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転生者とバグでない異世界人の物語  作者: @000-ooo


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104.第2次ブセルターン砦攻防戦

 砦の尖塔で軍議が開かれた。参加したのは公爵家のフアニートとヴァルターズ従士、王軍を率いるシュルツ子爵それにテー公爵家から派遣されたオトーである。


公爵家のキニアニオは領都の守りについている。


フアニートが

「それにしてもハルト伯爵は10日ほどでよくこれだけの砦を作ったものだ。普通は魔力が尽きるものだが。

それに、この砦で魔法士がネイメー伯爵軍の従士100人ほどしかいないなかで、よく15000人の帝国軍の猛攻を1か月以上耐えたものだ。


帝国軍がカタパルトを持っていなかったから耐えられたと言っていたが。

今回帝国軍がどこでカタパルトを作っているかわからず、カタパルトの破壊は出来なかった。


ハルト伯爵の話では『帝国軍がカタパルトを用いるとこの砦は落ちる』と言っていたが本当だろうか」


すると、シュルツ子爵が

「ハルト伯爵はそのようなことを言っていたのですか。

カタパルトの射程は大きい物でも300mぐらいから400mぐらいです。

ここには城壁から500mぐらいのところに堀が掘ってあるので、敵が城壁を攻撃しようとすると堀を埋めるか、より大きなカタパルトを作る必要がある。


堀を埋めようとすると弓矢の的になるので、多分大型のカタパルトを作って一気に城壁を攻撃すると思います。

カタパルトが見えた時点でカタパルトを堀に近づけないようにする必要があると思います。


しかし、帝国軍は街道沿いに5000人の騎兵と1万人の歩兵を配置しており、街道沿いを抜けるのは非常に難しいと思います。また、森側にも3000人の騎兵と5000人の歩兵を配置しており、森側を抜けるのも難しいと思います」


するとフアニートが

「すると、ハルト伯爵が言っていた、カタパルトを用いるとこの砦は落ちるというのもうなずけるな」


シュルツ子爵が

「とにかくカタパルトが見えるまで、城壁に近づく帝国兵は魔法士と弓矢で攻撃する。

カタパルトが見えた時点でその対策については再度検討するということでいいですか。


とにかく砦が落ちると、こちらの布陣は持ちませんから」


その様にして軍議は終わった。



 帝国軍は布陣したものの、7月中は動きはほとんどなかった。8月に入ったある日、大きな地響きとともに巨大なカタパルトが姿を現した。


 王国軍では、その日尖塔で再度軍議が行われたが、結局、あのカタパルトの破壊のための有効な案は出なかった。


「こちらも投石機を壁の上に設置してカタパルトを攻撃してはどうか」

という案も出たが、こちらの投石機では飛ばせる石も小さく、しかも距離も堀のあたりが精いっぱいということで、カタパルトを破壊することはできないだろうというのである。


「街道を抜けてカタパルトを攻撃してはどうか」

という案も出たが、とにかく帝国軍の守りが鉄壁なのである。街道を抜けるのは無理だろうということになった。


結局、城壁が破壊されたら、砦を放棄し、速やかに領都周辺まで軍を引くことが決まった。


 次の日の朝、カタパルトが堀の近くまで移動すると、攻撃が始まった。あの位置では城壁からの弓矢も魔法攻撃も届かない。


石が飛んでくる。石が城壁にあたると城壁が少し壊れる。この城壁はすごく頑丈である。小さい石ぐらいだと少ししか壊れない。そしてしばらくして城壁が薄く光ると城壁の壁が元に戻る。城壁には自動修復の魔法が仕込んであるようである。


これには王国軍だけでなく、帝国兵も驚いているようである。とにかく小さな石ぐらいだとすぐに元に戻ってしまうのである。


大きな石を飛ばそうとするとカタパルトをもっと壁に近づけなければならない。そうすると堀を埋めなければならないのである。結局、その日の攻撃は終わった。



 フアニートが見ていると、帝国兵が土を運んでいる。これに対して、こちらも城壁から投石機による攻撃が行われている。堀は弓矢では届かないが投石機では届くようである。土を運ぶ帝国兵が倒れていく。それでも3日ぐらいすると一部の堀が埋められたようである。



 埋められた堀に向かって巨大なカタパルトが動いていく。フアニートがもう終わりだと思った瞬間、帝国軍の陣地で大きな音がした。


本陣のあたりで旗が倒れ火も上がっている。そして騎兵や歩兵が次々と跳ね飛ばされていく。魔道馬車が背後から攻撃しているようである。


 背後の攻撃に呼応して街道沿いでも歩兵と魔道馬車の攻撃が始まった。森の方でも戦闘音が聞こえる。敵は大混乱である。


そしたら、移動していたカタパルトの車輪が壊れて大きな地響きとともに倒れた。カタパルトには魔道馬車から次々と火のついた油が投げられていく。そして、すべてのカタパルトが燃え上がった。


 このまま、敵を押し切れるのではと思っていたが、帝国軍が城壁の攻撃用に配置していた部隊を街道沿いの戦線に投入してくると、戦線が膠着した。


また背後をかき回していた魔道馬車も数が少なかったようで、敵魔法士による攻撃が始まると、魔道馬車は騎兵と歩兵を跳ね飛ばして北へ走り去っていった。


夕刻になったので双方は軍を引いた。



 次の日の朝みると、カタパルトはまだ火が残っているようで煙を上げている。結局、カタパルトは10基もあったようだ。


また帝国軍の陣地もひどい有様である。魔道馬車に跳ね飛ばされた兵の死体が散らばっている。


これに対して、王国側の損害は軽微とのことである。次の日の軍議では引き続き帝国軍の動きを見ることが決まった。なお、シュルツ子爵は魔道馬車を帝国軍の背後に回り込ませた方法については、軍事上の秘密と口をつぐんで、詳細を語らなかった。



 結局帝国軍はそれからしばらくして兵を引いた。


その後、帝国軍を追撃すべきという意見も出たが、帝国軍の規模は砦の守備兵を除くと王国軍の約1.5倍、帝国軍が公爵領北部に展開していた部隊を集結させると、約2倍に達することから、王国軍本体は引き続きブセルターン砦にとどまり、魔道馬車により散開した部隊や帝国軍の物資に対する奇襲攻撃で損害を与える作戦を展開した。



 10月ごろ、帝国軍は北の街道を通って帝国に引き上げていった。


 後に、第2次ブセルターン砦会戦と呼ばれたこの戦争は王国側の勝利に終わった。またしても帝国はブセルターン砦を抜けなかったのである。

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