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朝倉祭 7

 「って、いやいや、ほらさ、さっきはあー言ったけど別に私の神具は実は絶対防御とかじゃないよ、結構弱点もあるしさ···」


 俺の事を心配してか、何やら慰めを言う横森さんだが、今の状況をどう乗り切るかで頭がいっぱいな俺はそれを聞き流す。


 「ちくしょう、もう限界って事かよ・・・」


 そして俺は大きめの独り言を呟きながら足で地面を蹴る。


 「げ、限界?···。!?、それってもしかしてトイレに行きたいとかそういう感じ?さっきの絶望の仕方といい多分そうだよね?」


 「は?···ま、まあ、ある意味そうですわね」


 「やっぱり!···ってか、それなら棄権してよ。ネチネチした戦いをして対戦相手に漏らされたらこっちも風評被害が」


 「ん、漏らす?···まあよく分かりませんが、とにかく棄権なんて出来ませんわ」


 「いや、なんで!これ全国に放送されてんだよ!」


 「友が私の勝利を信じていくれています。私はそれに応えるために何を賭しても優勝しなくてはならないのですわ。その他の者などクソ喰らえって感じですわ!!」


 「す、凄い覚悟だ・・・。えっ、というか大の方なの?」


 俺の言葉に動揺する横森さん。


 同時に俺は自分にこんな悠長に会話をしている時間が無い事を思いだす。


 「こほん、とにかく続きをしますわよ。こうなりゃヤケクソですわ!!」


 手に持った刀をシールドから出ている銃口に向けて投げた俺は即座に空いた手元に刀を召喚し、投げた刀を追って走る。


 「いやもうそれ、わざと言ってるよね」


 俺に対してツッコミを入れつつも横森さんは冷静に判断し恐らくシールドの中でしゃがみ込む。


 すると、シールドは自然に下へと移動する銃身を避けるように流動的に動き、その後すぐに銃が通り空いてしまった隙間を埋め尽くす。


 そして。

 

 カキンッ!!という音と共に刀はシールドに阻まれ、上方へと回転しながら弾き飛ばされる。


 「やりますわね。でも!」


 しかし俺は刀が弾かれた直後にすかさず、回転する刀を持っている状態の斬像を生み出すとシールドとシールドの僅かな隙間へとその刀を差し込ませる。


 「ぐっ」


 それに対して横森さんも上手く対応し、シールドの感覚を狭めて刀がそれ以上中へと入って来ないように抑え込む。


 「よし!」


 刀を抑え込むことに成功したと確信すると、横森さんは再びスナイパーライフルのスコープを覗き込み俺を狙う。


 がしかし。


 「なに···」


 横森さんは俺の姿を見失うと焦ったように呟き、内側からはシールドが透けて、マジックミラーの車の如く外の全方向が見渡せるようになっているシールド内で必死に辺りを確認する。


 「···!?上か!」


 「流石、でももう遅いですわ!」


 俺の存在に気付いたようだったが、1歩遅かった。


 俺はシールド内に少しだけ差し込まれていた刀の頭の部分に向かってかかと落としを放つ。

  

 大地を揺るがす程の振動と凄まじい音、そしてそれに遅れて観客の歓声が聞こえる。


 俺はほんの一瞬、その観客の心地いい声援に気を良くしてしまう。


 だがしかし、直ぐにそれは俺に対してのものでない事に気が付く。


 その声援は俺ではなく横森さんに宛てられたもので、彼女はシールドを3重位に分厚く張って俺の攻撃をガード仕切っていた。


 「その動き、トイレに行きたいというのは嘘ですよね」


 「嘘では無いですわ。まああれです、言葉のあやって奴です。いやー、日本語って難しいですね!」


 俺はそんな言葉を口にしながら即座に気持ちを切り替える。


 そして前方に3重の盾を張ったら当然何処かがガラ空きになる事を瞬時に理解し、それを見逃すこと無く、シールドを俺に引き付けている間に、地面に散らばった状態の幾つかの刀の元に斬像を出現させて横森さんの背後から一斉に斬りかかった。

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