10.砂糖とアクセサリー作り
晩秋になってきたので、砂糖作りをすることにした。
とりあえず、庭に植えたテンサイを半分ぐらい引っこ抜いてきれいに洗った。残りは来年種をとる用に残しておいた。
洗ったテンサイは細断して土鍋に入れて煮込んだ。これにより繊維がほぐれ、エキスを抽出しやすくなるはず。ううん、多分。この辺はやり方が分からないので試行錯誤である。
確か石灰や活性炭で不純物を除去するとあったように思うが、よくわからない。そこでアイテムボックスに入れて、
「不純物除去」
と唱えたら、不純物が取れた。さすが異世界。
そのあと、この糖液を煮詰めて砂糖の結晶ができてきたので、これも再度アイテムボックスに入れて
「砂糖分離」
と唱えたら、砂糖ができた。
庭で作業していると、甘い匂いに引き寄せられて妹たちが出てきた。妹たちというのは、昨年妹レアの下に、もう1人妹リズが生まれていたからである。
レアから
「お兄ちゃん、すごくいい匂いがするのだけど何」
と言われたので
「これは砂糖といってすごく甘い物なのだよ」
と言ったら、
「舐めさせて」
と言われたので、舐めさせてあげたら
「あまーい」
と言って、喜んだ、
「妹たちの喜ぶ素顔もいいものだ」
そう思った。
夕食のときに砂糖を小麦粉と一緒に混ぜてお菓子のようなものを作ったら、家族が喜んだのはもちろんのことである。
ただできた量が少なかったので、砂糖は、祝いごとの時のために取っておくことになった。
父に
「種はできないのか」
と言われたので、
「大根に似ているので、庭に残っているテンサイから来年種ができると思う」
と答えたら、
「種ができたらその次の年には、それを植えてもっと砂糖を取りたい」
と言われた。
これから冬になると、森へ行っての魔法の練習やレベル上げもできないし、家で遊べるゲームでも作ろうかなと思った。
ゲームというと、リバーシやカルタ、トランプや将棋、チェス、碁などが思い浮かぶ。しかし、下手に作って、もしそれが特許とかに引っかかると、わが家が罪人になると考え、来年領都に行った時に、調べてから作ることにした。
そのため、今は材料をとりあえずアイテムボックスに入れておくことにした。森に行って、材料になりそうな木や石を集めてはみたものの、色をつけられそうな草は枯れていたので、草については、また来年とることにした。
そのうち、冬になって雪も降った。そうすると外に出るわけにいかないので、家の中にいる。
暇である。もう一度言う、暇である。索敵で遠くを見てみてみた。そうすると、ボーとした状態になる。これもよくない。
そこで、アイテムボックスに入れてある木で何かアクセサリーのようなものを作ってみることにした。
木を取り出して、手から細かい土を混ぜた水をウォータージェット工法のように細く絞って高速で噴射して、木を切っていくことで薄い板を作った。
最初は、なかなかうまくいかなかったが、段々慣れてきた。その板の表面をつるつるになるように、これも水魔法で削った。その板をいくつかに切って、上に穴をあけた。
これで、ちょうどいいくらいの大きさの、小さな板がいくつかできた。今度は土魔法で、その板の大きさのハンコのような焼きごてを作って、これに猫の絵をかいてみた。
その焼き鏝を熱く熱して小さな板に押し当てた。焼き鏝を外してみると、板に猫の絵が描かれていたが、何か違和感がある。
当然である。さかさまなのである。それで、今度は焼き印を押された板をもとに焼き鏝を作った。そしたらうまくいった。
ほんとは着色したかったが、いかんせん塗料がない。そこで白黒でもよいような前世でいう水墨画のような絵をかいてみることにした。
そうすると先ほどの板では小さすぎるので、今度はもう少し大きい大きさの板を作った。これに絵を描いてみようと思ったが、いかんせん絵の才能なんてなく、どうしたものかと思った。
そこで索敵魔法を使って、気に入った場所があるとその構図を絵に描いてみた。でも、頭の中の構図がうまく絵にできない。
「頭の中の絵を転写出来たらいいのに」
と思ったら、
目の前の板に頭の中の構図の転写ができた。
「さすが異世界」
そう思った。
冬の間、俺はそうやって、小さなアクセサリーもどきや、水墨画の描かれた板を作った。しかし、こればかり作るわけにもいかないので、猫や犬などの置物も作って遊んでいた。
季節は冬、辺り一面深くはないが、うっすらと積もった雪の上をみなみの山から吹き降ろしてくる風が吹き抜けていく。人々は家の中で思い思いの時を過ごしている。ハルト5歳、季節は冬、コー村は今日も平和である。




