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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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無詠唱魔法、習得しました!!

 

「だから~、『グロースバジリスク』を倒したのはシロ君だね~」


「「「「え?」」」」



 スノーちゃん達を見る。なんか信じられない物を見るような顔で僕を見つめている。え? 僕を騙して調子に乗らせようとかじゃなくて本気でこの蛇が『グロースバジリスク』?


「シロってそんなに強いの!? っていうかどうやって倒したの!?」

「……すごい……」

「低級の風魔法を唱えてたのは聞こえたけどまさかそれで?」



「そうですよ~。シロ君は強いんですよ~? ……ところでイリちゃん? さっきのシロ君の魔法で気づいたことはない?」


「気づいた事……そういえば詠唱がなかった」



 あー、そういえば詠唱をど忘れしちゃって適当に魔法を使っちゃったなぁ。やっぱりまずかったかな? これなら素手で倒したほうが良かったかな?



「うんうん。詠唱がなかったよね? という事は~――」


「まさか……無詠唱魔法!? それもグロースバジリスクを瞬殺できるレベルでの!?」


「そう言う事。シロ君が使ってるのは無詠唱まほ……え?」



 なんだってぇ!?

 いつの間にか僕は無詠唱魔法を習得していたのか!?

 だから詠唱内容を忘れちゃっても魔法が発動したんだね! 納得だよ。



「シロってそんなに凄い魔法使いだったんだ!?」

「……シロ君は……すごいね……よし……よし……」

「あんな低級魔法を無詠唱で発動してあの威力……もう化け物クラス」



 ミコトに頭を撫でられながら僕は考える。僕の魔法がそんなに凄いものだったなんて……いや、うぬぼれちゃだめだ。これもすべては――



「凄いのは僕じゃないよ。僕に魔法を教えてくれたナギ先生こそが凄いんだよ!! 言っておくけどナギ先生は僕なんかよりもよっぽど凄いし強いんだよ!!」


「え!?」


 ナギ先生の凄さをアピールすると一番早く反応したのはナギ先生だった。なんだか信じられない物を見るような顔でこっちを見つめているけど……あ、そっか。



「シ、シロ君~? ちょぉっと話を……」


「すみませんでした先生! ごめんねみんな。さっきのは間違いだったよ。ナギ先生はこの銀河系で一番凄くて強い魔法使いなんだよ!!」

 

「シロくぅん!?」



 ナギ先生を僕なんかと比べてしまうなんて……ナギ先生が怒るのも無理ないね。



「「「ナギ先生すごい……」」」



 うんうん、どうやらスノーちゃんたちもようやくナギ先生の凄さの片鱗を知ったみたいだね。でもナギ先生は多分君たちが思っている三十倍は強いし凄いんだよ!!




「あ゛~~~~~、シロ君だけにとどまらずスノーちゃん達からの誤解も止まらない~~~。シロ君が使ってるのが魔法じゃないっていう事をみんなの口から伝えてほしかったのに……まさか無詠唱魔法と間違えちゃうとは。うーー、これじゃますます誤解が進むばっかりだよ~」



 何やらナギ先生が小さな声でぶつぶつ言っているけど良く聞こえない。まぁナギ先生の事だ。きっと僕じゃ考えもつかない事を考えているんだろう。邪魔はしないでいたほうが良いね。


 そう思って視線を先生から逸らす。その先には赤く毒々しい雑草がいくつか生えていて――ん? 赤い雑草?



「これかーーーーーー!!」




 僕はダッシュで赤い雑草の元まで走る。目立つ赤い色の雑草。これがちゆちゆ草か!?

 見れば辺りには似たような赤い雑草がいくつも生えている。採取する本数は最低十本だったはずだから、余裕で足りるだろう。



「どうしたのシロ? って赤い雑草――もしかしてこれが」


 遅れてきたスノーちゃんも赤い雑草に気づいたみたいだ。きっとこれがちゆちゆ草だろう。後はこれを持ち帰ればクエスト完了だね。


「……これ……ちゆちゆ草じゃないよ?……」

「「え?」」


 スノーちゃんの後ろからミコトが姿を現しそんな事を言う。確かイリちゃんの説明ではそこらへんの雑草とあまり変わらない形の赤い草こそがちゆちゆ草との事なんだけど……。他にも特徴があるんだろうか?



「……このちゆちゆ草……かわいくない……にせもの……」

「ミコト姉ミコト姉。それがちゆちゆ草で合ってる。勝手に偽物認定しないで」

「……イリちゃん……でもこの草……かわいくないよ?……」

「ちゆちゆ草が可愛い草だなんて私、言ってない。あの赤黒い草で合ってる」

「……むぅ……」


 と、ミコトは不満そうに頬を膨らませる。

 ――って勝手にミコトが偽物扱いしてただけじゃないか!! 確かにちゆちゆ草は黒寄りの赤々しい色をしていて。お世辞にも可愛いとか綺麗とは思えない。見た目的にはどっちかというと不気味にカテゴライズされるだろう。



「まぁ、後はこれをギルドに持ち帰ればクエスト達成だね。それじゃあ帰ろうか? いいですよね? ナギ先生?」


 このパーティーのリーダーはナギ先生だ。このまま行くも進むもナギ先生次第。ナギ先生が進めと言えばたとえ先が剣山だろうと進むし、退けと言うなら目の前に宝石の山があっても退く。それこそがこのパーティーの掟だ。(多分)


「目的の物が見つかったならさっさと引き返したほうがいいと思う。この森に長居は危険。何が起こるか分からない」


 しかし、答えたのはナギ先生ではなくイリちゃんだった。この森が危険?


「でもこの森ってE級の魔物くらいしか出ないんじゃ……あ、でもA級のグロースバジリスクが出てきたか。あれ? どゆこと?」


 事前のイリちゃんの説明ではここはE級の魔物と普通の動植物しか居ないという話だった。それなのになんでA級のグロースバジリスクが出てきたんだろう?



「このハプニンの森は原因不明の事態が稀に起こる森。だからこそあんまり人気がない。初級者の冒険者にとっても危ないし、上級者の冒険者にとっても割の良い魔物と会えるかは運次第だから」


 ………………………………………………


 その説明を聞いて辺りには静寂が訪れた。僕たちはお互いに顔を見合わせて、最後にイリちゃんの顔をまっすぐ見て言った。


「「「それを先に言って(よ)!?」」」

「……イリちゃん……うっかりやさん……」



 まぁなんやかんやでクエスト達成。僕たちはギルドに戻ることになった。


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