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目が覚めたら夢の中  作者: 説那
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期限

「テラスティーネ様の件については、私も説明をいただきたいのですが」

「説明はしたいが、あいまいな部分が多々ある」


「お目の色が変わったのと関係がございますか?」

 以前は赤かったと思うのですが、違いましたか?とフォルネスに言われ、カミュスヤーナは片目に手を当てた。

「私の色と同様に、テラスティーネの身体が奪われた」


「カミュスヤーナ様はそれをどこからお知りになられたのですか?」

「本人の意識が私の夢の中に退避してきた」

「……なるほど」

 つまり、テラスティーネ様はカミュスヤーナ様の中にいらっしゃるのですね?とフォルネスが問いかけると、カミュスヤーナは苦々しい顔をする。


「ただ、寝る度に夢の中で、テラスティーネと会話できるわけではない。魔力を消耗または奪われていて、回復期にあるようで、記憶も失われている。魔王とどのようなやり取りがあったかも不明だ」

 その後、考え込み始めたカミュスヤーナに向かって、フォルネスが続きを促すように声をかけた。

「カミュスヤーナ様」


「ああ、すまない。フォルネス。テラスティーネを危険な目に合わせてしまって」

 カミュスヤーナはフォルネスの方を向いて、謝罪する。

 そんなカミュスヤーナの顔をフォルネスは心配そうにうかがう。

「今はテラスティーネに目を借りている。魔力感知のせいで、常に魔力を消費するし、疲れがひどかったのでな」

「だから、瞳が青になったのですね」

 理解できました、とフォルネスが応えた。


「テラスティーネの成人や卒業はこの冬だし、卒業のための座学類は終わっていたよな?他に何かテラスティーネが関わる催し物などあったか?」

「テラスティーネ様の婚姻が間もなくです。もう婚姻の準備はほぼ済ませてありますが」

「あぁ、テラスティーネは夏生まれか」

「カミュスヤーナ様。さすがにお忘れになられるのは困るのですが」


 カミュスヤーナがフォルネスを振り返ると、フォルネスは胸に右手を当てて、軽く身をかがめた。

「もともと婚約中でしたから、テラスティーネ様が16歳になられると同時に、婚姻の儀式を行う話で準備は進めております」

「正確にはいつだ」

「テラスティーネ様は、3月後に16歳になられます」

 両家の準備も既に整っております、とフォルネスが続けると、カミュスヤーナは表情を繕えず、こめかみに手をやった。


「あと3月以内にテラスティーネの身体を取り戻さなくてはならないのか」

 カミュスヤーナは立ち上がって、扉の方に歩み寄る。


「領政はアルスカインに任せるしかないか、まぁ落ち着いてはいるし、いい機会であろう」

 ぶつぶつと考えをこぼしながら歩む主人の後ろを、フォルネスは素知らぬ顔で追っていった。


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