っているようすだった


ゴブリンが飛び込み攻撃を仕掛ける


「せいっ!」


しかし茂みに隠れていた剣士が横から首を一刀両断

全くの余裕で完勝したのだった


「ふぅう!ここまで綺麗に切れたの初めてだ!」


目をきらきらさせてゴブリンの頭を掴み上げる

ユミが切り口を観察するととても綺麗な切り口に目を見開いた


「あらまぁ綺麗な切り口。スラッシュ見たいね」


「マジで?!とうとう俺にもスキルが!!!」


「じゃあケンちゃんも大人の仲間入りだね」


「おっしゃ!シスターに見てもらおう!」


とても興奮した様子の少年たちはゴブリンの耳を削ぎ落とし村へ帰還した


村長の人選は完璧だったと言えるだろう





「シスタァァァァァァ!!!」


っバァァァン!!


勢いよく扉を押し開け走っていく少年は一目散に奥へと走り出す


「やめろとぉ...」


神父がロザリオを握り神像に祈りを捧げている

彼はとても温厚な性格で滅多に焦ることは無く、暇な時には村中を散歩するのが趣味である


「言っとろうがァァァ!!!」


「うごぇぇぇぇっ!!!」


そんな神父がキレた

それはもうキレ散らかした

綺麗なラリアットで少年の首を攻撃したのだ



「教会の扉をだァれが直しておると思っている!薪を割って小遣いを貯めて家でゆっくり本を読むのが人生の楽しみにしているのにお前のせいで工具を買って扉を直すことしか出来んわ!何回直した!?わしは一体何回扉を直したァ!!言ってみろぉ!!」


ケンが咳き込みながら仰向けから起き上がる


「じゅ、10回ぐらい...?」


「13回じゃボケェ!!」


神父が手首と胸ぐらを掴み起き上がらせる勢いを利用して今度は巴投を仕掛ける


「うわぁぁぁいだァ!!」


「わしの懐はミミッキュすら寄り付かんわいい加減にしろ!!」


「ちゅう...」

(13回も壊してるのか...)

──少年に呆れる

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