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朝倉祭2 1

 カァアンン!!


 刃物と刃物が激しく打ち付け会う音が神社の中を木霊する。


 「大丈夫か?」


 「あ、ああ、ありがとう」

 

 「へへ···で、これは一体どう言うことだお嬢さん?」


 騎士の安否を確認した後、続けて俺は鍔迫り合いをしてる状態になっている目の前の少女を睨む。


 「って、お前は確か織笠さんと一緒にいた奴か?」


 「···」


 俺の問いに少女は何も言わず、また表情も一切くぐすことは無かった。


 だが恐らくは間違いないだろう。


 そして、それと同時に俺はもう1つある事に気が付く。


 「この感じ誰かに操られているのか?」


 「!!!」


 「ぐっ、力強いな」


 まさか俺が刀同士の戦いで押されるとは···。


 「···ちっ、忘レ刀」


 力での勝負だと分が悪いと踏んだ俺は刀から手を離し、自身の持っている刀を斬像に預ける。


 そして、斬像に鍔迫り合いをさせつつ自身は素早く少女の背後へと回り込んだ。


 「スマン!!」


 とその流れで相手が反応するよりも早くもう一本の刀を手元に召喚すると、峰打ちにて少女に斬りかかり気絶させる。


 「はあ、焦ったー」


 「突然電話して済まなかったな」


 「いやいいって、お前も災難だなこんなのに巻き込まれる何て」


 息を整えながら騎士に笑い掛ける俺。



 しかしその時。



 「本当に大変だったねー」


 

 突然、そのような声が響き、驚いた俺と騎士は瞬時に声のした方向を向く。


 そこには2人の女性の姿があった。


 1人は黒いドレスに身を包んでいて、もう1人は血塗れた剣を持っていた。


 そして声を掛けてきた剣を持っている方の女性は俺の見覚えのある人物であった。


 「あんたは確か、ベッキー···だったか」


 「あ、覚えてたんだー···あれ?でも会ったことあるのは王女様の方じゃなかったっけ?」


 「···」


 恐らくベッキーはアキリアと俺が入れ替わっていた事を知っていて、冗談を言っているだけだと思われた。


 故に俺はそれに対して言い訳をする事は無かった。


 と言うかそんな無駄な事に頭を使う余裕がそもそも無かった。


 ベッキーと一緒にいると言う事は隣の女性も奴らの仲間という事になるだろう。


 そして恐らくこの事件を起こしたのもこいつらと言うことだ。


 そこまで考え着き、同時にベッキーの血塗れの剣を見れば自然とコイツらの目的も見えてくる。


 「一応持っとけ」


 俺は背後にいる騎士に刀を1本渡すと、すぐ様もう1本召喚し、出したままになっていた斬像と共に刀を構える。


 「あー、その後ろの人、もしかして淀川騎士?若き天才君だよね?私らの宿敵の、そうだよね夕陽っち」


 「そうねぇ」


 夕陽と呼ばれる女性はあまり興味無さげに自身の爪を眺めながら答える。


 「じゃあついでに()っちゃおっかな」


 「!!?」


 一気に殺意を剥き出しにするベッキーを見た俺は一瞬たじろいでしまうが、直ぐに気を引き締め、敵の攻撃に備える。


 がしかし。


 「はいストップ、神具展開、夜ノ蛇(ダークサーペント)


 と、神具を展開させた夕陽の体から黒い鎖が生じ、同時に俺に向かって来ているベッキーに向かって手を伸ばす。


 すると先端に刃物の着いた鎖が真っ直ぐにベッキーを捉え縛り付ける事で、その動きを封じる。


 「ちょっと何すんの?」


 「私らの当初の目標であるジジイ共はもう始末したっしょ。それにそいつは次の為に取っといてあげないと」


 「えー、チャンスなのに〜」


 こっちは放ったらかしにして2人はそんな会話を繰り広げ、勝手に納得し、お互いに神具を解除する。


 「···まあ今回の私達はただのオマケだからね。この位でいいか。って事で後は頑張ってねー」


 「なっ、おい待て!」


 「やだよー」


 とそんな言葉を残してベッキーと夕陽はゆっくりと歩き去ってしまう。


 「くっ···」


 しかし、後を追うことなんて出来ない。むしろ戦う事にならなくてラッキーだ。


 「はあ···」


 2人が見えなくなると俺は思わず脱力してしまい、その場に座り込む。


 「おい分かってると思うが」


 「ああ、まだ終わってないって事だろ。分かってるって」


 頭では分かっているが緊張の糸が一気に途切れ、疲れがどっと押し寄せてしまっていた。


 そして、俺はそれから数十秒間は再び立ち上がることが出来なかった。

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