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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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魔物はどこですか!?


「ここがハプニンの森……まぁ何かを期待していた訳じゃないけど普通の森だなぁ」


 僕を含んだパーティー五人がハプニンの森へと入ってから約五分。特に異常は無いし、ちゆちゆ草もまだ見つけることができていない。

 


「ねぇねぇイリちゃーーーーーーん!! どっこにも魔物なんていないよー! どうなってるのよもーーーーーーー!」


「ま、魔物は――少数――だけって――言った――スノーねぇ――はなじて――苦しい」


 何の異常もないことが不満なのか、スノーちゃんはイリちゃんの首根っこを掴んでガクガクと揺さぶっている。基本無表情なイリちゃんもさすがにキツそうだ。

 さすがにそんな状況を見かねたのか。二人の友人でもあるミコトはスノーちゃんが動き出す。


「……スノーちゃん……めっ」

「あいたぁっ!?」


 ミコトはどこから取り出したのか。鋭利な刃をさやから抜いてスノーちゃんへと叩きつけていた。



「うぇえぇぇぇぇぇぇ!?」

「あらまぁ」



「ちょっまっ何やってるのミコトぉ!?」


 いくらなんでも仲間に、というか友達にやっていい事じゃない。


「……??? ……」


 ミコトは何で怒られているのか本気で分からない。という表情を作ってすぐ、自らの手をポンと叩いて納得の顔。そして自慢げな顔で言った。



「……だいじょーぶ……みねうち……ぶい……」


「そういう問題じゃないし誇る問題でもないからね!?」


 どうやら刃のない部分で殴ったみたいだけど、それでも危ない事には変わらない。仲間にすることではないと思う。



「もーーー、痛いよミコトぉ」


「……低級のクエストでも油断はめっ……気を抜いちゃ……ダメだよ?」


「うっ」


 ぐぅの音も出ないのか。スノーちゃんはミコトに何も言い返さなかった。「う~~」としばらく唸った後スノーちゃんは脱力して、


「ごめんなさい」


 と、素直に頭を下げていた。


「……うん……よし……よし……」


「えへへ」


 その態度に満足したのか。ミコトは頭を下げたスノーちゃんの頭をなでなでしていた。撫でられる側のスノーちゃんも顔は見えないけど嬉しそうだ。


 思いついたことは即実行。前に向かって全力疾走のスノーちゃん。

 マイペースで掴みどころのないお姉ちゃん(自称)のミコト。

 ミコト以上に掴みどころのない不思議系少女のイリちゃん。


 意外とこの三人はこれでまとまっているのかもしれないなぁと僕は思った。リーダーシップを取るスノーちゃん。そんなスノーちゃんが暴走した時にはお姉さん(自称)のミコトがきちんと注意する。そんな二人に自分の知識を提供するイリ。全員タイプが全然違うけど、いや、違うからこそうまく行っているのかもしれないね。



「ん?」




 その時、僕の知覚できる範囲に異物が紛れ込んだ。

 視認出来る範囲には居ない。僕が展開していた探知魔法の範囲に引っかかったのだ。これこそがナギ先生との修行で得た僕の第二の魔法! 正確には元々は魔法だという事を知らずに使っていた力だ。魔法であることを意識した時から探知の魔法の精度が上がった……気がする!!!



「みんな! 気を付けて! なんかおっきいのが来るよ!!」


 他の皆は気づいていないようなので呼びかける。


「え? 本当? イリちゃん?」


「シロの見間違いか何か。探知力に優れてるレンジャーの私が何も探知していな……え、嘘? 何この大きさ? スノーねぇ、ミコトねぇ! 構えて!」


 イリちゃんがその体を震わせながら身構える。身構えた先にはまだ見えないが何かの存在がある。その存在はゆっくりと、しかし確実に僕たち目掛けて進んでいた。



「イリちゃんがこんなに焦るなんて……一体何が……」

「……スノーちゃん……いいから構える」


 全員が戦闘態勢を整え終わり、その存在は姿を現した。


「キシャアアァァァッッ」



 現れたそれは当然人間ではない。人間の30倍ほどの大きさを持つ生物だった。

 蛇に似ているが、蛇にしてはあり得ない程の大きさの……ってなーんだ。ただの『すごくでかい蛇』じゃないか。驚いて損した。


「風よ……あれ、なんだっけ? とにかくエアロショット!!」


 先生が教えてくれた初めての攻撃呪文『エアロショット』。だけど詠唱をど忘れしてしまったので省略した。まぁこれで魔法が発動しなくても普通に戦えば勝てる相手だし問題ないかな。


「あれは……グロースバジリスク!! 目が合った者を石にする脅威度Aの凶悪な魔物!? どうしてこんな所に!?」 



 イリちゃんがいつになく饒舌に説明してくれている。ってえぇ!? 一体どこにそんな魔物が!? まさか僕の探知魔法から逃れる魔物が早速現れたっていうの!?


「ちょっとシロ! 何やってるの!? 早く逃げよう!!」

「……私たちの手には負えない……早く逃げないとしんじゃう……」


 そう言って僕の手を引っ張るスノーちゃん。いや、でも逃げるって魔物は一体どこに居るの?


「逃げるって……魔物はどこに居るの?」


「何言ってるの!? 目の前に居るじゃない!!」

「……スノーちゃん。目を合わせたらダメ。シロ君も早く逃げる……」


 ……目の前?

 目の前には既に生気のない『すごくでかい蛇』が居るだけなんだけど……。生気のないっていうか死体だね。僕が放ったエアロショットはちゃんと発動したみたいだ。『すごくでかい蛇』の胴体に大穴が開いている。


「みんな大丈夫ですよ~。グロースバジリスクは倒しました~」


「「「「……え!?」」」」


 い、いつの間に!? さ、さすがナギ先生だ。僕なんてその存在すら察知できなかったよ。やっぱりまだまだだなぁ僕は。この中で一番役に立ってないじゃないか。


「ナギ先生ってすごーい! そんなに強かったんだ!!」

「……びっくり……」

「強そうな人だとは思ってたけどここまでとは思わなかった」


 三人が口々に先生を褒める。ふっふっふ。みんなナギ先生の強さにようやく気付いたみたいだ。それにしても脅威度Aの魔物を瞬殺だなんてやっぱりナギ先生はすごいなぁ!


「シロくん。ところでグロースバジリスクってどんな魔物だと思います?」


「へ?」


 ナギ先生からいきなりそんな質問が投げかけられる。どんな魔物? そうだなぁ。目が合うだけで石になっちゃうようなおっかない魔物でしょ? それでいて辺りを見回してもそれらしき魔物の死体はない。……とすれば答えは一つ!!



「ちっちゃい目玉の魔物ですね? 素早く動き、いきなり目の前に現れたりとかして相手を石化させるんだねきっと。そうでしょ先生?」


 ちっちゃい魔物ならば死体が見当たらない事も頷ける。それでいて素早く動き回って石化させてくるなら脅威度Aも納得だ。


「いやいやいやいやいや。シロ。本気で言ってる? っていうかそこに死体あるじゃない!!」


 そう言ってスノーちゃんが指さした先には――『すごくでかい蛇』の死体があった。『すごくでかい蛇』の傍に死体があるんだろうか? 少し探してみる。……駄目だ。見つからない。


「どれどれ……どこ? スノーちゃん?」


 『すごくでかい蛇』の辺りをくまなく調べてみるがやはり『グロースバジリスク』とやらの魔物の死体はない。ハッ!? もしかして小さい魔物なんかじゃなくて透明な魔物なのか!?


「こーこ!! これ!! この大きな魔物だよ!!」


 バンバンとスノーちゃんが『すごくでかい蛇』の死体を叩いている。……叩いてる? これって……『すごくでかい蛇』? そいつが脅威度Aの『グロースバジリスク』?


「いやいや、冗談きついなぁスノーちゃん。こんなのが脅威度Aになるわけないじゃないか。それに僕はこの魔物と同じようなのと何度も目を合わせ……あれ?」


 何度も『グロースバジリスク』と似たような魔物と目を合わせていると言おうとしたのだけれど、記憶を遡ってみると……そういえば目も合わせないうちから逃げるか倒すかしていたから目を合わせたことがないような……。


「いやいや、それでもこんなのが脅威度Aの『グロースバジリスク』な訳がないじゃないか。そうでしょ先生?」


「えーっと……その蛇がグロースバジリスクですけど~?」


 …………え?…………


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