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クエスト達成です!!



「クエスト達成しましたー!! 確認をおねがいしまーす!!」


 色々とトラブルもあったけど、僕たちはクエストを終えてアバンの街のギルドへと帰ってきていた。今はクエストの達成を確認して貰う所だ。ちゆちゆ草を十本。これを確認して貰えばクエストは無事終了ってわけだね。



「はいよ~……ってあぁ! あんたたち!? 無事だったのかい!?」


 受付から顔を覗かせたのは以前お世話になったギルド職員のリンさんだった。


「無事ですけど……どうしたんですか? そんなに慌てて」


 何かあったんだろうか?



「どうしたもこうしたもないよ!! あんたらもうちょっとマシなクエスト受けろってんだ!! 聞いたよ! あのハプニンの森に行ってたんだろう? あんな危険な森に行くなんて何考えてんだい!? それにあの辺は人通りが少ないから盗賊やらに狙われる可能性だって高いんだ。加えてあんたら冒険者になったばかりの初心者だろう? 最近じゃ初心者狩りなんてのが出てきてるからそれにも注意しなきゃならねぇってのにわざわざ人通りの少ないハプニンの森なんかに行きやがって――」



 それからもリンさんのお説教はしばらく続いた。うーむ。ハプニンの森ってそんなに危険な森だったのか。特に危険なこともなくクエスト達成出来たから分からなかったなぁ。

 そのあとに出てきた賊に関しては確かに初心者にとっては危険だったけどね。まぁナギ先生にかかればイチコロだろうけど。



「――っていう訳だから受けるクエストはもっと慎重に選びな! 自分の身にあったやつを選べってんだよこんちくしょう! 少しでも判断に迷ったらこのリンが相談に乗ってやってもいいから分からなかったら聞きな。わかったかい!?」


「はい! 分かりました!!」


 ハプニンの森は定期的に原因不明の事態が起きる森らしいからね。今回はたまたま危険な目に遭わなかっただけだろう。これからのクエストは大人しくリンさんの言う通り慎重に選ばなきゃ!


「シロは別にそう言うの気にしなくていい気もするけどなぁ」

「……相手が可哀そう……だね? ……」

「シロは十分すぎるくらい強い」



 なんだか後ろでこそこそとスノーちゃん達が話しているけど良く聞こえない。こらこらみんな。今はリンさんのお説教中なんだからもっとキチンと聞いてなきゃいけないと思うよ?



「さてと――まぁ説教はこれくらいでいいかね。えーと、クエスト達成の確認だったね。ちゆちゆ草の採取十本。出してみな」


「はい」


 ナギ先生からちゆちゆ草を受け取り、リンさんの前に差し出す。


「ほいよ。ちゆちゆ草の採取十本。確かに確認したよ。これであんたらの今回のクエストは終了だ。おつかれさん。これが報酬の十万ガルだよ」


 そう言ってリンさんは硬貨が入った袋を差し出してくる。それを受け取ったのはイリちゃんだ。金銭関係の管理をしているのがイリちゃんらしい。もちろん、宿に帰ったら均等に分けるという約束は既にしている。

 まぁ報酬については置いておこう。そんな事より――これでクエスト達成か……。


「やったーーーーーーー!!」


 初クエスト達成だ!! 別に難しいクエストでもなかったけど嬉しいもんだなぁ。


「はっはっは。そんなに喜ぶなんてまだまだだねぇ。まぁこの調子で頑張んな! ……っとそうだ。そういやあんたらランクアップについての説明は受けたかい?」


 ランクアップ? そういえば何も聞いてないや。


「何ですかそれは?」


「ったく誰も説明してないのかい。ったくあいつらは仕事が雑だねぇ。――まず、あんたらはまだ冒険者になったばかりのE級冒険者ってやつなのさ。それからD級、C級、B級ってな感じにランクアップしていけば受けれるクエストが増える。当然、難易度の高いクエストほど報酬が良いから期待しときな。さて、それでランクアップの方法だけれど簡単さね。とにかく魔物をぶっ倒しな。あんたらの場合だとE級の魔物を五十匹、もしくはD級の魔物を十匹倒せばD級にランクアップ出来るよ。別に討伐系のクエストを受けなくても魔物を刈るのは自由だし魔物の部位の買い取りもやってるから安心しな。クエストで盗伐依頼が出てる魔物を狩ってきたらその場でクエスト達成って事にもなるから結構おすすめさね。あっ! だからって高難度の魔物を狙うのはやめときなよ!? 死ぬだけだからねぇ。死なれるとこっちも手続き面倒なんだよ分かったかこんちくしょうっ!」


「えっと~、それは同ランクの魔物を五十匹倒したらランクアップ、一つ上のランクの魔物を十匹倒してもランクアップって事でいいのかな~?」


「お、話が早いねぇ。つまりはそういう事さ。魔物の重要部位の一部を持って来てくれれば討伐達成って事にするから倒したらちゃんと魔物の部位を持ってきなね? ああ、何だったら収納袋を買っていきな? ドラゴンだって丸々入るくらいの魔法の袋さ。しかも収納してる間は重くもなんともないんだ。冒険者には必須だとおもうよ?」



「え!? そんなのがあるんですか!? 魔法の袋かぁ」


 なんてステキワードなんだろう。魔法の袋……使ってみたいし見てみたいなぁ。今回のクエスト達成金の十万ガルの五分の一の二万ガルが僕の報酬となる訳だけどそれで買えたりしないかなぁ。

 

「あ~、もう持ってるので必要ないですよ~」


「「「「え!?」」」」


 ナギ先生。今なんて言いました? 持ってる? 持ってるだって? 魔法の袋を!?



「ちょちょちょちょっと待ってナギ先生! そんな便利な袋持ってたの!? それじゃああの魔物だって収納できたんじゃないの!?」


 スノーちゃんが大慌てでナギ先生に詰め寄る。ああ、確かにそんな便利な袋があれば僕が倒した魔物を入れることができそうだね。



「え~、でもあんな獣臭いの入れたくないじゃないですか~。手持ちの魔法の袋は研究材料入れなんですよ~」


「「「じゃあ新しい袋買ってもいい(じゃん)(んじゃないかい)!?」」」

「……もったいないね……」



 ほぼ全員からナギ先生に対してツッコミが入る。これはさすがに僕もフォロー出来ないよ……。



「え~でも~買うのは勿体なくないかな~? 欲しいならみんなの分も作るわよ~?」


 なん……だと?

 ナギ先生の作る魔法の袋? そんなの――そんなの――欲しいに決まってるじゃないか!!



「本当ですかナギ先生!? はいはいはーい! 欲しいです。超欲しいです!」


「私も私も! そんなの作れるなんてさすがシロの師匠だね!!」

「……私も……欲しい……可愛いのが……いいな……」

「私も欲しい」



 スノーちゃん達も次々に欲しいと言い出す。ナギ先生が作る魔法の袋だからね。そりゃ欲しがって当然だよね。



「いやいやいやいや、あんたらちょいと適応力高すぎないかい!? 魔法の袋だよ? 国の特級魔道技師が数か月かかってようやく一つ作れる代物だよ!? なんでそんな物を作れるんだい!?」


 そんなに作るのが難しいのか。特級魔道技師がどれだけ凄いのかは良く分からないけど、なんとなく凄そうだと思った。

 でも、リンさんは大事なことを忘れているね。何でナギ先生がそんなものを作れるかだって? そんなの決まってるじゃないか。



「そりゃナギ先生ですから。ナギ先生の手にかかれば魔法の袋も数日で出来ちゃうかもですね!」


 魔法の袋がどんなものか分からないけど、ナギ先生なら他の人が作るのに数か月かかるものでも数日で作ってしまいそうだ。



「馬鹿言ってんじゃないよ。いくらなんでもそりゃ無茶ってもんだろう。そもそも作れるっていうのも信じられないねぇ」


 リンさんが疑わしそうな目でナギ先生を見ている。まったく……見る目がないなぁ。



「いや~、材料さえあれば一時間もあれば作れちゃいますね~」



「「「一時間!?」」」


 訂正。見る目がなかったのは僕も一緒のようだ。



「いやいやいやいやいや。いくらなんでもそりゃホラ吹きすぎだろう姉さん!? さっきも言ったが魔法の袋ってのは国の特級魔道技師が一つ作るのに数か月時間をかけてる代物なんだよ!? それを一時間もあれば作れる? いくらなんでも信じられないねぇ」


「いや~、正直なんで魔法の袋程度でそんなに驚かれるのか理解に苦しむんですけどね~。なんだったら実演してみせましょうか? シロ君、スノーさん、ミコトさん、イリさんの分の魔法の袋なら今持ってる材料だけで作れますし~」


「実演って……ちょ、ちょい待ちな。嘘だとは思うけど一応個室で見せてくんな! いくらなんでもこんな受付の前ではやめてくんな!」


 確かに受付の前でナギ先生の世紀の魔法の袋作りなんて始めたら人がたくさん集まりすぎて大変な事になるだろうね。

 


「分かりました~。ただ、狩った魔物の鑑定とかもお願いしたいんですけど~?」


「あぁ!? そんなもんまとめて個室で相手してやるよ! ほらほら、私も暇じゃないんだ! とっとと行くよ!」


 ああ、そう言えばグロースバジリスクの素材の鑑定がまだだったよ。まぁあんな魔物の事はどうでもいい。今、重要なのはナギ先生の魔法の袋作りが見られるという事だ。



「絶対リンさん素材見たらびっくらこくよね?」

「……びっくりの……連続……だね? ……」

「それは私たちも一緒」



 スノーちゃんたちがこそこそと話をしてクスクスと笑っているがそんな事はどうでもいい。いざ行かん! ナギ先生の魔法の袋作り見学へ!


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