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エロ本奪還作戦 10

 「ほら一応、学園長と桐原先生を呼んでたんだよね」


 遼はそう言ってドアの辺りを顎で指すと少し遅れて学園長と桐原先生が模擬戦場内に入ってくる。


 「···これはチャンスではなくて?」


 「暁良ならそう言うと思ったよ」

  

 俺と遼は恐らく同じ事を思ってニヤリと笑う。


 これは俺たちが如何に優れた生徒であるか示すチャンスだ。


 ツヅリコジキは今、学園長室の本や資料を喰らってしまっている。


 きっとその中には重要な資料がいくつか含まれているのは明白であり、それを取り戻すことが出来れば、賞賛される事はまず間違いなかった。


 「そうと決まれば一瞬で決めますわよ。···十束(とつか)ノ刃!!」


 俺は自身のまわりに9本の刀を召喚し、自身の持っている1本に集結させる。


 「一点集中でいきます。サポートは任せますわよ」


 「仕方ない。でもこれは2人の手柄だから」


 「分かってますわよ!!」


 そう言って俺は遼を信じ、ツヅリコジキに向かって走り出す。


 「デットエンドⅠ、デュアルスペルⅠ、デュアルスペルⅠ···」


 対するツヅリコジキは先程と同じ手口で死の魔法を複製し、俺の目の前にいくつもの禍々しい色の球体が出現させ行く手を塞ぐ。


 だが俺はそれを全く気にすることなく走り続ける。


 「そこ!···そこ!」


 と後方から俺を避けるようにエネルギー弾が放たれ、俺の周囲に出現する球体を的確に狙い撃ち消しさっていく。


 「ナイスですわ!!」


 俺はそうして出来た空間をくぐり抜けるような形で尚も走り、それから数回敵の攻撃が出現し、それを遼が銃弾が撃ち抜くという様な攻防を繰り広げながら、俺はようやくツヅリコジキの真正面の数m離れた位の位置に到達する。


 「これで終わりですわ!!!」

 

 そして突きを放つ態勢で最後の大きな一歩を踏み出そうとする。

 

 だが。


 「バリアⅠ、マジックアップⅠ」


 ツヅリコジキは自身の周りを覆うように薄いバリアを展開し、2つ目の魔法でそれを強化する。


 「ちっ、忘レ刀」


 それを見た俺は咄嗟に今自分が持っている十束ノ刃状態の刀を斬像に持たせると自分は一旦急ブレーキをかける。


 そして、斬像にはそのまま突きを放たせる。


 ギギギギギィィ!!


 という電動ノコギリで鉄を切断する時の様な甲高い音が鳴り響き、斬像の攻撃とツヅリコジキのバリアはお互い1歩も引かない攻防を繰り広げる。


 それはこのまま行くと相殺に終わってしまいそうな程に互角であった。


 しかし。


 「うおおうらぁ!!ラスト!!!」


 俺は急ブレーキを掛けた所から再び敵に向かって走り、スパッツを履いているためスカートを気にすること無く片足を大きく上げると、残像が持っている強化した刀の柄の先端部分に靴の裏を当て、そのまま押し込むように蹴りを放つ。 




 ドゴォン!!!




 と次の瞬間にはちょっとした地震が起こったと錯覚するほどの揺れがあり、俺の攻撃でツヅリコジキの腹部に空いた風穴からはその原因である刀が模擬戦場の壁に突き刺さっているのが確認できた。


 「ギ···ギギ···?」


 そして、最後に絞り出すように鳴き声を上げたツヅリコジキはそのままぐったりと倒れ込み、数秒後、捕食していた大量の本と紙の資料をバラバラに散らばらせながら消滅していった。

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