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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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パーティー結成しました!!



 可愛い女の子だ。黒い短髪に整った顔立ち。特に目立っているのは頭の後ろに付けている赤いリボン。正面から女の子を見ても見えるくらい大きい。顔よりもリボンの方が大きいんじゃないかと思うくらいだ。


 この子が声をかけてくれた女の子らしい。そして、それとは別に二人の女の子が彼女の後ろに控えていた。



「……おいし……」


 一人は立ちながらソフトクリームを食べていた。僕たちよりもソフトクリームにご執心のようだ。

 全体的にほっそりした女の子だ。長い黒髪は腰まで届いていて清楚な感じがする。涼しげなその顔も神秘的なのだけど、口元に付いているソフトクリームが全てを台無しにしていた。



「ミコト。また汚れてる」


 最後の一人は一番小柄な女の子だ。ぱっと見、十二歳くらいに見える。銀髪の髪をたなびかせ、今はソフトクリームを口元につけていた女の子の口元を何かで拭っている。

 


「……イリちゃん……」


 ミコトと呼ばれたソフトクリームを口元に着けていた女の子が口元を拭ってくれた女の子を見つめる。


「??」


 見つめられた女の子は首をかしげて次の言葉を待っている。


「……ありがとー……」


「ん」


 

 お礼を言うソフトクリームの子に対してそっけない対応。しかし、それが普段の姿なのか。両者ともに気にした様子はなかった。



「ねぇ! あなた達の名前はなんていうの? 私はスノー! そしてこっちの二人がミコトとイリだよ!! 仲良くしてくれたら嬉しいな!」


 始めに相席を申し出てきた女の子がぐいぐいと攻めてくる。あっ、そういえば返事をしていなかったよ。無視したわけじゃないよ? ホントだよ?



「……わたし……ミコト……この中で一番……おねぇさん……」



「イリ」



 遅れて残りの二人も自己紹介。ミコトさんの方は胸を張ってお姉さんアピールなのかな? えっへんと聞こえてきそうな感じでの自己紹介だ。イリさんはあまり喋るのが好きじゃないのか、ぶっきらぼうに自分の名前を言うだけだった。




「ええっと……申し遅れました。僕の名前はシロっていいます。隣にいらっしゃるのは僕の先生のナギ先生です」



「どうも~。シロ君の先生をやっているナギです~。気軽にナギちゃんとでも呼んでください~」



 遅れて自己紹介する僕とナギ先生。それにしてもナギ先生、ナギちゃんって……いや、ナギ先生に文句を言うなんて百年早い。……でもなぁ……ナギちゃんはさすがに……。



「え!? 先生なの!? 私たちとあんまり変わらないと思ってたのにすごーい!」



 スノーと名乗った女の子はナギ先生をジロジロ見ながら驚いている。まぁナギ先生の外見は二十歳前後だからね。中身は八十歳くらいだけど。



「当たり前じゃないか! ナギ先生は凄いんだよ! 若返りの魔法なんていう前人未到の魔法をうぶぅ――」



 ナギ先生の凄さをみんなに知ってもらおうと話していたら突然ナギ先生に羽交い絞めにされました。なんで!? ナギ先生、僕が何をしたっていうんですか!?

 そう思っているとナギ先生は僕の耳元へと口を寄せてきて、小声でつぶやいた。



「シ・ロ・く・ん~? 若返りについては内緒にするようにって言ったのを忘れたのかな~?」



 ……ハッ! すっかり頭から抜け落ちていたよ!!



「若返り?」



 しまった。スノーさんが興味深そうな顔をしている。なんとか誤魔化さなくちゃ。



「えぇっと……スノーさん……今のはですね……」


 なんと言い訳した物かと考える僕。

 しかし、助け舟が思わぬところから現れる。


「スノーさんじゃなくてスノー! 敬語なんてやめようよ! 私たちはそういうの気にしないし。ね?」


「……うん……お互いに……自然体が……一番……」


「――」



 どうやらスノーさんにとっては若返りの事なんかよりも他人行儀な話し方をされることを阻止する事の方が重要だったみたいだ。



「ああ、うん、ごめん。それじゃあえっと……スノー……ちゃん?」



「うん!! よろしくね! シロ!!」



 ガッシリと僕の手を掴んでくるスノーちゃん。笑顔でぶんぶんと僕の手を掴んで振り回してくる。とっても元気だ。




「それでスノーちゃんたちは何の用で私たちに話しかけてきたんですか~? あ、どうぞどうぞ座ってください~。私たちも食べ終えましたし~」


 話しかけられたスノーちゃんがやっと僕の手を離してくれる。

 それにしてもナギ先生……いつの間に食べ終えてたんですか? それにまだ僕の分があったような……。まぁいいか。



「私たちはギルド職員のリンさんの紹介でシロ達に会いに来たんだよ! 私たちも村から冒険者になりにここまで来たの。でも女の子三人組のパーティーを加えようっていう人がなかなか居なくて困ってたところでリンさんが丁度三人メンバーを探している私たちと同じ初心者さんが居るって教えてくれたの。それがシロ達だったっていうわけ! だからシロ! よかったら私たちとパーティーを組もうよ!!」



 さっきリンさんが席を立ったのはこの子たちを呼びに行くためだったらしい。しかし、そうなると一つ疑問が残る。それは――



「その前に一つ聞きたいんだけど――リンさんはどこに?」


「それは――」



 スノーが話すよりも先に、喧騒が聞こえてきた。何やらもめているようだ。



「はーなーせー! 私には初心者を導く義務があるんだよ! それを邪魔するたぁあんた、本当にギルドの看板背負ってんのかい!?」


「初心者を導く前に自分の仕事をしてください!! 毎回毎回自分の仕事を僕たちに押し付けて……あなたこそ本当に職員としての自覚はあるんですか!?」



「あんな受付でニコニコ笑顔で媚びうつだけの仕事だれでも出来るじゃないか! なんだったら人形でも置いときゃいいさね」


「いい訳ないでしょう!? ほら、受付が嫌なら書類仕事を回してあげますから行きましょう」



「あーんな大量の文字を私に読ませてあんたどうする気だい!? 鬼! 悪魔! ニンジン!」



「さっきから我がままばっかり言わないでくださいよ! ほら、行きますよ!!」



 見知らぬ男の人にずるずると引きずられているリンさん。彼女はそのままギルドの受付あたりへと引きずられていった。



「――っていう訳」


 スノーちゃんが引きずられていったリンさんの後を指さして言う。あぁ、なるほどね。この場に来ないんじゃなくて来れないんだね。納得した。



「それでシロ? お返事は?」



 おっといけない。スノーちゃんからのパーティーのお誘いの返事をまだしてなかったよ。

 僕としては異論はない。スノーちゃんや他の二人も悪い人には見えないし、スノーちゃんとも仲良くやっていけそうだ。他の二人は……マイペースな感じだから仲良くなれるか分からないかなぁ。

 とにかく、僕としては不満はない。だから、後はナギ先生次第だ。



「どうしましょうナギ先生? 僕としてはパーティーを組んでもいいかなって思うんですけど……」



「いいんじゃないかな~。私は大歓迎だよ~」



 ナギ先生もこの子たちとパーティーを組むことに異論はないらしい。なら決まりだね。

 僕はスノーちゃんに向かって手を差し出し、



「これからよろしく」



「――ッ! うん! よろしくねシロ!!」



 両手で僕の手を掴んでまたもやぶんぶんと振り回すスノーちゃん。本当にとっても元気な子だ。他の二人の分もはしゃいでるんじゃないかっていうくらい元気だ。



「……スノーちゃん……」



 スノーちゃんの肩に手を置くミコトさん。

 笑っているような気もするけど、何を考えているのかよく分からない。



「あ、ごめんね! 私だけはしゃいじゃった! 痛くなかった?」



 ようやくスノーちゃんが僕の手を離してくれる。痛くはなかったけど驚いたかな。

 そうして空いた僕の手をミコトさんが両手で掴んだ。え? 掴んだ?


「わたし……ミコト……十六歳……シロ君は?」


 ミコトさんは僕の目をジーッと見つめてゆっくりと喋る。


「あ、うん。初めましてですミコトさん。僕はええっと……十五歳……かな?」



 若返りの事が言えない以上、本当の年齢は言えない。外見が十五歳くらいだし、十五歳という事にしておこう。



「わたし……ミコト」


 繰り返しで自分の名前を言うミコトさん。いや、もう自己紹介は要らないよ?


「えっと、はい。ミコトさん……ですよね?」


「……むぅ……」


 何が気にくわないのか。ミコトさんは頬を膨らませてどこか不満げだ。今まで無表情だったからその変化が良くわかる。

 でも何が不満だったんだろう? と考えているとミコトさんに掴まれている手にだんだんと力が籠められる。



「わたし……シロ君よりお姉さん」


「あ、はい。そうですね」



 本当は僕の方が年上なんだけどね。僕を十五歳っていう設定で考えたらミコトさんの方が確かにお姉さんだ。



「お姉さんの言う事は……聞かなきゃダメ……」


「えっと……そうなんですか?」


「うん……そうなの……」



 なんだかよく分からないルールが彼女の中にはあるらしい。


「だからシロ君……敬語禁止……私の事……ミコトって呼ぶこと」


「え? 敬語禁止ですか? もしかしてミコトさんが不機嫌だったのは僕が敬語を使ってたから?」



「むぅ……シロ君……悪い子……敬語禁止。私の事……ミコトって呼んで。……ミコトお姉ちゃんでも可……だよ?」



 やっぱりミコトさんが不機嫌だった理由は僕が敬語を使っていたかららしい。



「ええっと……これからよろしく。ミコト」



 ミコトの望み通り、敬語を止めて呼び捨てにしてみる。うーん、自分で言ってて違和感があるなぁ。慣れるのかなぁこれ。



「……ミコトお姉ちゃんでも可……だよ?」



 ミコトが首をかしげながら言う。そう呼んで欲しいのかな? いや、でもさすがにミコトお姉ちゃんはなぁ……。



「残念……でも……これで仲良し」



 僕の様子を見てお姉さん呼びを諦めたのか。ミコトは僕の手を上下に軽く振って離す。その顔は少し微笑んでいるように……見えなくもないかなぁ?



「イリちゃんも……挨拶」



 そう言ってミコトは後ろに控えていたイリちゃんの背中を押して僕の前へと突き出してきた。


「よろしく」


 それだけ言ってまたイリちゃんはミコトの後ろへと隠れてしまった。ありゃりゃ、もしかして嫌われちゃったかな?



「イリちゃん……照れ屋さん……良い子……だよ?」



 ミコトがそう説明してくれる。まぁ初対面の男相手ならあんなものだよね。嫌われた訳じゃないと信じよう。



その後、スノーちゃんとミコトとイリちゃんはナギ先生にも挨拶をした。この中で一番年上のナギ先生に対してみんなはナギ先生と呼ぶことにしたようだ。ナギ先生は「ナギちゃんと呼んでくれてもいいですよ~」と言っていたが、誰もそう呼ばなかった。




「よぅし! それじゃあ自己紹介も終わったし早速登録をしに行こうよ! そして宿屋で休んで明日は冒険だー!!」


 スノーちゃんが握りこぶしを突き上げてそう宣言する。瞳の奥が燃えている。スノーちゃんは冒険をするのが楽しみで仕方ないみたいだ。僕は冒険も楽しみだけどやっぱり一番楽しみなのは先生の修行かな。もっともっと新しい魔法を覚えたいです!!



「よし! じゃあ行こう!!」



 そうして僕たちはギルドの受付へと向かった。



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