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神具能力テスト+α 7

 皆が1試合目を行っている間、暇だった俺は遼たちの試合を観察していた。


 まず遼に関しては入学式の時に戦いを見ていたので流し見程度に観察していたが、どうやら無難に勝利を収めそうであった。


 そのため次に二条院さんの試合へと目を向ける。

 

 「神具展開、バーニング・グローリー」


 炎を纏った西洋風の剣を召喚する二条院さん。


 その神具は皆が自分の試合に集中しなくてはならない状況にも関わらず、一際目を引く美しい見た目と扱う炎の火力で周りの目を奪っていて、二条院さんの最初の対戦相手が特に驚いている様子であり、試合が始まっても終始、二条院さんが優勢であった。


 その雰囲気からこの試合の勝敗もあらかた想像出来たため続いていて、もう1人仲良くしている少女、東雲さんの試合にも目を向けてみた。


 「神具展開、1から学ぶ魔法の書グリモワールイントロダクションズ

  

 東雲さんの神具もまた違う意味で周りの人と比べ異彩を放っていて、その形は持つのがやっとな程に大きい本であり、恐らくは魔導書である事が伺えた。


 そして、その戦いに注目していると東雲さんの神具の能力が明らかになる。


 東雲さんは炎や水、風や雷といった様々な属性の魔法を使い戦っていた。


 だが辛口な評価にはなってしまうがその全てが中途半端と言えるレベルのもであった。


 がしかし、恐らくはそれこそが東雲さんの神具の能力なのだろう。


 簡単に説明するとほぼ全ての初級レベルの魔法を使いこなすことが出来る能力とでも言うべきか、まあよく言えば応用が効く、悪く言えば器用貧乏と言った感じの能力であった。


 しかし東雲さんの戦い方を見ているとまだ上手く使いこなしている感じはあまりせず、実践になれていない事が伺い知れた。


 そして結局1試合目は遼と二条院さんは勝利を収め、東雲さんは負けてしまうという結果となった。


 


  

 そんな感じで合計3回の模擬戦は終了した。


 「もー最後、暁良に勝ってれば全勝だったのにー。ちょっとあんたの神具卑怯過ぎない!」


 「おほほ、そこは便利といってほしいですわ」


 俺は二条院さんの愚痴を笑って受け流し、試合の結果を思い返す。


 結局の所、俺たちの成績は俺と遼は3戦全勝で、二条院さんは2勝、東雲さん1勝という結果となっていた。


 全員が1回は勝てたので角が立たず、まあ上々と言った所だろう。


 俺がそんな事を考えていると、再び桐原先生が生徒達の前に出てくる。


 「よしお前ら静かにしろ、全員が試合を終えたな。···では全勝した奴は手を挙げてみろ」


 桐原先生の問により、俺と遼を含んだ6、7名が手を挙げる。


 そして桐原先生はその面子を見渡し、直ぐにまた口を開く。


 「ここにいる者達の中で、今、手を挙げていない奴らはここで1度死んだ。それは本来ならば既にここの場に立てていないという事だ。実際には死なないと分かっていたとしても体に剣が刺さる感覚、銃で撃たれる感覚、炎に焼かれ、雷に撃たれる感覚はリアルに感じられたと思う。大切な物は無くなってから気づくと言うが正しくその通りだ。この世で最も大切であると言える自分の命が失われるという擬似体験はなかなか出来るものでは無く、貴重な体験になっただろう。皆には今日の体験を胸に刻み、今後のマガツモノとの戦闘に活かし、危険を感じた際には最善の行動を取れるようになって欲しい!」


 桐原先生の言葉は生徒達の心に響いたようで、皆、頷きながら心に刻んでいた。


 そして、それを見た俺も、なるほどこれが殉職者0人を誇る九條学園の教育かと思わず感心してしまった。


 「よし、では今日の所は解散とする」


 そしてそのままの雰囲気で今日の全ての行事が終了し、皆、寮に戻る準備を始める。



 しかし。



 「あー、そうだ。さっき全勝して手を挙げて貰った奴らは残れ。···いや、だってあれだろ?お前らはまだ貴重な経験が出来ていないからな」


 桐原先生は白々しくそう言って、悪魔の様な笑みを浮かべた。

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