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吉野宮暁良と隠された扉 6

 そして俺は部屋に戻り調査ノートを読み込むと、その夜に遼にもそのノート見せた。


 「なるほどな。確かにこの劣化具合からしてなかなか昔に書かれたものである事は間違いないな···」


 「いや、昔に書かれたって事だけじゃなくて、もはや失踪事件があった事も確定だろ。そしてこのノートは木戸川鶴子さんが俺達に残したダイイングメッセージなんだよ」


 「えー、そうか?なんか怪しいけどな」


 「···はあ、もうお前はいい、騎士に手伝わせるわ」


 少し怒ったような口ぶりでそう言い携帯を手に取ると、俺は電話帳から騎士を選択して電話を掛けようと着信ボタンを押そうとする。


 すると。


 「ああちょっと待て、お前が全て正しいでいいからさ」


 「なんだよ急に」


 ちょっとだけ慌てた様子で俺の携帯を取り上げてくる遼。


 「いや、騎士も一応は教師側なんだから禁止されている事を手伝わせるのはダメだろ。チクられたらどうすんだ」


 「え?でも騎士はそんな事しないと思うけどな」


 「バカお前、そんなのわかんねーだろ。それに告げ口しないとしても、俺達に手を貸してる事がバレたらアイツの立場的に良くねーだろ」 

 

 「ま、まあ確かにな···」


 「ほら、分かったら騎士にこの事を知らせるのは無しだ。分かったな?」


 ···なるほどな。確かに一理ある。


 と何となく納得した俺は返された携帯の戻るボタンを連打しホーム画面へと戻す。


 「で作戦はどうする?現在の扉の位置は分からねーし、やっぱりローラーか?」


 「まあそれでいいが、鎧鬼はデカくて目立つし、もし見つかったらマガツモノと間違えられかねないから慎重に使う必要があるぞ」


 「ああ、それはまあいい、言い出しっぺは俺だからな、斬像で8~9割くらいは調べてやるさ」


 「ああ、サンキュー、あと、ここに扉の絵が記されているが改装によって扉の形は代わっている可能性も高い、この絵に囚われずに探す必要もあるぞ」


 「そうだな、それと、この見取り図を見ると扉は1階にあった事が示されているから、調べるのは建物の1階、もしくは敷地内の地下って事だな。···っ、それにしても広大だな」


 「だな。だが、お前が言い出したんだからしっかりやれよ。手伝いはするからさ」


 「ああ」


 そうして俺と遼は腕相撲の様な形で握手を交した。


 それから早速お互いにベットの上で集中し、それぞれ斬像と鎧鬼を学生寮の外に召喚すると捜索に当たらせた。


 



 俺達は扉探しをするにあたって、いくつかのルールを設けた。


 1つは、放課後から最終下校時刻までの間は斬像等を使う事はせず自分達の足で探すこと。これは単純な理由で人の目がある中で斬像を大量に召喚してなにか探し物をさせているというのは、誰がどう見ても噂を確かめようとしている様にしか見えないからである。


 その分、効率は落ちるが自分の足で探していればいくらでも言い訳する余地はあるという訳だ。


 そして2つ目に、探した場所の情報共有はしっかりと行うこと。


 その理由はこれまた単純で無駄を省き効率化を図るというただそれだけの事である。


 と、まあこんな所だ。

 

 あとは長く見積もっても1ケ月くらい掛ければ、扉を見つけ出す事が出来るだろう。


 と、俺達はそう踏んでいた。


 しかし思わぬ障害が俺たちの前に立ちはだかる事になる。



 それは捜索開始から1週間後くらいの事であった。



 急遽開かれる事になった全校集会で俺達は入学式が行われた大きな講堂に集められていた。


 そしてしばらく待っていると桐原先生が壇上の机の前まで歩いてくるのが確認できた。 

 

 それから、さらに少しだけ時間が経ち、講堂中がしんと静まり返ったのを見計らい桐原先生は口を開いた。


 「今日、お前達を呼び出したのは注意喚起のためだ。昨日の夜、学生寮の門限を過ぎた後で学園の校舎内に侵入した大馬鹿者な生徒が現れた」


 ドキッ!!


 と俺は一瞬だけ心臓が破裂しそうな程に高鳴ったが、冷静に考え、それが俺達のことを指しているのでは無いと気がつくと、少し落ち着きを取り戻す。


 だが桐原先生は尚も強い口調で話し続ける。


 「そいつらには反省文を書かせる事で手打ちとしたが、我々はこの事態を重く受け止め、教師陣の話し合いの結果、深夜の取り締まりを強化する事が決定した。······皆、門限はしっかり守り深夜の学校に侵入するといった幼稚な真似は決してするなよ。皆も知っているとは思うが私は2度目は許さない。次にこのような事を見つかったら反省文程度ではすまぬから覚悟しておくように」 


 ···。


 ·····これはまずい。

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