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初任務(仮) 9

 俺は逃げながら、その場の4人にも状況が分かる様に通話の設定をスピーカーモードに切り替える。


 「フルマイミタマキドリは村や集落に寄生するマガツモノで食物を与えた者を操る能力を用いて自分の眷族を増やして行くという厄介な奴だね。ああ、キセイって言っても故郷に帰る方じゃないよ」


 「いや分かっとるわ!···っ、コホン。分かってますわ。それよりも遼さんと東雲さんがこの村に来て1食分ご飯を食べてしまって居るのですが、さっき言ってた事が本当なら1食だけなら大丈夫なんですわよね?」


 「ああ、食べちゃったんだ。ちょっと待ってね···」


 隠し持っていた鉈や鎌などの農業の道具を持って追いかけてくる村人から逃げながらも、電話口の向こうの淀川先生から必死に情報を得ようと奮闘する俺。

  

 「···うん、1食だけなら逃げ回る分には問題ないみたい。たださっきも言った通りフルマイミタマキドリと村人たちには攻撃をする事が出来ないから気を付けてね。あと分かってると思うけど村人は操られてるだけだから、出来れば手荒な事はしないでね」


 「了解ですわ。ああ、あと結局、マガツモノがホウジョウミタマ?ではないと言うことならこの結界壊してもいいんですわよね?」


 「あー、いやー、それはやめた方がいいかも···」


 「なんでですの!」


 「その結界は眷族、つまり操っている人の生命力を使って生成されているっぽいんだよね。だから修復するにあたって犠牲者がでるかも···まあでも本当にやばくなったら壊して逃げてもいいんじゃないかい?」


 「いやそんなこと言われたらもう出来ませんわ」

 

 「あー、だよね。今から桐原先生と相談して治療系の神具を持った御子とかを応援に向かわせて貰うから頑張って耐えて」


 「了解ですわ!あともっと詳しく敵の情報を知りたいので調べてくれると助かります」


 「OKちょっとまっててね。確かあの辺に···、あれ、届かないなー、よいしょっ、···ぐぅふうっ!!!?」

 

 ゴキッ!!!


 バタバタッバタバタ!!


 携帯の向こうから電話越しでも聞き取れるくらいの鈍い音が聞こえ、その後、本が大量に崩れ落ちてきたであろう音が響く。


 「ちょっと、どうしたんですか、大丈夫ですの!?」


 「や、やばい。腰がっ···。腰をやっちゃった···ぐっ···う、うう、あ、あったよ。フルマイミタマキドリは結界を張ったらそのテリトリーの中から出る事はないみたいだから、きっとその結界の中のどこかに隠れてるはず、それを倒せば洗脳も解けるみたいだか····んば···おし··········」


 「もしもし、もしもーし!!!なんなんですの!」


 俺は焦りながら携帯の画面を見る、するとどうやら圏外になってしまっているようで、そのせいか淀川先生との電話が途切れてしまっていた。


 くそぉ、短時間で色々な事があって混乱する!


 とにかく淀川先生の容態が心配だが、それと同時に桐原先生に言ってこっちに助っ人を寄こすと言う約束が果たされるかも分からない状況だ。


 それと先生の情報では、この村に来て料理を食してしまっている遼と東雲さんは逃げることしか出来なくなっているらしい。


 だがその縛りがあっても神具によって身体能力が上昇している2人が村人にやられてしまうなんて事はまず有り得ないだろう。


 そして奇跡的に俺と二条院さんはそれぞれ特別な理由で食物の摂取を回避することに成功していた。


 まさか昨日の期限切れの惣菜パンに感謝する時が来るとは驚きだが、これで助けを待つだけの存在にならないで済んだ訳だ。


 ···よし作戦が決まった。


 俺は急ブレーキで振り返りながら立ち止まると、操られた村人達と向き合う形になる。


 そして刀を構えながら村人の方に向かって走る。


 すると咄嗟に村人の何人かが俺に向かって鉈や鎌を投げてくる。


 「危ないですわね!!」


 だが、それを俺は構えていた刀で斬り裂き、空中で粉々に砕く。


 そしてそのまま的確に村人の武器に向かって刀を振るい、武器のみを破壊する事に成功する。


 「遼さんと東雲さんはすみませんが囮をお願いしますわ」


 振り返り、遼と東雲さんにそう告げると、2人はに小さく頷く。


 続いて俺は二条院さんへと目を向け、彼女の目をしっかりと見つめる。


 「そして二条院さん、私には貴女の協力が必要ですわ。フルマイミタマキドリを倒しに行きますわよ!」

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