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目が覚めたら夢の中  作者: 説那


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反撃

 カミュスヤーナとアメリアが顔を突き合わせて、何か話をしているように見える。

 エンダーンの位置からは、アメリアの後頭部が見えるだけで、2人の表情は全く分からない。


 まぁ、簡単に事が済むとは思っていなかった。

 この後、2人はこの局面をどう切り抜けるのだろう?


 その内、アメリアの身体が、カミュスヤーナの方へぐらりと傾いだ。

 カミュスヤーナが、傾いだ身体を受け止める。

 次の瞬間、アメリアの背中に、バサッと音を立てて白い翼が現れた。


 翼……だと?

 エンダーンは腰かけていた椅子を引いて、その場に立ち上がる。

 アメリアの目の前にいるカミュスヤーナは、驚いてはいないようだ。

 意識がない様子のアメリアを横向きに寝台に寝かせている。

 アメリアの身体は、あの娘の身体だ。

 翼が現れたということは、あの娘も天仕の血を引いているということか?


 アメリアを一瞥した後、カミュスヤーナはこちらを睨みつけた。

 右の瞳だけ色が赤くなり、髪の色は私が奪う前の色、プラチナブロンドに戻っていた。

 魔力が完全に回復している。なるほど、アメリアから魔力を奪ったのか。

 アメリアは魔力を奪われて、意識を失ったのだろう。翼が現れたのは、翼を身体の中に収めておくのに魔力が足りなかったからだ。

 もしかしたら、あの娘の魂も、アメリアの方に移っているかもしれぬ。


 アメリアが意識を失ってしまったから、この余興の続きはできないが、このまま、カミュスヤーナを抑えこめば、こちらの都合のいいように進められそうだ。

 エンダーンは、カミュスヤーナが、あの娘の魔力を大部分取り込んだという事実を、軽く考えていた。

 天仕の血を引いている娘だ。

 魔力が少ないわけがなかった。


 エンダーンに向かって、カミュスヤーナが野獣のように吠えた。

 そこから跳躍し、エンダーンに向かって飛びかかる。

 気が付いた時には、カミュスヤーナに押しつぶされ、エンダーンの身体は床にたたきつけられた。

 エンダーンが先ほどまで腰かけていた椅子も、その衝撃で、部屋の端まで吹っ飛んで、破壊された。


「ぐぅっ……」

 強い衝撃に息が止まる。

 カミュスヤーナは、エンダーンの身体の上にのしかかり、圧を加えてくる。

 左手は自由になったので、カミュスヤーナの頭に向けて、衝撃波や熱波を打ち込んだが、まったく効いている様子がない。

 エンダーンのむなしい抵抗を見て、カミュスヤーナはにやりと笑むと、彼の口元に右の掌を押し当てた。

 唇に硬い感触があたる。

 そして一気に魂や魔力が、口元に当てられた掌の方に引きずられた。

 カミュスヤーナは、エンダーンの魂や魔力を奪おうとしているのだ。その力はすさまじく、抵抗できない。

 エンダーンが意識を失うのを、カミュスヤーナは、その赤と青の瞳で言葉なく見つめていた。

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