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とくぞうはてんかいにはいった!

「するとクゾー君は元人間どころかもともと違う世界の人間だったんだね。」


戦車は山の斜面をひたすら上に登っていった。道中でクゾーはフレイに自分は異世界から来たのだということを説明した。


「はい。信じられないと思いますけど。」


「信じられんわ。昨日から主神の息子だだの異世界から来ただの訳がわからん。」


ヘラクレスは前に足を投げ出して呟いた。


「じゃあ早く元の生活に戻りたいだろうね?」


フレイが振り返ってクゾーに尋ねた。クゾーは考えた。自分は果たして元の生活に戻りたいのだろうか?そもそも死んだ身だし、元の大国徳三の人生は悲惨なものだった。このまま襲って来る王国さえどうにかすればこっちの生活の方がよほど良い気がしてきた。


「いやあ事故死してこっちに来た訳ですしそんなに未練も無いし…。」


フレイはクゾーの口振りから否定的なニュアンスを感じ取った。


「まあ今のところ戻れるとも戻れないとも言えないんだけどね。まずは主神と話してから私も考えをまとめよう。さあそろそろ天界に入るよ。」


フレイがそう言った時、突然戦車に雷が落ちた。クゾー達は轟音と閃光に包まれた。



「私はアキレウスだ!お前は何しにここへ来た!」


エインセルと名乗った少女は悪意のある笑みを満面に浮かべる。


「君がアキレウスだね?良かった…君の方が名乗ってくれて。」


そう言うと少女の体は突然変化し出した。


「実は僕もアキレウスなんだ。」


少女の姿はアキレウスそのものになった。そして、アキレウスの様な俊敏な動きで襲いかかって来た。


「な!?」


アキレウスは一瞬戸惑ったがすぐに持ち直し、エインセルの拳を受けた。


「ぐあっ!!」


どうやら鉄の身体までコピーしているらしく、アキレウスにダメージが通った。


「本当に良かったよ…君は神の子らしいからね。僕が名乗ってたら君が僕になるところだったんだけど効かないかもしれなかった。」


エインセルが言った。


(私があいつに…?あいつ自分か相手を変質させる流儀か!)


アキレウスは思考を巡らした。


「そして全く同じなら守る者が居る君の方が弱い!」


エイスリンはリリアムに真っ直ぐ向かって行く。咄嗟にアキレウス身を呈して庇った。


「言ってるだろ僕は君だってさ!」


エインセルは体を反転させて強烈な蹴りをアキレウスに見舞う。アキレウスは吹っ飛ばされたがなんとか受け身をとった。


「へえタフだね。でも何時まで続くかな!」


エインセルは尚もアキレウスに連打を浴びせる。アキレウスも対抗するがリリアムの方を庇っているのでどうしても一手遅くなる。



「アキレウスさん!私に考えがあります!」


リリアムが声を上げた。



「うわああああああああ!!!!」


クゾーが情けない声をあげる。対照的にフレイとヘラクレスは冷静な物だ。


「落ち着いて周りを見てみろクゾー。」


言われてみると身体は全く焼け焦げていない。


「全くまた雷神殿のいたずらだな。」


「何がいたずらじゃ!また勝手に戦車を持って行きおって!」


後ろから声が響いた。振り返ると、戦車の後ろに小さな女の子が乗っていた。


「うわっ!?女の子!?」


「無礼者!わしは雷神じゃ!焼き焦がすぞこの低脳オークめが!」


女の子がジタバタと騒ぐ。


「雷神!?こんな若い女の子が!」


「この子の前の雷神が割と早くにお亡くなりになったのでな。娘のこの子に引き継いだんだよ。」


フレイが説明する。神様も世襲するものらしい。


「この子この子言うでないわ!その戦車もお父様の形見だぞ!」


「まあまああと少しで主神のいらっしゃる館だからそこまで頼むよ。」


フレイが軽く去なす。しぶしぶ雷神も戦車に乗り込む。


「フレイもけっこう若いけど、最近神族になったとか?」


クゾーが尋ねた。


「いや、僕は長らくエルフ族のリーダーだったんだけどね。拡大したエルフ族をまとめ上げる為に豊穣神という地位になったんだよ。他種族でも信仰を集めると神族になることもできるんだよ。もっとも僕が唯一の豊穣神という訳じゃないけどね。」


親が神族であるか信仰を集める事が神族になる条件のようだ。親のコネか人望か。俺には無理だな。とクゾーは思った。


「さああれが主神殿の居住だよ。この辺に止めるか。」


フレイが戦車を止めると全員が戦車から降りた。なぜか雷神もついてくるようだ。


「主神にお前らが失礼をして機嫌を損ねられたらわしらも困るからの。」


彼らは主神の居住の門をくぐった。


19話へ続く。


更新遅れてすいません。


読んで頂きありがとうございます。

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