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吉野宮暁良と隠された扉 4

 そして時間が経ち23時。九條学園学生寮1203号室にて。


 食べ物もあらかた食べ尽くし、ゲームも遊び尽くしてしまった俺達は各々だらだらとした時間を過ごしていた。


 騎士もこの部屋に入る直前までは少し緊張している様子ではあったが、部屋の中の惨状を見て緊張するだけ馬鹿馬鹿しいと思ったのかすぐに打ち解けていた。


 そして、そんないい雰囲気の沈黙がこの場を包む中で遼が不意に口を開く。


 「そう言えばお前らなんでこんなにこの部屋に来るの遅かったんだ?ちょっと心配してたんだぞ」


 「ああ、それか。···なんか心音ちゃんが急な用事が出来たとかで大浴場の掃除を頼まれたんだよな」


 「なるほどそういう事か。そう言えば俺もここに帰ってくる途中に心音ちゃんにあったぞ、何か最近の噂の件で理事長に呼び出しくらったって言ってたな」   


 「ん?噂?なんだそれ」


 「最近、生徒達の中で少し話題になってる奴だよ、知らないのか?···騎士はなんか聞かされてない?」


 遼は一応先生という肩書きを持っている騎士にたずねる。


 「噂というと、最近学園のネット掲示板とかで話されている奴か?」


 「そうそれ」


 「ああ、その件なら俺も話は聞いている。まあ、探し回るような奴がいたら注意しろって位だったけどな」


 「え、何それ?俺だけ知らんの?」


 一人のけ者にされた俺の為、遼は携帯で学園の裏掲示板を調べ、俺に見せる。


 「九條学園の闇、隠された扉?なんだこりゃ?」

 

 「まあよくある学園の七不思議みたいなもんだろ。一つしかないけどな」


 「···長い歴史の中に葬られた九條学園の闇、隠された扉の中に封印された古のマガツモノと生徒の連続失踪事件?それは偶然かあるいは生け贄か···?」


 その掲示板にはそんな言葉と共に、九條学園の成り立ちからそのマガツモノが封印された経緯や目撃情報から推測できるマガツモノの姿、また失踪した数名の生徒の個人情報や顔写真など情報も事細かに記されていて、少しゾクッとする程に上出来な創作だと思えた。


 「と、まあこんなのが掲示板で少し話題になって、実際に少し探し回った生徒まで現れたって感じだな」


 「へ、へー、こんな噂に踊らされるなんて皆んな子供だな〜、はははー。それにしてもこんな噂なんて捨ておけばいいのにな?ああでも、やっぱ九條学園の生徒ともあろうものがこんな低俗な噂を間に受けるのは良くないって感じなのかな?」


 「···」

 「···」


 「み、皆さん?」


 俺の問に少し間をあけた後、遼がゆっくりと口を開く。


 「いや、まあこれが真実だとは思ってないけどさ、なんか対応早すぎなんじゃね?」


 「まあ、確かにな。この噂も恐らくは学園の生徒の1%くらいしか知らない筈なのにな···」


 遼が少し神妙な面持ちでそう言い、続けて騎士がそれに同意を示す。


 「え、もしかしてこの噂は本当って事なの?」


 「本当だとは思っていないってのはさっきも言っただろ。···ただまあ、火のないところに煙は立たないとは言うがな···」


 「へ、へー」


 ···。


 ·······。



 「よし、ゲームの続きだ!!」



 俺はあまり九條学園について嫌な印象を持ちたくないという心情から手を叩きその話を切り上げ、同時に騎士にコントローラーを放り投げた。


 そして俺がゲーム内のキャラクターの選択を始めると、それに釣られて騎士も少しだるそうにしながらコントローラーを手に取る。


 そうして、その後は噂の話が出る事は無く、どんちゃん騒ぎで楽しく過ごし、気づくと寝落ちしてしまっていて翌朝を迎えていた。





 だがしかし。


 それから数日経過し、噂の事など記憶の片隅に置かれ、当然その噂に乗って学園を散策する事など無いだろうと思っていたある日。


 図書室で調べ物をしている時に、俺は偶然にもその事件に関わる重要な資料を見つけてしまう。


 そして、この発見により俺は積極的に九條学園の闇について調べ始めてしまう事になるのだった。

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