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人身御供とテロリスト 2

 と、そんな風に笑っていたのは午前中。


 「さ、一緒に来てもらいましょうか?王女様」


 「ん?」


 午後2時現在、休みを有効利用するため、騎士を連れ出しゲームセンターに来ていた俺の前に4人のThe傭兵と言う見た目の男達が現れて、たった今、格ゲーの対戦中である俺に声を掛けてくる。


 どうやら新聞に出ていた王女と俺の事を間違えているようだがどうにも腑に落ちん。


 俺は、騎士と俺が一緒にいるところを九條学園の生徒に目撃されたくなかったのでフードを深く被るなど色々して軽く変装もしていたのだ。

 

 だが、なぜかこいつらにはバレてしまった。


 いや、王女と俺を間違えてるからバレてしまったっていう表現も少し変ではあるんだけどな。


 「人違いだと思います」


 俺はゲームから目を離すことなく呟く。


 「は?お前舐めてんじゃねーぞ」


 「ちょっと五月蝿いな!今いいところって、うわっ!」


 コイツらのせいで気が散ってしまった俺は一瞬の隙をつかれて対戦相手にコンボを決められ負けてしまう。


 「おい!!お前これが見えねーのか」


 そう言って1人の男が拳銃を取り出す。

  

 そして。



 バァン!!!



 と大きな音がゲームセンター内に鳴り響き、その後、一瞬だけゲーム機、人間とその全てが沈黙した様な錯覚に陥る。


 「痛てて」


 俺はゆっくりと立ち上がり、驚いている拳銃を持った男と正面から向き合いながら少しだけ痛む手を摩る。


 「おい負けたからって台パンすんなよ」


 とそんな中、対面の筐体で俺と対戦していた騎士が向こうから顔を覗かせる。


 「···ああ、そういう事か」


 だが直ぐに状況を察したのか、その後は黙って俺達の様子を伺いつつ、もしもの時に備える。


 そして。


 「神具展開、百騎一閃」


 「!?」


 俺はすかさず神具により拳銃を斬り裂き、バラバラになった拳銃が音を立てて崩れ落ちる。


 「な!?おい、返納機はどうした」


 「は?作動させているぞ」


 そんな感じで仲間割れをする傭兵たち。


 ···って、またこのパターンかよ。早めに片付けるか。


 「おら!!」


 と、俺は1番近くにいる男を回し蹴りで吹き飛ばし気絶させると続けて他の奴らにも目を向ける。


 「ち、お、おい!動くんじゃねーぞ」


 1人の男がゲームセンター内の少し離れた位置にいる人たちに機関銃を向け、俺に脅しを掛けてくる。


 この頃になると、ゲームセンター内の人達にも今なかにが起こっているのか知れ渡った様であり、皆かなり怯えている様子であった。


 げっ、人質かよ面倒くせえな。


 「斬雨」


 しかし、こういう時は間を開けていはいけないと考え、すぐ様空中に刀を召喚し、その中の2本ほどを銃を向けられていた客の前に向けて射出し、地面に刺さったところですぐに斬像を召喚する。


 それに驚いた男はすぐ様、数発発砲してしまうが、それは2体の斬像によって空中で撃ち落とされる。


 「!?」


 「残念だったな」


 と俺は刀を逆に持ち、峰打ちの状態で残りの傭兵に斬りかかって、何とか全員を気絶させることに成功する。


 そして、4人の男が倒れている様子とそこそこ荒れてしまったゲームセンター内を見る。


 ···ああ、これは流石に無かった事には出来ないか。


 「はあ、騎士お前は帰っててくれ」


 「大丈夫なのか?」


 「ああ、お前と一緒にいる事がバレる方がまずい、行ってくれ」


 「分かった。この後は警察に通報してそれからは来た警察に従えばいいからな」


 「了解」


 そう言うと騎士は荷物をまとめこっそりと立ち去る。


 「さてと···」


 ダルそうに呟いた俺はもう1つのやる事をこなす為、傭兵たちを拘束しつつ、その中の誰かが持っているであろう返納機を探し当ててこっそりと破壊した。


 それにしても、こういう奴らも返納機を持っているのか、もし襲われたのが俺ではなく本当にお忍びでゲームセンターに来ていた王女だったらまず捕まっていただろう。


 朝の会話で興味を持って少し調べてみたが、今、来日している王女の国であるメリヴァ王国は治安があまりよくないらしく、王が暗殺される事なども多かった為、2、3世代前から自身で防衛手段を持っているという理由で神具使いの女性を女王として国の長にするようになったようであり、来日した王女はその後を継ぐものとして最有力とされているとの事であった。


 だが女性を王にするという事に反発した1部の過激派が、返納機などを不正に仕入れて、王族の暗殺を企てるなど未だ危険である事に変わりはないとの事で、この自然災害以外は非常に安全な国である筈の日本で銃と返納機を持った奴らに襲われるという事がその危険性を物語っていた。


 まあ何はともあれ、俺も返納機が効かないということに胡座をかくことなく、気を引き締めて過ごさなくてはならないという事だろう、でなければその内に痛い目を見ることになるかも知れない。


 と、そんな事を考えながら俺は警察が到着するまで10分程度を過ごしていた。

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