初任務(仮) 14
そして、その後の後日談。
ルロウゴウケツとリリネの戦いはリリネの要望により一騎打ちとなり、その戦いは非常に激しい打ち合いとなったが、時間で言うそれはほんの数分間の出来事であった。
そして、当たり前といえば当たり前だがフルマイミタマキドリの張っていた結界は奴が倒された事により気づくと消えて無くなっていて、フルマイミタマキドリとルロウゴウケツが消滅した数十分後、九條学園から派遣されて来たヘリコプターは無事に村に降り立つ事が出来て、被害にあった村人などの救護活動が行われた。
また調べた結果、フルマイミタマキドリがこの村の人々を操ったのが今から丁度2週間前で、村に寄生するにあたって、この地に数十年も昔から住んでいたルロウゴウケツが邪魔だったため、村人を使ってルロウゴウケツの退治を我々に依頼したという流れだったと分かった。
また今回の事件では怪我人や死者は出ておらず、村人たちは操られていた間の記憶を薄らとは覚えているようであったが夢の中の出来事の様にフワフワとしたものに感じているらしかった。
その後、俺達は派遣されて来た人達へ状況の説明をあらかた終えると救護班の人達と入れ替えでヘリコプターに乗ることが出来て、そのまま九條学園へと送って貰えることとなった。
「はあ···」
俺は軍の輸送用の様な向かい合うようにして横に2列あるヘリコプターの座席に深めに座ると疲れから来るため息をもらす。
「お疲れ様」
すると隣に座っていたリリネが俺の方へと少しだけ体重をかけ寄りかかりながら呟く。
そのリリネの行動にドキッとする俺であったが、しかし、激しく動揺する事すら出来ないほどに疲れ切っていたというのもあり、すぐに落ち着きを取り戻すとその状況を自然に受け入れることが出来ていた。
「リリネさんこそお疲れ様ですわ。今日は大活躍でしたからね」
「いや、家に"斬像を置いている"なんて嘘までついて私を励ましてくれたアンタのお陰よ。いざとなったら逃げてもいいって言うのも含めてあれのお陰でだいぶ楽になったわ」
「い、いや、あれは嘘ではないんですが···」
「いーわよ。そういうの」
リリネはそう言うとさらに俺に向けて体重を掛けて目を瞑って、俺の肩を枕にして眠る体勢に入る。
まずいな。俺が家に斬像を置いている話を嘘だと思われてしまったようだ。
さてどうするべきか。
俺はそんなことを考えながら、俺の肩で眠っているリリネを眺める。
···はあ。
まあいいか、この状況で否定して、言い合いになるのも非常に面倒だ。
俺はこの誤解については、また今度解くことにきめて、自らも眠りに入ろうと目を閉じる。
すると。
「痛っ」
何かが頭に当たった感覚がして目を開ける。
すると、俺の対面に座っていた遼が俺に向かって紙くずみたいなのを投げて来たのがわかった。
「何すんだよ」
「···」
俺の問に遼は首をクイッと1度横に振るジェスチャーで返してくる。
「は?なんだそりゃ?」
と最初は訳が分からなかったが、よく自分の身の回りを観察すると気が付かない間に俺自身もリリネの方に体を預けていた事に気づく。
「マジかよ」
続いて俺はもう片方の隣を軽く見て、そこに寄っかかることが出来るものが無い事に気づいて絶望する。
そして、そのまま俺は遼の監視下の中、90°位の座席に苦しめられながら九條学園に着くまでの30分ほどの間、背中の痛みからひたすらに耐えることとなった。




