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騎士教諭殺し 7

 「なるほど、所でそれは私のこのお肉のお面とセットで交換可能なんですの?」


 「ええ、普通にお肉の扱いです。···ですが」


 来島先輩は自身の持つ鞭を素早く振って左右の木を叩く。


 するとその木の根が地面から盛り上がり、まるで意志を持っているかのように動き出す。


 「周りに大きな生物が沢山存在するこういう森の様な場所は私にとっては最高の戦場ですよ」


 「···」


 「それに調子よくお面を集めている見たいですが。ここは既に私の森、今、貴女達は狩られる側ですよ。···貴女達が真っ先に考えるべきは具無しカレーだけはどうしても避けたい、という事じゃないですか?」


 来島先輩はそう言うと更に鞭を地面に叩き付ける。


 すると、今度はそこに魔法陣のようなものが出現し、彼女によって操られた狼の様なマガツモノが10体ほど出現する。


 「ふう···」


 なるほど、確かに森は生物を操る来島先輩にかなり有利な場所だ。


 てか、生物って植物もありなのかよ···。


 「なるほど、OKですわ」


 少しの間、考えた後は俺は笑いながら言う。


 そして、俺が手に入れていた3つのお面を東雲さんに渡す。


 「え?これは?」


 「取り敢えず東雲さんはこれ持って逃げてください。来島先輩の言う通り、具無しカレーは嫌やですので」


 「で、でも2人の方が有利なのでは?」


 「はい、まあ普通ではそうでしょう。ですが今はもう辺りが暗くなってしまいましたわ。これでは連繋もあまり機能しない上に、自分の支配下の者以外で動いている者は全て敵であると認識して戦える相手の方が寧ろ有利な可能性すらあります」


 「な、なるほど」


 「さ、行ってください。···大丈夫ですわ、今夜はA5ランクの肉を使った絶品のカレーを作る事を約束します」


 と、俺は東雲さんに笑い掛け、肩を叩く。


 「分かりました。頑張って下さいね」


 「ええ···」


 最後にそう言葉を交わすと、東雲さんは来島先輩のいる方と真逆の方向へと走る。


 「なるほど、そういう作戦ですか。···ですが、逃げられますか?ここは既に"私の森"なんですよ」


 来島先輩が意味深に笑い、再び地面に鞭を打ちけると、東雲さんの走ってい所の周りの木々が急に動き出し、自由自在に動く根と枝を用いて東雲さんへと攻撃を仕掛ける。


 「きゃあ!!」


 予想外の事態に対応出来ずにいる東雲さん。


 しかし。


 「こういうフィールドが得意なのは来島先輩だけではないですわよ?···百騎一閃、"猛者(つわもの)ノ大地"」


 来島先輩同様に不敵に笑った俺は自分を中心に、来島先輩の居る位置から東雲さんの居る辺にかけて楕円状に無数の刀を出現させる。


 それらの刀は地面や木の幹に刺さった状態で存在し、勿論東雲さんの周りにも数本出現する。


 そして、木の根や枝による攻撃が東雲さんに直撃しそうになった瞬間に、それらの刀に斬像が出現して襲いかかってきた木々を斬り裂いた。


 「サポートしますので早く走ってください!」


 俺の声を受け、再び走り出す東雲さん。


 しかし。


 「させません」


 パチン!!


 来島先輩は再び攻撃の合図を出すように地面を鞭で叩き、狼達に指示を出すとそれらは一切に俺に向かって突撃してくる。


 「くっ、出ろ!」


 それに対し俺は狼が地面や木に刺さっている刀の近くを通るタイミングを見計らい、その刀に斬像を出現させ、すぐ様、刺さった刀を抜きその流れで狼を両断する。


 そして、役目を終えた斬像は刀を再び刺し直し姿を消す。


 そうして、半数以上は倒す事が出来たが、来島先輩の狼もただやられるだけの頭の悪い存在で無く、仲間の死からちゃんと学び、何体かはその攻撃を交わすようになってしまう。


 そして結局、最終的に俺の元には3体ほどの狼がたどり着き、最初の一体が、その強靭な歯をむき出しにして飛び掛ってくる。

 

 「ぐっ、重っ···だが」


 それを俺は手に持った刀を両手で構え、受け止める。


 「忘レ刀」


 更にすぐ様、忘レ刀を発動させ狼との鍔迫り合いを斬像に任せると、自身は姿勢を低くしながら前進し、その狼の腹の下へと潜り込むみ再び手元に新たに召喚した刀で狼の腹を突き刺す。


 「よし」


 だが、喜ぶのも束の間。


 「しまった!」


 一体目の狼を倒し、次の狼に対応しようとするがそこでようやくコイツらの狙いに気づく。


 残りの2匹は俺の横を素通りし、真っ直ぐに東雲さんの方へと向ってしまう。


 「くっ、斬像!」


 と、狼の進行先にある刀に斬像を召喚し、攻撃を仕掛けるが、それらはどれも上手くかわされてしまう。


 そこで俺はもう片方の手にも刀を召喚し意識を集中させる。


 そして、生み出された斬像が狼に斬り掛かるタイミングを見計らい手に持った刀をそれぞれ投げ付ける。


 それにより、斬像の攻撃に気を取られていた狼の片方の息の根を止めることには成功する。


 だが、最後の一体にはそれすらもかわされてしまい、俺の時と同様にそいつは東雲さんに飛び掛かる。


 「東雲さん!!」


 「アクアスラッシュⅠ!」


 食いつかれる瞬間、東雲さんは俺の呼び声に答えるように咄嗟に振り返ると神具の能力により水の刃の様なものを出現させはなった。


 そして、その攻撃は狼に直撃し、その体を真っ二つにする。


 「ナイスですわ!そのまま行って下さい!!」


 「ええ、吉野宮さんも頑張って下さい!」


 俺達は本当の最後にそう言葉を掛け合う。


 そして、東雲さんを送り出した俺は呼吸を整え振り返り、来島先輩と向き合った。

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