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騎士教諭殺し 解決編 8

 「ちょ、ちょっと待てって、全然理解が追いつかねーよ」


 「いや、もういい。別に理解して欲しくもない。お前はずっと私に利用されていたって、それだけわかってれば問題ない。そう、お前がブラクラに連絡を取ったあの時からな」


 遼はまた意味深なことを言い、俺が動揺している隙に俺の懐へと入って来て俺の鳩尾辺りに蹴りを入れてくる。


 「うぐっ···」


 俺はそれを何とか手でガードするが衝撃までは抑えきれずに後方へと吹き飛ばされる。


 「···」


 更に遼は無言で銃を構えて躊躇なく引き金を引く。


 そうして無数に放たれたレーザーが俺に襲いかかる。


 「くそ···」


 吹き飛ばされている最中で俺は何とか体勢を立て直して、両手に召喚した刀でレーザーから身を守る。


 そして、直ぐに方向転換して遼へと斬り掛かる。


 カキン!!


 遼の銃と俺の刀がぶつかり合い金属音が響く。


 「ちゃんと説明してくれよ遼!お前は何をしていて何をしようとしているんだ!」


 「だから面倒くさいって···鎧鬼」


 「ぐっ!?」


 突如、横に現れた鬼によって俺は脇腹辺りを思い切り殴られる。


 更に殴り飛ばされた方向では既に2体の鬼が銃を構えていて、そのまま空中の俺に向かってレーザーを放つ。


 「くっ、十束ノ刃!」


 咄嗟に手に持った刀を10本束ね十束ノ刃の状態に変化させた俺は迫り来るレーザーを弾き飛ばす。


 そして、続け様にその刀を敵の一体に向かって思い切り投げる。


 「ぐぅおぅ!!」


 と、刀は鬼の纏う鎧のちょうど隙間に突き刺さり、鬼はそのまま苦しそうな声を上げて倒れる。


 それから1体の鬼を倒す事に成功した俺はすぐさまその刀の元へと”生キ写シ”で移動し、一瞬にしてその隣の鬼も斬り捨てる。


 「流石いい動きだね···でも」


 「なっ···」


 2体の鬼を倒し、一旦周りを確認しようとした俺は驚愕する。


 木々の枝の上や、木の影、または堂々と地面の上になど不規則な位置ながら俺を囲うように無数の鎧鬼が召喚され銃口をこちらに向けていた。


 そして、俺が驚いたのその数だった。


 それらはざっと見ただけでも20を超えていた。


 「ほら、知らない事ばかりでしょ···」


 遼がそうボソリと言うと鬼達は一斉に引き金を引き、無数の銃から放たれた無数のレーザーが一気に俺に襲い掛かる。


 クソ!!駄目だ、これは耐えられない。


 また、生キ写シを使うしか。


 俺は一瞬でそう判断し、斬雨を鬼達が居ない木の枝に放ち、すぐ様そこに移動する。


 しかし。


 「だけど、私はお前の事を知り尽くしている」


 「!!?」


 俺が移動した先には既に遼の姿があり、移動して来た俺に再び銃を向ける。


 ぐっ、間に合わない。


 やられると思いながらも俺は反射的に刀を身体の前に持っていき、遼のレーザーに備える。


 「じゃあね」


 遼は小声でそう言うと引き金を引く。


 放たれたレーザーは俺の構えた刀に当たり、何とか俺への直撃を避けたものの、その勢いまでは殺しきれず、俺はレーザーに吹き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられる。


 「がはっ!」


 い、痛てぇ。


 早く逃げなくちゃ行けねぇのに体が···。


 俺はゆっくりと木から降りてくる遼を見ながら焦り、身体を動かそうとするが上手くいかない。


 「もう諦めろ。お前では私には勝てない」


 「遼···」


 膝をつき、地面に倒れている俺の額に銃を突き付ける遼。


 「···お前、殺されないとでも思っているのか」


 「···ああ。お前にそんな事は出来ない」


 「はあ···」


 それから数秒間の沈黙の後、遼はゆっくりと口を開く。


 「まあ、そうだよな。お前は最悪、実家に逃げ帰ればいいんだからな」

 

 「な、何故それを···」


 それは俺とリリネしか知らない秘密のはず···。


 驚き遼の顔をまじまじと見る俺を遼は見下す様に小さく笑う。


 「お前の事で知らない事はない。技も戦いの癖もキモイ性癖も全て知り尽くしている」

 

 遼は淡々と言うと、どういう事か俺の額から銃を離し、膝を地面から離し、ゆっくり立ち上がる。


 「ま、待て」


 そのまま立ち去ろうとする遼を引き止めるため立ち上がろうとするが先程のダメージで上手く行かない。


 しかし、俺は力を振り絞って何とか立ち上がると、遼の手を取る。


 「···はあ」


 そんなため息が聞こえた瞬間、俺の首辺りに衝撃が走る。


 最初、何をされたか分からなかったが、意識が遠のき倒れる過程でどうやら銃で首元を殴られたのだと分かる。


 「学生寮からは私達が男だと分かるような証拠は全て消しておく。それだけすれば、お前ならどうとでもなるだろう。···ああ、あとブラクラも大野木もどちらも私だからそれらを頼って私を探そうとしても無駄だからな。···まあ、お前は私の事なんて忘れて二条院さん達と青春を楽しめ······じゃあな」


 薄れゆく意識の中で、ぼんやりとそんな声が聞こえたが、それから直ぐに俺は本当に意識を失ってしまった。

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