突入です!!
「よっしいっくぞーーー!」
宿で疲れを癒した僕たちはまほろばの園へと向かう。
辛く険しい道のりがあるだろう。敵の罠がいくつも待ち受けたりするんだろう。
だけど、僕たちは挫けはしない! ナギ先生とイリちゃんを助けるためにこの身尽き果てるまで戦う事をやめな――
「……着いた……」
――妨害も何もなく二時間程度で着きました。
あれぇ?
……何はともあれっ! 僕たちは敵の本拠地であるまほろばの園へと辿り着いた。しかしっ!!
「誰もいないなぁ」
豪華な宮殿。大きな庭園。さすが一流の魔導士ばかりが居るっていわれるだけあるなぁとは思う。で? その一流の魔導士さんは一体どこに? こんなに立派な場所なんだから警備の人が一人や二人門前で待ち構えてるのが普通じゃないの? 僕たちが来るのを知ってるんだから道を阻むためにたくさんの腕利きが待ち構えてるとかじゃないの? あれかな? 揃ってみんなピクニックにでも出かけているのかな? ……まぁそんなわけないか。
「どうするシロ?」
「……勝手に入っちゃう? ……」
庭園に入る扉は一つ。なんだか分厚そうな扉だ。
「勝手に入るなんてナギ先生の教えに反するからダメだよ。それに、僕たちは正しい事をしに来たんだ。真正面から二人を助ければいい」
そう言って僕は庭園へと続く扉の前に立つ。そして――
「し・つ・れ・い・しまああああああああああああああああす!!! ナギ先生とイリちゃんは居ますかああああああああああああああああああああああ!!」
大声を出して僕は目の前の扉を思いっきり押して開ける。
バキッという不穏な音が聞こえた気もするけど意識的に無視した。
かくして、扉は開いた!!
「さぁ、二人を助けに行こう!!」
僕たちはまほろばの園へと真正面から入った。
「ねぇミコト。私たちってさ……要る?」
「……シロ君のサポートはできる……かなぁ? ……」
「あ、やっぱりそこは怪しいんだ。あはは」
三人の力を合わせれば怖い者なんてない! 待っててください! ナギ先生!! それとイリちゃん。
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「報告します。侵入者が――」
「侵入者? いえいえ、彼らは私の客人ですよ。まったく、せっかちな事です。もう少しお待ちいただければこちらから門を開いたものを……」
宮殿に入り込む三人の姿を私は映像越しに捉える。あれが噂の――
「みなさんは無事に逃げてくれましたか?」
「はい。納得できないと言う者が幾人も居たので手間取りましたが」
「それは上々。ではあなたも急いで逃げてください。この場は私一人に任せて頂きたい」
「……」
「納得できないようですね。まぁ無理強いはしません。しかし、巻き添えになっても知りませんよ? 私は今日、周囲に何があろうが、誰が居ようが構わず戦うつもりです。それで命を失うなんて馬鹿らしい。そうは思いませんか?」
「……畏まりました。ご武運を」
そう言ってやっと私の前から最後の部下が退室してくれました。
「――それにね。今回は私一人じゃないと意味がないんですよ。くふふふふふふふふ」
さぁ、舞台は整いました。客人よ。早くここまで来てください。おもてなしの準備は出来ているのですから――
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「正面! 敵影無し!!」
「左も大丈夫。誰も居ないよー」
「……右も問題なし……誰も……居ないね? ……」
僕たちがまほろばの園の中心部と思われる宮殿へと突入して数分後。周囲を警戒しながら走った。進むとすぐに地下への階段と奥の部屋に進む扉があったので迷わず階段を降りて、そこから更に走った。走って走って走って走って……誰ともすれ違う事もなかった。
「来いって言っといて出迎えも何もないとか何様なの!? まさか場所を間違えたとかじゃないよねぇ!?」
「そ、そんなことないはずだよ! ……多分」
「……間違ってたら……どうしようね? ……」
たら~っと冷たい汗が背中を流れ落ちる。いやいやそんなまさか。ここまで来て『まほろばの園の場所間違えちゃいました~。てへっ』だなんて事あるわけないじゃないですか。
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「誰か~~~~~!! 居たら返事をしてください~~~~~~!!!」
「ナギ先生~~~~~。イリちゃ~~~~~~ん!!」
大声で人を呼ぶ。もうナギ先生やイリちゃんじゃなくてもいい!! 誰か出てきて欲しいんだ! そしてここがどこなのか教えてくださいお願いします!!
「……あ……」
そこでミコトが何かを思いついたように手をポンと叩いた。
「どうしたのミコト!? 何か妙案が!?」
「さっすがミコトだね! 私たちはどうすればいいかな!?」
この中で一番冷静な判断が出来るであろうミコト。頑張れミコト! ミコトの頭脳にこのパーティーの命運はかかっているんだ!!
「……うーんとね? ……すっごく今更かもだけど……」
「うんうん!!」
「なになに!?」
身を乗り出してミコトの答えを待つ僕とスノーちゃん。
「……シロ君……探知魔法でイリちゃん達の場所……分からない? ……」
「あ」
言われて気づく。そうだ。そういえば目で探すばかりで探知魔法を使う事をすっかり忘れてた。
「もー、ミコトったら何言ってるの? そんなのシロがとっくに試してるに決まって……シロ?」
ははっ。暑いなぁ。汗が滝のように流れてるよ。誰のかって? 僕のだよ?
「シロ……まさか……二人を探すっていうこの状況で探知魔法を使うの忘れてたんじゃ……」
ジト目で僕を見つめるスノーちゃんとミコト。
ふぅ。さてと――
「やや!! 上の方に人間の反応が三人分もあるぞ!? みんな! 案内するからついてくるんだ!!」
「やっぱり忘れてたの!? もぅ!! シロのバカァァァァァァァァ!!」
「……シロ君らしいけど……ね? ……」
待っててください! ナギ先生&イリちゃん!!




