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翔と未来の出会い

―少し、昔のことを思い出していた。

あれは…中学3年生…ぐらいの頃だろうか。

高校受験が身近に迫っているという時期に、俺はあるひとりの少女と出会った。

出会った…というより、見つけた、というのが表現としては近いのだろうか。

その少女は、雨の降る公園のベンチでただ1人、泣いていた。

俺は、その少女がなんでここにいるのか、何があったかなんて。そんなことは全く分からなかったけど。

―助けないといけない。

そんな気がした。そう思ってしまった。

だから俺は、その少女に話しかけてしまったのだ。

「どうしたの?こんなところで」

そう話しかけてみたものの、その少女はこちらを疑うような、睨むような、そんな視線を向けてきていた。

「…死のうと思って」

「自殺か?」

この時代に、こんなラノベやアニメみたいな、こんな状態に遭遇するなんて思ってもみなかった。

「そりゃあまた、どうしてそんなことを?」

「…わかんない…何となく、死にたかったの」

分からない…か。じゃあいいか。

「よし、わかんないならそれはそれでいいから、風邪ひく前に家にこい!そこで詳しく話は聞いてやるよ!」

「―だから、命を無駄にしようとするな」

―と、俺は、彼女にそう言うのだった。



―正直、気持ち悪い男だと思った。

女に声をかけて、家に連れていこうとするだなんて。

小学校や中学校で教わってきた道徳なんてものに照らし合わせると、絶対に着いていっては行けない。そう言われるだろう。

…だが、彼からはそんなやましい気持ちなんてものは一切感じなかったのだ。

だからこそ、私は彼について行ってしまって…仲良くなってしまって…

―そこで、私たちの関係は終わるはずだった。

…だって、学校も、住所も、何も知らないのだ。そんな関係。長く続くわけが無い。

そう思っていたのに―。

…私たちは、再開してしまった。

この学校で。

だからこそ、私はもう。隠せない。

この自分の気持ちを。

…普段は、翔と渚を見ているだけだった。

でも、私は自覚してしまったのだ。だから、私は悪い女なのかもしれない。

だけど、しょうがないでしょ?


―私、此花未来は、津崎翔が好きなのだから。




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