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エロ本奪還作戦 9

 「やりましたにゃね。お姉様」


 「え、ええ」


 駆け寄ってくる姉小路さんに俺は少しだけ自信無さげに答える。


 俺自身でも正直やったか!とは思った。


 しかし、今までが今までだけに断言は出来ない、俺はその真偽を確かめる為にゆっくりと敵に近づく。


 すると。


 「リライフⅠ、リライフⅠ、リライフⅠ、リライフⅠ、リライフⅠ···」 


 と何とか聞き取れるくらいの音量でそのような言葉が何回も発せられていることに気付く。


 まずい!


 俺はそう思って手に持った刀で敵を突き刺そうとする。


 がしかし。


 僅かに一手ほど間に合わず、ツヅリコジキの体から強い光が放たれる。


 「まずいですわ。姉小路さん!」


 「えっ?」


 俺は姉小路さんの手を引き、ツヅリコジキから距離をとる。


 そしてしばし静観していると、敵の体から放たれていた光が徐々に薄れていき、傷が僅かに残っているものの奴は復活を果たしてしまった。


 「○◎▲▽□▽!!!!」


 続けてツヅリコジキ激昴した様に咆哮して。




 「デットエンドⅠ」




 ととても意味深な魔法名を口にする。


 すると敵の目の前にサッカーボールほどの大きさの禍々しい色のエネルギーの球体が出現する。


 「デュアルスペルⅠ、デュアルスペルⅠ······」


 さらに続けて違う魔法を口にすると先程のエネルギーの球体はねずみ算式にその数を増やしていき、模擬戦場を数十のそれらが埋めつつくす形になる。


 そして同時にそれらはシャボン玉の数倍は遅いのでは無いかと思えるほどの低速で徐々に俺たちの方へと動いていた。


 「なんだこりゃ?」


 「!!?。本庄さん危ないですわよ!!」


 「って、うるせぇな。触ったりしねーよ」


 敵の出現させた球体に近付こうとした本庄に注意するが、元々触る気はなかったようで逆に怒られてしまった。


 「ちょっと本庄さん!お姉様は心配してくださったんですにゃよ?」


 「あ、ああ、別にいいですわ。さっき敵がデットエンド〜とか言っていた気がしたのでちょっと敏感になってしまったんです。それに奴は同じ技を何回も使う訳ではなく、違う魔法で最初の魔法を複製した様に見えました。恐らくは1回までしか発動出来ないみたいな縛りがあるのではないでしょうか?」


 本庄さんに突っかかって行きそうな姉小路さんを宥めつつ、敵の魔法についての推理を述べると、本庄さんも納得したように首を数回縦に振る。


 「なるほどな、名前とその縛りから考えてこれは死の魔法みたいなものと考えていいだろうな。ちっ、怖ええことしやがる」


 カチャンと自身の手の掌にもう片方の手の拳をぶつけ合い、付けたガントレットの音を打ち鳴らしながら、怒り露わにする本庄さん。


 「デュアルスペルⅠ、デュアルスペルⅠ」


 「くっ···」


 死というものはやはり恐ろしい。


 普通にしていたら絶対に当たらない程に遅い技だが、当たったら死ぬかもしれないと考えただけで、やはり圧迫感がある。


 俺たちは少しづつ本が積まれている壁に向かって追い詰められていた。


 「と、とりあえず実験ですにゃ、迅雷波!!」


 姉小路さんは剣に雷を溜めて、それを上段に構え振ると雷が降り注ぎながら地を這い進んでいき敵の出現させた球体に衝突する。


 最初の1、2個に関しては問題なく破壊する事が出来たが、3個目にぶつかった瞬間、雷と球体はともに一瞬にして消え去ってしまう。


 「なるほど、当たったら必ず死ぬ訳ではないんですわね。···でもこれは」


 さすがに割に合わなすぎる。


 きっと姉小路さんのあの技はそこそこのエネルギーを消費すると思われる。打ち消せる球体とでは釣り合いが取れない。


 あとは本庄さんだが、彼女は思いっきり近接戦闘向きだ。この手の攻撃はかなり苦手だろう。


 もちろん俺に関しても、直接、刀を使った戦闘がメインであるため、あれに百機一閃をぶつけて刀が破壊されてしまったとしたら大変な事だ。


 最も破壊されたとしても修復は可能なので最後の手段ではやるしかない。


 しかし、一つ修復するだけでも恐ろしい程のエネルギーを必要とするため出来れば避けたい所だ。


 なにか他に方法は無いか······と俺が必死で思考を巡らせていたその時。



 「魔銃三段撃ち(ケルベロスブラスト)


 

 と上空から声が聞こえ、俺たちを避けるように降り注いだ闇のエネルギー弾により敵の攻撃は撃ち抜かれ、消えてなくなった。


 「全く遅いですわよ」


 「ごめんごめん」


 俺は、颯爽と現れ俺たちの数メートル前に着地した人物に笑いかけると、そいつはクールを気取りながら振り返りそれに答えた。

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