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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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決戦です!!



「ここだオラァァァ!!」


 探知魔法に引っかかった反応は三つ。その反応が発せられる所を目指し、僕たちは宮殿の一階へと舞い戻る。どうやら一階ですぐに階段を降りたのは間違いだったようだ。いや、でもさ? なんか目の前に階段があったら降りたくならない? 捕らわれのお姫様とかなんか最深部に居るようなイメージがない? ……まぁともかく宮殿の一階の階段を無視してその奥にある扉をくぐるのが正解だったみたいだ。扉をくぐると『目的地はここですよ』と言わんばかりの大きな深紅の扉が見えてきた。その奥から三人の反応が伝わってくる。僕は走る勢いを殺さないままジャンピングキックでその扉こじ開けた。



 扉の中は真っ白な正方形型の部屋だった。いや、よく見ればところどころ汚れている。赤黒い何かが様々な場所に付着しているのだ。



「えーと……遅かったですね……」



 その部屋の奥には一人の男が待ち構えていた。

 黒服を纏い、どこか困惑したような表情を浮かべて白髪の男が僕たちを出迎える。 



「出たな誘拐犯!! ナギ先生とイリちゃんを開放しろ!!」



 男の背後には小さな黒い扉があり、そこには二つの反応があった。きっとナギ先生とイリちゃんだろう。



「くくくくく。誘拐犯とは人聞きの悪い。魔法の研究の為に必要だからついてきてもらっただけですよ。まぁお二人とも今はぐっすり眠ってもらっていますがね」



「……二人は……無事? ……」



「もちろんですとも。お二人とも傷一つ負っていませんし、健康状態にも気をつかっています。……あぁ、ただ最初に連れてきた娘はもうかれこれ一週間近く眠らせているので筋力が衰えているかもしれませんね。まぁ些細なことでしょう?」



 どうやらナギ先生とイリちゃんは何らかの方法によって眠らされているらしい。イリちゃんはともかくナギ先生がこんな男に無力化されるなんて……。きっと卑怯な手を使ったに違いない。



「さて、では始めましょうか――ブリッツ・レイ――」



 そう言って男は両手を重ねる。そこから迸る電流は細く、だけどまっすぐに僕たち三人へと襲い掛かってきた。




「あぶなぁっ!?」

「きゃっ」

「つっ――」 



 僕に向かってくる電流はそのまま避け、スノーちゃんとミコトへと向けられていた電流は身体強化の魔法を使って撃ち落とした。ふー、いったいなぁ。まだ少し腕がビリビリするよ。



「さすがですね。私のブリッツ・レイを初見で躱し、受け止めたのはあなたで三人目です」



 そりゃあナギ先生の下で鍛えられているからね! 当然だよ。



「今のって……無詠唱魔法!? まさかシロと同じ――」


 スノーちゃんが男の方を見て驚いている。そう言えば詠唱とやらがなかったなぁ。まぁでも『まほろばの園』は一流の魔導士が集まる場所って聞いたし無詠唱魔法が使える人がいるのも当然じゃないのかな? 驚くほどでもないだろう。


「……シロと同じ……つまり……のうきん? ……」


「それってどういう意味かなぁミコトぉ!?」




 なんでいきなり脳筋扱い!? 納得できないんだけど!?



「驚くほどでもないでしょう? シロ君。君だけが無詠唱魔法を使えるという訳ではないのですよ。ナギ様の弟子だからと自分が特別な存在なのだと勘違いしていませんか?」



「ん?」「「え!?」」



 あれ? 今この人なんて言った? 僕の聞き違いでなければ『ナギ様』って言ってなかった?

 そう混乱している間も、男の話は続く。


「まぁ無理もありません。あの不死の魔女、ナギ様の教えを受けているのです。おそらく想像を絶するほど苛烈な修行をしてきたのでしょう。その修行を乗り越えた自分を特別だと思うのは当然かもしれませんね」



「ナギ先生ってそんなに凄い人だったっけ?」

「……この人……シロ君とある意味そっくり……」



 スノーちゃんとミコトがこそこそと何か話しているがそれどころじゃない。

 そんな……まさか……まさか……。



「まさか、ナギ先生が不死の魔女だったなんて……確かにナギ先生がこの世界を創った創造主だって言われても不思議はないなと思ってたけど――」



「いやそこは不思議に思おうよ!?」

「……やっぱり……そっくり……」



 道理でナギ先生がほかの人と違うオーラをまとっているように感じられるわけだ。きっとあれは魔女ならではの魔力の奔流とかそういうのに違いない。(確信)



「おや? 知らなかったのですか? 一説によれば魔女が魔法を放つたびに都市は廃墟へと変わったといいます。分かりますか? あなたはそれほどの方の教えを受けていたのですよ。――ゆえに腹立たしい。その価値も知らず教えを受けている君の事を私は許せない!! あぁ、許してなるものか! 魔道の深淵へと到達するのはこの私――ディードだけでいい!! それ以外は全て私の糧になればいい! ゆえにシロ! あなたは邪魔なんですよ!!」



「くっ――確かにそれは妬みをかって当然だ」



「当然なの!?」

「……スノーちゃん……もうそっとしとこう? ……」



 相手はナギ先生とイリちゃんを攫うような酷い奴だ。だけど、きっとそれは僕への妬みが爆発してそんな事をしてしまったに違いない。ナギ先生をこれだけ尊敬してて魔法をこれだけ愛している人に悪い人なんているはずがないんだから!!



「シロ君。全力を出したあなたを完膚なきまでに倒せばきっとナギ様もきっとあなたを見放すでしょう。そして今度は私がナギ様の教えを受けるのです。だから……さぁ――決着をつけましょう」



 そう言って男は決意を秘めた瞳で僕を見る。

 応えなきゃいけない。ここで応えないなんてナギ先生の弟子としてあり得ない選択だ。



「ナギ先生の一番弟子――シロ」


 ゆえに、名乗る。

 自分の最も誇るべき立ち位置。それを高らかに宣言する。


「まほろばの園の管理者にして魔道の深淵を覗く予定の者――ディード」




 相手――ディードも察したのか。自らの名前と誇るべき立ち位置を宣言する。

 互いに賭けるのは誇り。そしてこの勝負に勝利した者がナギ先生の弟子となることができる。



「いざ尋常に――」

「勝負!!」



 僕とディードの魔法戦が今――始まる。










「ねぇミコト。私たちはどうしよう?」

「……邪魔だね? ……遠くから……眺める? ……」

「そうしよっか。なんか肩の力が抜けちゃった」




 ――――――始まる!!

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