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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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解決です!!


 スノーちゃんたちの話を聞く限り、どうやらディードが放った風の一撃を打ち消すために腕を振るったあのとき。身体強化全開の状態で腕を振ったときの衝撃波がディードの攻撃を打ち消すだけにとどまらず、ディード本体にも甚大なダメージを与えてしまっていたらしい。解せぬ。



「まぁなんだか釈然としないけどとりあえず二人を助けるとしようか。まぁナギ先生はわざと捕らえられてるだけだけどね」


「普通にナギ先生も助けてあげたほうが良いと思うなぁ……」





 そもそも僕は頭に血が上っていたんだ。よく考えてみればナギ先生が誰かのいいようにされるわけがない! 相手がどんな卑怯な手を使ってきたとしてもナギ先生をどうにかできる訳がないじゃないか!



「ってなわけで御開帳。イリちゃ~ん、助けに来たよ~。ついでにナギ先生も」


「ついでって……ナギ先生が聞いたら怒るよ?」

「……思い込みも……ここまでくると……凄いね? ……」



 さて、二人共ここに居るはずなんだけど……。



「さっきから聞こえてるよシロくーーーーーーーん? いい加減私に対しての認識改めてもらえないかなぁ~?」

「くー。すぅ」



 そこには拘束もされずに部屋の奥の寝具に寝かせられてるイリちゃんとその横で腕を組んでぷりぷり怒っているナギ先生が居た。

 二人を……もといイリちゃんを起こすために僕たちは部屋の奥へと入っていく。



「あれ? 二人とも縛られたりもしてないんだね? あの人結構いい人だったのかな?」



 なんて事をスノーちゃんが呟く。だけど、きっとそうじゃないだろう。



「いや、これはきっとディードの目を盗んでナギ先生が拘束から抜け出してたとかそういうのだよ。部屋に不釣り合いな寝具が置いてあるのだってきっとナギ先生が無から寝具を生み出したとかそんなのだよ。絶対」


「だーかーら~。いい加減そういうのやめようよシロ君!! なんでシロ君は私の事をそんなに過大評価するの!?」


「おーい。イリちゃーーん。帰るよーーーー!!」


「既に聞いてない!?」




 イリちゃんの頬をぺちぺちと叩くが反応はない。どうやら深く眠っているようだ。そういえば一週間くらい寝たきりとか言ってたっけ? 全く、なんて事をしてくれるんだ。そんなに寝っぱなしだと逆に疲れそうじゃないか。



「全員そこを動くなああああああ!!!」



「「「!?」」」「あー。来ちゃいましたか~」




 部屋のドアの方から男の怒声が聞こえる。振り向くとそこにはさっき倒したはずのディードが扉に寄りかかりながらとはいえ立っていた。その手にはどこに隠していたのか。いつの日かイリちゃんや山賊が使っていた銃が握られていた。

 はぁ……そんなのに頼るなんて……ディードはとうとう魔導士としての矜持きょうじすらも捨てちゃったみたいだね。



「くっくくくくくくくくくくくく。馬鹿め。揃いも揃って何の警戒もせず部屋に入るとは……。この部屋には魔絶血ソーサリーレジェクションという魔法を拒絶する血が気化し、充満している!! この空間では魔法を一切使えん。ゆえに、いかに優れた魔導士と言えど無力! こんな豆鉄砲ひとつ防げんひ弱な存在になり下がるのだ!!」



「なにぃ!? 魔法が使えない空間だってぇ!?」


 そんな……偉大な魔法が使えない空間だって!? そんなのがあっていいの!?


「ぐぬぅ。ディードォォ! 君は魔導士だろう!? 正々堂々魔法で勝負しろぉぉ!!」


「五月蠅いわぁぁ!! わた……俺は人類種で最強の魔導士になれればそれでよいのだ! ゆえにシロ。貴様を廃した後で魔女に教えを請い、俺が魔女を越えたら魔女も排除するつもりだった。だがそれはもうやめだ。今!! 俺はここで人類種最強の魔導士となるのだ!! お前らさえいなければこの俺がナンバーワンだぁぁぁぁ!!」


「くぅぅ!! くそぉ! この卑怯者ぉぉぉぉ!」


「「「つんつん」」」



「何とでもいうがいいわ! 貴様らはこの貧弱な豆鉄砲になすすべもなく倒れるしかないのだからなぁぁぁ!!」



「例えここで僕たちがここで倒れたとしても……僕たちの意思を継ぐ誰かがきっとディードを超え――」


「シロくーん」

「ねぇシロ」

「……シロ……」



「何ですかナギ先生&スノーちゃんにミコト。今けっこうピンチみたいですよ?」



 絶対絶命のピンチ。だというのにナギ先生もスノーちゃんもミコトも全然焦ってないように見える。むしろ僕とディード……とくにディードにあわれみの視線を向けているような気がする。



「大丈夫だよ~。シロ君は何も気にすることなく魔法をずどんと打ち込んじゃお~」

「もう一思いにやっつけちゃって! ディードさん……憎むべき相手なのにもうあわれみしか湧いてこないよ……」

「……シロ君……きにせずごーごー……」



「――分かりました!!」


 ナギ先生が何も気にすることなく魔法を打ち込めと言うなら僕はそうするだけだ! ナギ先生の言う事に間違いがあるはずなんてないんだから!!


「愚か愚か愚か愚かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 魔絶血ソーサリーレジェクションで充満しているこの部屋で魔法を使うなど不可能! いかに優れた魔導士と言えどこの空間では魔力は魔法に変換することなど出来ぬわぁぁぁぁ!!」



「『魔法』はね~」

「『魔法』はね!!」

「……『魔法』……ならね? ……」




 やはりナギ先生達はディードを可哀そうな子でも見るような目で見ている。そしてなぜか『魔法なら』ってところを強調してる。なんで? 今から僕が放とうとしてるのは魔法だよ?


 ――まぁいいか。何も気にせず僕は魔法をディードにぶち込もう。そして僕が使える魔法は限られている。

 全身の魔力を右拳に込める。

 思いっきり――全力で――この一撃を振るう!!


「エアロショットォォォォォォォ!!!」



 魔力を全開で込めた右拳をディード目掛けて放つ。



「愚か愚かおろがべぇ!?」



「あ、普通に魔法使えた」



 魔法が使えないとディードは言っていたのに何の問題もなく使えた。向こうで何か問題でも起きたか。あるいは……そうか! これはナギ先生に教えてもらった魔法だからね! いくらディードでもナギ先生に教えてもらったこの至高の魔法を止める事は出来なかったという事だろう! それをナギ先生は最初から見越していたって事か。いやぁ。さすがナギ先生だなぁ!!


 僕のエアロショットはディードへと着弾し、ディードはなすすべもなく部屋の外へと吹き飛ばされて地面へと伏していた。




「ど、どうだぁ!! これがナギ先生直伝の魔法だぁぁ!!」



「さ、さすがシロだね。あはは、はは……はぁ」

「……ぱちぱち……」





★ ★ ★ ★ ★ ★ ナギ視点 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★



「ディードさーん。生きてますか~?」


 私はシロ君に吹き飛ばされたディードさんの頭をつんつんする。


「ぐ……俺は……魔法界の頂点に……」



 あれだけシロ君にこっぴどくやられたというのにディードさんはまだそんな事を言っていた。ある意味関心する。いや、こういうあきらめの悪い人物だからこそ魔法をあそこまで極める事が出来たのかもしれない。

 まぁ最後にこれだけは言わせてもらおう。


「あなたはもう既に魔法の深淵へと到達してると思いますよ~。少なくとも私なんかよりはずぅっと強いですよ~」


「慰めなど不要――俺は……」


「だーーーかーーーらーーーそんなんじゃないですってばぁ~。そもそもシロ君が使ってるあれ。ぜーんぶ魔法じゃないですよ? 魔力を感じない云々言ってましたけど当たり前ですよ~。シロ君に魔法の才能なんて皆無なんですから~」


「ふ……何を戯言を……」


「頑固ですね~。それじゃああれが仮にあれが魔法だとしてなんでシロ君はあなたの用意した魔法が使えない空間で魔法が使えたんですか~? いやー、あの部屋に閉じ込められたときはどうしようかと思いましたよ~。ディードさんが盛った眠り薬は私には効かなかったんですけどあんな部屋に連れていかれるなんて思わなかったので焦っちゃいました~」



 あの日、私はディードさんに食事を誘われ、食事を食べていたら睡眠作用を引き起こす薬が盛られていることに気づいた。

 だけど私の体は度重なる魔法の実験によってあらゆる薬への抗体ができていたのであまり意味をなさなかった。とはいえ、多少不意を突いた程度ではディードさんたちまほろばの園の囲いを突破するのは不可能。ならばこのまま眠ったふりをして隙を見て逃げようと思ったのだ。ところが連れていかれた先の部屋は魔法が使えないといういかにも魔導士泣かせな部屋。そんな場所に閉じ込められた私はただのか弱い女。シロ君たちの助けを待つしかできなかった。……まぁシロ君なら魔法の使えない部屋でも平気だろうって思っていたしね~。



「ぬ……確かに……はっ! まさかあの力は……体気コルペイゲイスト!?」



 なんだかまた新しい用語が出てきた。本当にこのディードさんは物知りさんみたい。魔導士としては本当に優秀だと思う。


体気コルペイゲイスト……人間が自身の肉体を限界すら超えて鍛えた先に到達できる未知の領域……究極の肉体が起こすのは未知の奇跡。……いや、だがあれは古い文献で伝説のような扱いで書いてあっただけのはずだ。そもそも体気コルペイゲイストの域に到達できる人間などこの魔法が発達した世界で生まれるはずが……」


「あ~。うん。もしかしなくても多分それだと思いますよ~」


 そんな話を私は聞いたことすらもなかったがシロ君のは多分それだろう。古い文献にあるとのことなので、いつか私も見てみよう。

 という訳で――



「静寂の闇より来たれ――無謬むびゅうの混沌――無、無、無――あなたからは誰も逃げられない――その腕の中ですべてを包んで――永眠フルールドダスト



「っ――――――」



 催眠魔法の一種――永眠フルールドダスト。相手を術者の許可があるまで眠りにつかせる魔法。ディードさんのように力ある魔導士に対しては基本的に無意味ですけど、これだけ弱っているなら話は別です。少なくともディードさんが回復するまでは効力を維持してくれるでしょう。

 さて――



「うふふふふふふ~。他人の魔法研究の場所に来るなんて初めてだよ~。しかも国を挙げて魔法の研究をしているような場所――お宝の山です~」



 私はスキップしながらまほろばの園の探索を始めることにした。




 かくして、今回の誘拐騒動は終わりを告げた。


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