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脳腫瘍と共に生きる  作者: でびあ
2/5

これまで【後】


僕は今、ある三人と一緒に学校へ行っている

僕が脳腫瘍だと聞いても、学校で態度を変えなかった三人だ


一人は男でもう二人は女

男の名前は光 名字は忘れた

こいつは学校で有名な容姿性格とも優男な奴だ


困っている人を見たら見逃せず、喧嘩だろうと何だろうと突っ込んでいく

ホームレスだろうと嫌な顔一つせず助ける

イジメっ子だろうと困っていたら助けている

そのせいでこの男に敵は少ない

しかしそんな事を常日頃からしているから女子からの人気が高く、その一面だけ見れば敵は多いと言える

まぁ大半が妬みだ

僕は妬んだことないけど

まじで。ほんとに


そんな感じの物語に出てきそうな男だ


元から全員に優しかったが、僕が脳腫瘍にかかると家から学校までの行き帰りを共にするようになった

学校でも常に気にかけられている


まぁそのせいで学校の女子から羨ましがられ妬まれているようだが

この前なんかデュフフと言いながらこっちを見ている女子がいてすごく怖かった


こんな感じのゲロかけても怒らなそうな男

本当にかけても怒らないとは思わなかったけど

でもあれはわざとじゃないからかな?

流石にわざとだったらこいつでも怒るだろうし


周りの女二人はこの男の幼馴染だ

一人は桜花、もう一人は真夜

名字は同じく忘れた


桜花の方は容姿端麗で勉学運動共に優秀な八方美人と言った所だ

ただし胸は残念なようで大草原だ

無口であまり人と話はしないが光とはよく話している



真夜の方は顔は普通より少し高い位

勉学は得意科目以外は標準

運動は苦手

こっちは胸がはちきれんばかりの大きさだ

胸の大きさのせいか、少し男性に恐怖心を感じているようだが光には無いようだ

むしろ自分から胸をつけに行っている時があるくらい


そしてどちらも光に恋心を抱いている

羨ましいばかりだ。こんなに好意を抱いてくれる相手が居るだなんて

妬ま、じゃ無くて羨ましい



「っゔっ!」

激しい頭痛がして、蹲る

三人が慌ててささえてくれる


「大丈夫か?やっぱり今日は休んでおいた方がいいんじゃないか?」

光がそう言ってくるが、こいつは毎日のようにこう言ってくる

そして僕の答えは決まってこう


「後少しなんだから、好きにさせてくれよ」

これを言うと一日は言ってこなくなるがまた次の日に言ってくる

テストの順位では上位だから頭は良いはずなんだがどうも覚えてくれない


「う、うん。ごめん」

光は泣きそうな顔をしながら謝ってくる

ナイーブな日は本当に泣く


「そんなに気にすんなよ。行くぞ」


ここまでがいつもの朝の出来事

僕が脳腫瘍にかかってからの毎日

嫌ではない。むしろ好きだ

良い友達に心配されて、立ち上がるときに運が良ければ真夜の胸が腕に当たって


そんな日がずっと続けばいいと思っていた

ずっと、ずっと




その毎日を壊したのは、その日の放課後のことだった


__________


「帰れるか?」

光は放課後の保健室で聞いてきた


今日はいつもより体調が悪くてすぐに保健室に行ってしまった

そしてごめん光、今日もゲロかけちゃって


「気にすんなよ!」

にこやかな笑顔で今日も許される

これもいつもの事

ゲロをかけるのがいつものことと言うと変な気がするけど


後ろにはいつもの二人

ゲロをかけるといつも怒ったように言ってくるけど、本気で怒っているわけではなく冗談混じりに言ってくる

私の光君になんてことをー、とか、ゲロ光君になっちゃったー、とか

最初こそ本気で怒っていたけど、慣れたのだろう

ゲロに慣れる女子。どこかで売れそうだな

ゲロに慣れる優男でも売れそう


くだらない事を考えながら帰る

最近頭痛が酷くなってきた

視力ももう裸眼では殆ないし左手の感覚も薄くなって、動かなくなってきている

刻一刻とこの体の寿命が短くなっていることがわかる

諦めたと言っても死ぬのが怖くないわけではない

でも死ぬんだとしたら、今、この幸せな瞬間にスッと死ぬのが一番いいな


なんて考えたときに、僕達の足元がいきなり光り始めた


そして、何だ、とも言う暇もなく僕達は光りに包まれた







こうして僕の日常は壊れた















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