ドキドキです!!
そうして僕たちは晴れてB級冒険者パーティーとなった………………何故だ!?
想定を遥かに超えたお金を手に入れた僕たちは、とりあえず分け前をどうするかを後回しにしてまずは疲れたので宿をとることにした。
一応分け前をどうするか軽く話し合ったのだけど、なぜかみんな『グロースバジリスクの素材の買い取り料金の分は受け取れない』と言って僕に渡そうとしてくるのだ。僕は僕で『僕がここまで強くなれたのはナギ先生のおかげなんです! だからこんなの受け取れません! ナギ先生、どうか受け取ってください』と反論して話がこれまた纏まらない纏まらない。だからその話は後回しにした。
そうして僕たちが向かった先は先日泊まった宿だ。別に居心地は悪くなかったし新しく探すのも疲れるという理由でここになった。
「それじゃあ昨夜と同じく個室を三つでお願いします~。代金はこちらです~」
「はいよ。これが部屋ん鍵だ」
そうしてナギ先生に部屋を取ってもらう。グロースバジリスクの素材の分け前をどうするかまだ決めていないので、全てのお金をパーティーのリーダーであるナギ先生に持ってもらうことにしたのだ。そのまま持ちっぱなしでもいいんだけどねー。
「それじゃあスノーさん。これがあなたたちの部屋の鍵ですよ~。シロ君もどうぞ~」
「「「「はーい」」」」
さて、今日は色々あって少し疲れたなぁ。とりあえずベッドにダイブしたい。
そうして僕たちは各々の部屋へと向かう。
トコトコ
トコトコ
トコトコ
各々の部屋へ……
トコトコ
トコトコ
トコトコ
「えーっと……どうしたのかな? イリちゃん?」
僕はくるりと後ろを振り返って訪ねる。そこにはなぜか僕についてきているイリちゃんが居た。もちろん部屋の方向が一緒だったとかでは断じてない。
「?」
小首をかしげてクエスチョンマークを浮かべるイリちゃん。いや、そんな不思議そうな顔でこっちを見られても困るんだけど……。
そこで「あ」と小さく声を上げるイリちゃん。
「そう言えば言ったつもりになってた。私はシロ兄と一緒に居たい。だから一緒に寝る」
そう真顔で、当然のように言い放つイリちゃん。
その言葉につい僕はイリちゃんから顔を逸らしてしまう。
そ、そこまでストレートに『一緒に居たい』なんて言われるとなんだろう。少し……照れる。勘違いしてしまいそうになる。よく真顔でそんな事言えるなぁイリちゃん。
そう思ってちらりとイリちゃんの事を見る。
「ッ――」
あ、少し顔が赤い。
イリちゃんは自分の胸に手をぎゅっと押し当てて、少し赤くなった顔で変わらず僕の事を見つめていた。
これは……いやいや、まさかそんなわけ――
「一緒に居たいって……なんで?」
「好きだから」
――即答だった。
イリちゃんの顔を見つめる。もう少し赤くなってるどころの話じゃない。耳まで真っ赤だった。もしかしたら僕もおんなじように赤くなっているのかもしれない。
ああ……ダメだね。こんな好意なんて向けられたことがないからどうすればいいか分からない。
――返事――
そうだ。返事だ。イリちゃんが勇気を振り絞って告白してくれたんだ。どんな形だろうと返事はしないと。
僕はどうしたい? イリちゃんの事をどう思ってる?
無口な子。ちょっと抜けてるところがある子。最近やたらくっついてくる子。だけど、ついつい構ってしまいたくなる子。
僕がどうしたいか……これから僕が何をしたいのか。自分に問いかけてみる。色々と答えは返ってくるものの、考えがちっとも纏まってくれない。
「………………ごめんねイリちゃん。すぐに返事を返したいところなんだけど少し時間をもらってもいいかな?」
結局、僕はこの場での返事を先延ばしにすることにした。我ながらヘタレだとは思うけど、真剣に考えたい。もう少し時間が欲しいのだ。
「返事?」
しかし、帰ってきたのは予想外の反応だった。呆れられるか、少しムッとされるかだと思ったのに帰ってきた反応は『何の話?」的なものだった。
「いや、イリちゃんの告白に対する返事なんだけど……」
一応補足説明する。すると、イリちゃんの瞳に理解の色が浮かぶ。
「そっか……返事とか考えてなかった。ただ、私はシロ兄にこの想いを伝えたかっただけ。少し胸がスッキリした。まだ心臓バクバクいってるけど。………………触って確かめてみる?」
「確かめないよ!?」
「ふふ。残念。でも夜は長い。私はいつでも問題ない。私が寝ててもお触りおーけー」
「帰って!? ホント僕も色々と考えたことがあるんだからスノーちゃんたちのとこに帰って!?」
「照れてる?」
「やかましいわ!! とにかく僕も色々と一人で考えたいんだから今日は少し一人にさせて!」
「むぅ。仕方ない」
やっとの思いでイリちゃんの説得に成功した僕。イリちゃんは回れ右をしてスノーちゃん達の部屋へと進んでいく。
「――シロ兄」
少し進んでいった先で立ち止まって僕の方へと振り返るイリちゃん。彼女は舌なめずりをして……宣言した。
「私は――本気だよ」
それだけ言ってイリちゃんは部屋へと戻っていった。
「少しどきっとしたかも」
最後に見せられたイリちゃんの色っぽい姿を思い出しながら、僕は部屋へと帰っていった。
――翌日、イリちゃんは行方をくらませた――




