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禍津解錠 11

 「キュワァァァアアガァ!!!」


 「お、おい、おわっ、マジか、うわっ!!」


 痛みからか、いきなり暴れだした敵に最初は何とかしがみついてた暁良だったがその後、耐えきれず振り落とされてしまう。


 そして暁良が落ちた事を知ると、敵は羽を高速で震わせて上空へ向けて飛び立ち、豆粒くらいの大きさになるとそこに留まる。


 「痛ぁ〜、な、何やってんだあいつ」


 「まずいぞ、暁良!カメラで確認したが、今、敵は上空で蛹のような状態になって浮遊している。恐らくだが、生まれ直してお前の斬撃にも耐性を得ようとしてるんだろう」


 「騎士か···なるほどそういう事ね」


 ここに呼ばれる際、騎士から事前に敵の情報を得ていた為、暁良は直ぐに状況を把握する。


 そして、すぐに遼と咲枝に声をかけ、ある作戦を提案する。


 「それは危険です。認める訳には···」


 「いややろう、あれは放っておくとやばい」


 「遼さんありがとうございます。先輩もどうかお願いしますわ」


 「ちょっと······うっ、わ、分かりました。その代わりしっかりと自分の安全は確保してくださいよ」


 完全にやる気な暁良と遼に後押しされる形で渋々了承した咲枝は能力でケンロウガジョウを召喚し、その掌の中に暁良と遼を乗らせる。


 「行きますよ!!」


 そして、そのまま2人を上空の昆虫に向けて放り投げる。


 それから数秒、最高到達点に到着すると続いて遼が鎧鬼を召喚、先程と同じ要領で暁良のみを再び上空へと飛ばした。


 「頼んだぞ!」


 「ああ任せろ!」


 と遼の力により、更に数十m敵との距離をちじめることに成功する。


 だがあと僅かに足りなかった。


 「·····よし、後は···」


 そのため暁良は手元に神具を召喚して、真っ直ぐに上空へと刀を投げる、するとその刀は蛹状態の敵を通り越して敵のいる所よりも更に上まで到達する。


 そして。


 「斬像!···生キ写シ!!」


 と技を繋げていき相手の上方に辿り着いた暁良は何度目かの十束ノ刃を発動させ、蛹状態の敵の後頭部に刺さっているもう一本の十束ノ刃に向けて刀を構える。


 更に暁良は自身の後方に鞘に収まった状態の刀を持った斬像を召喚して、刀を自分の足の裏にあてがい、そのまま思い切り振りかぶる様にして自身を敵に向けて射出した。


 「オラァ!!」


 そんな掛け声と共に敵の元まで辿り着いた暁良は既に敵の後頭部に刺さっている刀に自身の持っていた刀を重ねる。


 「百騎一閃、二十一重(にじゅうひとえ)


 2本の刀が1つになり、更に破壊力をました百騎一閃は敵の硬質化された蛹の外殻を完全に破壊する。


 そして蛹の中で液状化した昆虫の体が辺りに飛び散り、汚い雨を降らせると共に、その一部が暁良の身体に纒わり付く。


 「うわ、気色の悪っ!」


 敵を倒した喜びよりも先にそんな感情を生じさせながら、空から落ちていく暁良。


 もしかしたらこの粘液がまた襲いかかってくるかと少し身構えたがそんなことは無く、これで完全に討伐が完了した事に安堵する。


 そして、纒わり付く粘液を払いながら落下している中で暁良は不意に周りを見渡す、すると。


 「···ん?」


 少し離れた所のビルの屋上に男の人っぽい人影を目撃する。


 「あいつ何やってんだ?」


 申請している人以外が禍津解錠下の地域へ侵入する事は法律で固く禁じられている。


 バレれば懲役が課せられてしまうことも十分に有り得るだろう。

 

 「ちっ、仕方ねぇな」


 もしもの為に斬像を1体付けてやって禍津解錠が終わるまで何処かに隠れさせてれば問題ないだろ。


 そう暁良は考え、いい感じに地面が近づいた所で地面に向かって刀を投げ、そこへと生キ写シする事によって無事に地面にたどり着いた。


 そして先程見た事を遼にそっと耳打ちし、自身がこの場を離れる言い訳を適当に考えて皆に説明するように依頼すると暁良はあの男がいたビルの方へと走り出した。

長くなったから2つに分けました。

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