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悠久の王は──2

「なぁ、ほんとに王様の大木にゴブリンがいたのか?」

「ホントだよ。じいちゃんとポカポカ草摘み来た時に見たんだって」


当たりを見渡しながらざわめきの森の中を進む齢16程の少年少女達

彼らは村の危険を自分たちで退けるために作られた自警団の4人である


「1匹だけだといいんだけど...」

「そうね〜何匹もいるとかマジだるいんだけど」


彼らはそれぞれ【剣士】【盾士】【弓士】【魔道士】と攻撃に特化したパーティでゴブリン討伐に乗り出した


1匹程度であれば剣士と盾士が居れば事足りることから、残念ながら複数体いると睨んでの編成だ


「うーん...足跡が滅茶苦茶で何匹いるかもよく分からないや」

「何か探してるような感じだけどネズミでも見つけたのかな?」

「なになに〜?なんか見つけた?」


盾士が弓士に状況を伝えると彼女は目の前にある王様の木を見上げる


「上からゴブリンが見えないか確かめるわね!」


そう言うなりスルスルと登り始めた


「あ!危ないよー!」

「へ〜きへ〜き!...うわっ!」


魔道士が注意したが弓士はそのまま登り続ける


口の穴に手をかけ、次は目の部分をと見上げ──ズルり


と足を滑らせた


「わっわわわわわ!掴ん...きゃぁ!!」


その時、必死に穴の中の何かを掴んだが、不運にも固定されていないものだった


このまま硬い地面に落下すると身構えたが


「「ヨイシォ!!」」


「きゃっ!」


何となくこうなることを予想していた剣士と盾士の2人が下で待機していたおかげで、間一髪助かった


「トゥンクっ」

「口で言うな」

「その減らず口を縫ってやろうか?」

「何よ〜!カッコイイのは行動だけね!」


その場に立たされた弓士は手の平を握りしめ文句を垂れると「ぢゅぅ!!」という鳴き声が聞こえた


魔道士が弓士の手に握られているものに目を向け、慌てて弓士に話しかける


「ねぇ!ハムちゃん潰しちゃうよ!」

「え?──あ」



その手にはぐったりとしたハムスターが

幸いにも内蔵が出ると言った大惨事には至っていないようだった


「あらら、縁起悪いな」

「王の口から獲ることなかれってこの事だったよな、確か」

「え、どういうこと?」


古くから村にある言い伝えは曲解や略が入り、詳しく知る物は少なく、ほとんど意味を生していなかった

しかし剣士はそういった謎を解くのが唯一の楽しみにしていた為、得意げに説明しだした


ざわめきの王となる木

かの口からモノを取ることなかれ

モノの名前になぞられて

不届き者に呪いをかけん


「たとえばハムスターならハムとスター、つまり2つの呪いがお前に降りかかるってこった」


「ええ?!ど、どうなっちゃうの?」


剣士はそうだなと一拍置くと顎に手を添えてニヤリと笑う


「まず1つ目がハムを食えなくなるかな?」

「...はぁ?なーんだ、ハムなら元々食べないし」


呆れたように弓士がそうごちると剣士はニヤリとして刻まれた皺をさらに刻む


「もうひとつが願い事が叶わなくなる」

「はぁ?!なんでスターが願い事...あぁ!流れ星!」

「そういうこと〜残念だったな〜痩せたいって願いは永久にウグォッ!!」


最後まで言わせまいと剣士のみぞうちにボディブローをめり込ませると剣士は物言わぬ物体と化した


「さて、ゴブリン探すわよ」

「ハムちゃんどうするの?」

「元気にして口に返せば問題ないわよきっと。ほら行くわよ」


ポケットの無い服を来ていた弓士は盾士の胸ポケットにハムスターを居れてさっさと歩き出す


「...さすがにこいつを置いてけないぞ」

「チィッ!!」

──握りしめられる

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