運命?
運命のひとは必ずいるさ!的な。
誤字脱字等ありましたらご指摘お願いします。
そして、その日の午後。
スーパーメイドサーヤを含めた女性達により、完璧に仕上げられたレイアがいた。
その姿は、もはや女神。
仕上げたメイド達も、見惚れて時が止まってしまったほどだった。
そして、溺愛している家族は・・・・
「おぉぉぉ、私が生きているうちに女神に会えるとは!!」
感動のあまり、涙を流す国王。
「くっ、やはりレイアをやるのは・・・だが、友人の努力を無駄には・・・俺はどうしたら!!」
悩みもだえる兄。
「まぁまぁ、さすがわたくしの娘。天使から女神にジョブチェンジね。これで面倒くさがりという欠点はカバーできたも同然だわ、おほほほ」
上品に笑う母。
「今すぐ一番の絵師を! 女神となったレイアを描き納めるのよ!!」
暴走気味の姉。
この惨状にレイアは大きくため息をついた。
そこへ、到着の知らせがやってきて・・・・
「お久しぶりでございます」
「うむ、話には聞いている。感謝しよう。行き遅れてもおかしくなかったからな」
割と失礼なことを言っている国王だった。
大人たちのあいさつの中、一緒に這入ってきたライナーは、レイアを見た瞬間、確かにズキュゥゥンという音を聞いた。
(天使が女神になっている! なんと美しい・・・)
ライナーからしてみれば、ちゃんと見るのは始めてだった。
「あぁ、ずっと・・・・五年前に一目見た時から会いたかった」
気づけばレイアの手を取っていた。
「レイア姫、あなたのことはアルフレッドから聞いている。だが、面倒くさがりとかなんの問題もないと思っている。突然のことで驚くと同時に、面倒くさいと思っているだろう、だがそこもいい」
すらすらと出てくる言葉は全て、ライナーにとって本当のことだった。
そして、愛の告白をされている、レイアは・・・・
(どうしよう、この人素敵・・・・)
頬を赤く染め、うっとりとライナーを見つめていた。
最初にライナーを見た瞬間には、すでにレイアは彼に見惚れていたのだった。
ライナーの言葉一つ一つに、ときめき、感激し、鼓動が速くなる。
そして、その二人の様子を見ていた家族は・・・・
「レイアがレイアがま・さ・か・の!」
「まさに運命! 素敵ですわ」
こそこそと、アルフレッドとレイナが小声で会話していた。
「姉上、これはレイアの面倒くさがりも治るのでは?」
「いいえ、レイアは筋金入りの面倒くさがりですわ。治ると思えません。でも、結婚したら妻としての務めは果たすかも知れませんわね。あの子は面倒くさがりでも賢いですから、やる気さえでればどうにでもなりますわ」
「まぁ、やる気さえあれば、な」
「えぇ、まぁでも、少なくとも結婚に関しては心配はいらないでしょう。桃色空気が甘いですわ」
「色とりどりの花が咲いているように思えます姉上」
見ているだけで胸焼けしそうな空気を出している二人を見ながら、出て行ったらだめかなーと、同じ事を思っていた。
そして大人組はというと・・・・
「おぉぉ、見てみろ、レイナが我等が女神が面倒くさがらず話を聞いているではないか」
「あれは、レイアも完全に惚れたようです。まさかこんなことになるとは、なんと素晴らしい事でしょう!」
「うーむ、なんだか空気が桃色に見えるな。ついでに花やらハートやらが飛び交っているような気が・・・・」
感激する国王夫妻にどう対応していいか、分からなかったライナーの父は、彼らを見なかったことにして、幻視と思われるものに首を傾げていた。
そんな周りの様子は、別空間を作っている二人には気にならない。
(きっと、これが恋なのね・・・結婚まで一年とか長いわ)
(結婚まで一年・・・これが最後の試練か!)
レイアは、ライナーのだんだん重くなる愛の言葉を、聞いている。
不思議と面倒くさいとは、思わなかったのだ。
ライナーもライナーで、今まで溜めて混んでいた気持ち五年分を吐き出そうとする勢いで語っている。
「もう決まりだな。あとは若い二人に任せるか」
「えぇ、そうですわね」
国王夫妻の言葉で、待ってましたと言わんばかりに、嬉々として退室する面々。
完全に二人の世界にはいっているレイアとライナーは、その様子に気づくこと無く、延々と桃色の甘い空気をだしていた。
「レイア姫、私と婚約してくれますか?」
「もちろんです。一年後には結婚ですね。式は面倒くさいけど」
「なるべく簡略できるようにしましょう。面倒くさがられて逃げられても困りますから」
「逃げることはしません、あなたと一緒になれるなら、面倒くさくても、必要なことはします」
「えぇ、あなたはあなたの思うとおりしてくれればいい。そんなあなたも愛しますから」
「まぁ、嬉しいです、ライナー様! レイアと呼んでください。あと、改まった言葉は不要です」
「おぉ、なんと優しい! ではお言葉に甘えて、レイア、幸せにするからたくさん愛を育んでいこう」
「ありがとうございます。ライナー様」
それから後、外に出るのが面倒くさいレイアを気遣い、ライナーが部屋まで訪れたり、手紙を送ったり、プレゼントを贈ったり、車輪付きのイスを持参して庭に出てみたりと、交流を図りながら愛を育んでいった。
一年後、スカーレット国の宰相子息という立場ながらも、身内のみの簡素な結婚式を上げ、二人は夫婦となった。
「奥様、起きて下さい」
「んー」
「面倒くさいからいや。ではありません。ほんと、結婚しても生活習慣は治りませんね」
ばさりと、サーヤは布団をめくる。
寝室は夫婦一緒だが、ライナーはすでに起きているため、ここにはいない。
彼は起床が早いため、普段より早く起きるのを面倒臭がるであろうレイアを気遣い、いつも通りで良いと言っていた。
つまりは、スーパーメイドであるサーヤに起こして貰うことである。
サーヤは、レイアが嫁いだ後もついていって、引き続き専属として働いている。
「旦那様もお待ちですので、着替えますよ」
「ん」
面倒くさがりなのは、屋敷全員が知っているため、食事は部屋でライナーと一緒に食べることになっている。
結婚しても、基本的なスタンスは変わりないレイアは、やはり面倒くさがりだった。
しかし、彼女は夫であるライナーから死ぬまで愛され、レイアも彼を愛していくことになる。
それを周りは「永遠の万年バカップル」と呼んでいた。
「あぁ、レイア、今日も美しいな!」
「ん・・・・」
「はっはっは、ほんとに可愛いな」
言葉はなくとも言っていることがわかるようになったライナーとレイアは今日も桃色空気を振りまいている。
一目惚れって大事。