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魔力適正0の僕でも四十年修行した結果、魔法が使えるようになりました!!(魔法じゃないよ? 物理だよ?)  作者: small wolf


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ご招待です!!



「まほろばの園……ここからそう遠くないね」


「うん! 相手の事も分かったし後は体を休めてレッツゴーだよ!!」


「……その相手が……厄介……」


 僕たちはギルドで『まほろばの園』の情報を集めた。結構有名なようで、リンさんに聞いたら一発だった。ちなみにナギ先生やイリちゃんが攫われているという事については言っていない。向こうに口止めなんかはされていないけど、騒ぎになったら攫われている二人がどんな目に遭わされるかわからないからだ。もっとも、話したとしても無意味だったかもしれないけど……。



「魔法機関か……。最新の魔法から古代の魔法までいろんな魔法の研究をしている場所。そんな所にナギ先生とイリちゃんは捕らえられているっていうのか」



 『まほろばの園』とは魔法機関の名称だった。魔法の研究を主にしていて、この世に多くの役に立つ魔法をもたらしてくれているのだそうだ。また、在籍している研究員は一流の魔導士ばかり。政治にも口出しできるくらいのすさまじい権力を持っている機関なのだそうだ。


 なんでそんな場所にナギ先生たちが捕らわれているんだろう?


 などと、疑問に思う所は多々あるけど、そんな権力を持っている機関をギルドがどうこう出来るとは考えづらい。向こうもそれが分かっているから、僕たちに口止めを要求することもなかったのかもしれない。

 仮にここで僕たちが「まほろばの園が僕たちの仲間を誘拐していった!!」なんて言っても誰も信じないだろうし、逆に僕たちが取り押さえられる可能性だって考えられる。そんな危険をおかす必要はない。


 今、僕たちがやることは一つだ。明日の夕刻までにまほろばの園へと出向いて二人を救い出す!!


「だけどこれでハッキリしたよ。ナギ先生が攫われた訳も。そしてナギ先生を殺すとはどこにも書いてあった理由も。すべてが繋がった」



 僕は両手を組んでその上に顎をのせる。謎は全て解けた。


「「え?」」


 スノーちゃんとミコトが不思議そうな目でこちらを見る。どうやら二人には分かっていないみたいだ。仕方ない。簡潔に説明するとしよう。


「敵は魔法機関――まほろばの園だ。敵はナギ先生の偉大な魔法知識を得るためにナギ先生をさらったに違いない!! ナギ先生なら相手が誰だろうとなんなく撃退出来るだろうけど、イリちゃんを人質にでもされてたんだろうね。手出しできなくなった先生は大人しく捕まる事を選んだ。こんな感じじゃないかな?」


 ナギ先生はこの世の心理すらも解き明かす大魔導士だ。魔法を研究する機関からすれば、その知識は喉から手が出るくらい欲しいだろう。誘拐される理由としては十分すぎると思う。



「そんなのずるじゃない!! っていう事はなに? イリちゃんはその為だけに誘拐されたっていうの? ――許せない!!」


 まほろばの園に怒りを燃やすスノーちゃん。僕も気持ちは一緒だ。確かにナギ先生を捕まえるとしたら、卑怯な手段に頼るしかないだろう。それは分かる。だけど、あまりにも汚すぎる。許されることじゃない!!


「……そうなのかなぁ? ……」



 ただ一人だけ、ミコトは納得いっていない感じだった。まぁ行ってみれば全部分かる事だ。今日はゆっくり休むことにしよう。


「敵はまほろばの園。一流の魔導士の集まりだ。きっと手ごわいと思う。だけど、ナギ先生の教えを受けた僕たちならきっと勝てる! 二人を――救い出そう!!」


「もちろんだよ!!」


「……がんばる……」


 そうして情報を集め終わった僕たちは宿に戻って寝ることにした。

 後は明日を待つだけ――まほろばの園に殴り込みだぁ!!





★ ★ ★ ★ ★ ★ ナギ視点 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★





 ……どうしてこうなった……




 今、私の頭の中はその疑問でいっぱいだった。いや、ミスを犯したのは私だし、少なくとも今は無事なのだから喜ぶべきなのかもしれないけれど、それでも私は頭を抱えずには居られなかった。


 昨夜、私が宿に帰ろうとするところに二人組の仮面を被った黒服の男たち(声色から判断した)が現れた。本当にいきなり目の前に現れたのだ。おそらく気配遮断と透明化の魔法を同時に使用していたのだろう。

 そいつらは私たちが探しているイリちゃんを捕らえていると言う。おとなしく付いてこなければイリちゃんを亡き者にすると脅され、私は仕方なく付いて行くことにした。そもそも男たちの力量は少なくとも私と同等かそれ以上だ。それは彼らが自らに使用している気配遮断の魔法と透明化の魔法が証明していた。人質などなくても私には付いて行くという選択肢しかないのだ。


 ただ、少し気になったのは男たちの私に対する態度だった。脅してきたときも、私を連れていくときもなぜか妙に丁寧なのだ。まるで上級者に接するかのような態度。立場は向こうの方が上だというのにだ。それだけが疑問だった。

 そうして私は彼らの拠点に連れていかれる。アバンの街から歩いて二時間程度の場所。連れていかれた先は真っ白で大きな宮殿。それに似合うような噴水のある大きな庭園。

 そして、そこで私が目にしたものは――






「「「「「おかえりなさいませ! ナギ様!!!」」」」」



「………………はい?」



 ――なぜか庭園には数百人の黒服の仮面をつけた人たちが跪いており、私を様付けで呼んでいた!! 怖い!!!

 更に言うならば私をここに連れてきた二人も私の足元で跪いている。なんで!?


 ……どうしてこうなった……本当にそう思わずにはいられない。


「あの~」


「ひぃっ! な、なんでございましょうか? ナギ様」


 私が声をかけただけで足元で跪いている二人の体がぶるりと震える

 いや、だからなんで様付けなの!?

 ……ダメダメ、落ち着くのよナギ。ここは冷静に。クールに今の自分に何が起きているのか探るの。リラックス。リラックスだよ~。

 という訳でまずはイリちゃんがどこにいるのか聞いてみよう。


「えっとですね~。イリちゃんは――」


「ひぅえぇぇぇぇ!? も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「お助けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



 私の足元で跪いていた二人はなぜか逃げてしまった。


「……何が起こってるのか本当に分からない!!」


 重ねて思う。どうしてこうなった?

 


「おぉ、ナギ様。部下の非礼をどうぞお許しください」


「ええっと~……あなたは~?」



 頭を抱える私の前に現れた男。その集団の中でその男だけ、服装はほかの人たちと一緒で黒服だったが仮面をつけていなかった。

 服装はほかの肩まで伸びた白髪の髪。華奢な手足。優し気な笑みを浮かべる男。俗に言うイケメンというやつだ。

 

「あぁ、失礼。申し遅れました。わたくし、このまほろばの園の管理を任されているディードと申します。以後、お見知りおきを」


 そう言ってディードと名乗るその人はほかの方々と同じように私の足元へと跪きました。



「ディード……さん? ええっと~、どうか頭を上げてください~。私みたいな人に頭を下げるなんて――」


「何をおっしゃいますナギ様。我々魔導士にとってあなたは神にも等しい存在です。どれだけ敬意を払ってもまだ足りない。同じ空気を吸っているだけで不敬と取られるのではないかと心配する者も居るほどです」


「同じ空気を吸ってるだけで!?」


 それは大げさすぎるんじゃないかなぁ!?


「そう言う者も居るというだけの事です。魔法の深淵を覗くことを悲願とする我々にとって数百年の時を生きるナギ様はまさに神。私の――いえ、我々の望みはただ一つ。その魔法の知識をどうか愚鈍な我々に授けて頂けないか? というものです。人質などという卑劣な手段を用いてしまった事に関しては深く謝罪いたします」


「……イリちゃんは無事なんですか?」


「ご安心を。傷一つつけずこちらで保護しています」


 その言葉に少しほっとする。もちろん、全面的にこのディードさんという人の事を信じるつもりはないけれど。


「会わせてください」


「畏まりました。どうぞこちらへ」


 そうして私はディードさんに案内されるまま、宮殿の中に入っていく。



「部下が勝手にしたこととはいえ本当に申し訳ありません。必要なら後で謝罪に向かわせますがいかがいたしましょう?」


 面倒くさい。もちろん断る。


「いえいえ~。そんなのいいですよ~」


「畏まりました。こちらで処分しておきます」


 『処分』という言葉が少し気になったが、それよりもまずはイリちゃんの安否確認が先だ。

 しばらく歩いていると厳重に閉ざされている扉が目に映る。ディードさんは懐から鍵を取り出して扉の鍵穴へと差し込む。

 開かれた扉。その中に居たのは――


「イリちゃん!!」

「――」


 そこには探していたイリちゃんの姿があった。眠っているようだがディードさんの言った通り、傷一つない姿に私は安心する。


「イリ様はまだお休みのご様子。どうでしょう? ナギ様も本日はこちらでお過ごしになられては?」


「折角ですけど~……仲間も心配していると思うので帰らせてもらいます~」


 今頃シロ君たちは心配しているだろう。何も伝えずにいたから。


「ああ、その点に関しては心配しなくても大丈夫です。ナギ様のお仲間の方々もこちらに招待しているんです。遅くとも明日の夕方までには来るでしょう。それまで我々におもてなしさせては頂けないでしょうか? イリ様もお休みのようですし」


「うーん。そういう事なら~。お言葉に甘えます~」


「ありがとうございます。夕食はまだでしょう? 用意してあるので召し上がっていってください。ナギ様にもきっと気に入っていただけると思います」


「そうなんですか~。楽しみです~」


 そうして、私はディードさんのおもてなしを受けることにした。


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