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~鈍感な転生者、愛され続けて世界一の権力者になっており。~ 人間関係はよくわからないけど、とにかく教師になりたいです!  作者: 柳仁楓音
貧乏領地の一人娘

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隠れた気持ちもわかってあげましょう!


 「えっ、えっと…、何の御用でしょうか。ジェラルド様。」

「何をとぼけている。貴女との婚約解消のためにここまで出向くと、文を送っているであろう。」

イケメンさんは眉根にしわを寄せてそう告げる。


 知らないよっ!!そんなこと!

目覚めたら知らない部屋で、私の姿も別人になっていた。状況を把握する時間も暇もなく、私の()()()である、このイケメンが私との婚約解消をしようと直談判しに来たのだという。

 ……意味がわからないよ…。


 「えーっと、ここまで出向かずとも、そちらで婚約を解消すればよかったのでは…ありまして?」

ドレスを着た自分の立場的には、きっとお嬢様なのだろう。__夢だろうけど。


 「あ、貴女が頑なに、お断りいたします、やら、お時間をくださいましなどと言ってきたのであろう。私はもうほかの婚約者候補と結婚することが決まっている。もう待つことはできぬぞ。」

イケメンさんはちょっとだけ噛んで話した


「はぁ……。」

 私の設定的にはこのイケメンさんを諦めきれていないご様子。まあでも、奥さんもできるらしいしね。私の断りは必要かな。

 よしっと頭のなかで意気込み、私は涼しい顔をしてきっぱりといった。


 「わかりました。婚約を解消いたしましょう。」

「ミリーナ様っ!?」「本気かっ!?」

メイド服の女性と、イケメンさんがまるで予想外というような声をあげる。


 「?婚約を解消したいのではないのですか?大丈夫です。わた…、わたくしは諦めます。これからは末永く、お相手の方とお幸せにお過ごしくださいませ。」


私はきっぱりと言い切った。するとイケメンさんは私をじとーっと睨みつけながら

「ほ、本当に、本当にいいんだな…?」

と少し怒ってる?ような声で私に問いただす。

__なんだろう、なんかまずいこと言ってるのかな。


「は、はい…」わたしはさっきより少し自信のない口調になってしまったが、大きな声で答える。


するとイケメンさんは、ハーーーーァと大きなため息をついて

「伝わったぞ、貴女の()()はな。では私はロースタンズに戻るとしよう。」

「さようですか。どうぞお気をつけて。」


__む?一存?一存の意味ってたしか、自分一人の考えって感じだったような…。

むむむ…と考え込む私に、メイド服の女性は


「まったく、何を考えていらっしゃるのですか。このままでは婚約が本当に解消されてしまうではありませんか。」


まだ寝ぼけてらっしゃるのですか、とあきれたような顔で言ってくる。

__????、だって婚約やめたいって言ってきたんだよね?なんでだめなのよ。


「ジェラルド様の一族が納める領地、ロースタンズは国の中では大きく、農作物も豊富です。この婚約はカンベール家一族の出世も期待できます。…それに、ミリーナ様とジェラルド様は、ともに愛し合っていたでしょう?」


__????????、私はますます頭にハテナが浮かぶ。

一族のための政略結婚とかはよく本で読んでたけど、愛し合ってたのに婚約解消したいって言いだすのは意味が分からなくないっ!?

…そうだっ!きっと親に言われるがままで私と婚約しちゃって、私のテンションに合わせてたけど、我慢ができなくなって、勇気を出して頑張って言い出してきてくれたんだな!彼は!


 子供は気持ちを我慢して、一度に爆発させることが多い。私が自主的に学習していた内容にあった気がする。

__彼の意志を尊重しなければっ!!


 「わたくし、今すぐお父様のところへ行きたいです!案内を!」

私は手を握り締めてメイド服の女性に申し立てる

「は、はい?何をなさるおつもりで…?」

「今すぐお話がしたいのですっ!」

「わ、わかりました…」

私の圧に負けてしまったメイドさんは、しぶしぶ、とでもいうように扉の前に案内する。


 私はその扉にノックもなしで駆け込んだ。

「お父様っ!!」「どっ、どうしたんだミリーナ!まさかあの男に何かされたのか!?」


お父様…、らしき立派な髭のおじさんが立ち上がって、憎たらしきあのジェラルドが…と叫んでいる。


「そうではございませんが、その男関連でございますっ!わたくし、ジェラルド様との婚約を解消したいのです!彼もそれを望んでます!」

「!!ミリーナ様なにを…」メイドさんが止めにかかるが私は言葉を続ける。


「お願いですお父様、わたくしは彼のことを思い悩んでいるのですっ!」

「う、うーむ、私もそれは大賛成なんだが、ロースタンズとの交易に影響が出てしまうと、わが領土はますます困窮にいたってしまう…」


 なるほど。さっきの部屋もきれいに掃除されてはいたが、部屋の家具はすこしすり減っていたり、布団は縫い目があちこちについていた。それほどここは追い込まれているのだろう。


 「安心してください!よしみが…じゃない。この、ミリーナがっ!領土の財政を立て直してみせますっ!」


 お父様のつくえをどんと両手でたたいて、私は宣言した。

お父様の瞳には、決断の光が走る。


 「よしっ、わかったぞ。愛するわが娘のためだ!ロースタンズの領主に、婚約解消の文を送っておこう!」

「ありがとうございますっ!お父様っ!」

私はお父様に向かってにっこり笑顔でほほ笑んだ。


__眠たくなってきたな。もう夢も終わりかな。

わたしは元いたベッドに寝転んだ。不思議な夢だったな。顔が変わるなんて。

同じ夢がまた見れたら、次は婚約解消しないパターンもみてみたいな…

そんなことを考えて、私はゆっくり瞼を閉じた。

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