表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/152

騎士教諭殺し 11

 「遼さん!!!」  


 「ちょっと暁良!待ってって」

  

 俺とリリネは東雲さんに案内され、遼が連れていかれたホテルの別館に乗り込む。


 そこは本館に比べたらかなり小さく、部屋も数室しかなく、今回は主に先生達と先輩方が使用していた。


 恐らく生徒達の間で騒ぎになり、野次馬の様なもの達が現れないようにする為の配慮という事だろう。


 俺も別館の入口にて合宿のフォローとしてして来ていた先輩に"入るな"と止められていた。


 まあ、もっとも無視して侵入してしまったが···。


 「それで東雲さん、遼さんは何処にいるんですの?」


 「え?いや、ここに連れていかれた所までしか···」


 「うっ、まあ、そうですわよね」


 こうなれば、作戦は1つ。


 「遼さん!!どこにいますの!!」


 とにかく騒ぐ。騒ぎながら探す。


 そして、数十秒程度が経つ。


 すると。


 「ちょっとうるさいよ吉野宮さん?君ってそういうキャラだっけ?」


 「三廻部会長···」

  

 俺の作戦は意外にも上手くいった様で、騒ぎを聞きつけた三廻部会長が耳を手で塞ぎながら姿を現す。


 「ええ、親友の遼さんに在らぬ疑いが掛けられているとなれば騒がずには居られませんわ。···そして三廻部会長!遼さんと話をさせて下さいですわ!!」


 「うーん···」


 「···」


 しばらくの間、無言で見つめ合う俺と会長。


 そして。


 「はあ···まあ直接会うのはダメだけど姿だけなら見せて上げるよ」


 「姿だけ?」

 

 「うん、着いてきて」


 と三廻部会長は手で俺達に合図を出して別館の一室に案内する。


 そこには1年2組以外の担任の教師と先輩が数人いて、部屋の中心の机にはモニターが置かれていた。


 「遼さん!!」


 俺はそこに映し出された取調室の様な薄暗く狭い部屋で椅子に座っている遼に向かって叫ぶ。


 「こっちからの声は聞こえないよ。本当は九條学園に連行してから事情を聞きたいんだけど、この辺の夜道は本当に危険だから朝までは別館の倉庫に居て貰う事になってる」


 「そんな···」


 会長の言う通り、俺の呼び掛けに対しても、遼の様子に変化は無かった。


 そして、今、現在進行形で遼の向かいの席には桐原先生と来島先輩がいて、事情を聞いているようだった。


 「くっ···」


 俺は軽く机を叩き、歯を食いしばる。


 そして。


 「何故こんな事になっているんですの、私にも詳しく教えて下さい!」


 「···まあ、仕方ないね」

    

 会長は少しだけ説明するのを渋るが、言わないと俺が無理矢理に遼の元へと向かうと考えたのかゆっくりと口を開いた。


 「端的に言うと、久瑠美遼さんには淀川騎士先生の暗殺未遂の容疑がかかっているんだよね。···発端は昨日のレクリエーションの時だね。あの時、淀川先生は森の中からレーザーで狙われて怪我を負ったんだけど、後から腕時計のGPSを調べても、狙われた所の近くに銃系の神具を持っている参加者は居なかったんだ。···だけどね、かなり離れた場所にだけど久瑠美さんの反応はあったんだ。で、それが他の生徒なら無理な距離だけど1年生の中でも上位の実力を持つ久瑠美さんなら可能だと思える距離だったってわけなんだよ」


 「なっ、ちょっと待ってください。そんな曖昧な理由で遼さんを監禁までしてるんですか!?」


 詰め寄る俺。だが、会長はゆっくりと首を振る。


 「いや、それだけじゃ無いよ。他にも今日の夕方、淀川先生の部屋が僅かに荒らされるという事件があって、そこに久瑠美さんの私物のハンカチが落ちていたの。窓も開けられてたから何かしようとしたけど淀川先生が帰って来て、慌てて逃げたんじゃないかって考えられてる」


 「いや、でも···」


 俺が言い返そうとするのを会長は手を前に突き出して止める。


 「それに咲枝が久瑠美さんの携帯を調べた所、出て来てしまったんだよ。···久瑠美さんと"活動家"達が繋がっているっていう証拠がね」


 「なっ···」

  

 会長の思いがけない言葉に俺は絶句し、数秒言葉を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ