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目が覚めたら夢の中  作者: 説那


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回想 彼の告白2

 その日は澄んだ青空でした。

 フィラネモはそんな青空に負けじと、咲き誇っていました。

 フィラネモの丘の一角に大きな木がたっており、その木陰に身を置き、美しい丘を眺めます。


「あの、カミュスヤーナ様」

「なんだ?」

「本日、アルスカイン様はご一緒されなかったのですね」

「……誘ってはみたのだが、二人の逢瀬を邪魔するつもりはないので、遠慮します、と断られた」

「二人の逢瀬ですか……?」


 カミュスヤーナ様は私に見つめられているのに気づくと、わずかに顔を赤くして視線をそらしてしまわれました。


「アルスカインは聡くてな」

 カミュスヤーナ様は、私の水色の髪を優しくなでてくださった後、大きく息を吐いて、私を見つめました。

「テラスティーネ。話がある」

「はい、なんでしょう?」

 私は小首をかしげて、カミュスヤーナ様のお言葉を待ちます。


 カミュスヤーナ様は言葉を続けることをためらわれているようでした。自分のこめかみに手を当て、うーんと唸っています。

 ようやく決心したように私を見つめられます。その視線の強さに、私の鼓動も高まるのを感じました。


「私は、テラスティーネ、君が好きだ」

「!」

 私を見つめるカミュスヤーナ様のお顔が赤くなり、私の顔も合わせて赤く熱を持つのを感じました。のどの渇きを覚えます。


「ずっと私のそばにいてくれないだろうか。君のことは私が幸せにする」

「……はい。喜んで」

 カミュスヤーナ様は私の言葉にそれは幸せそうに笑って、私の背中に手をまわし、自分の胸元に身体を引き寄せられました。

 カミュスヤーナ様の早い鼓動を感じます。きっと私の鼓動も同様に早くなっていることでしょう。


「テラスティーネ」

 カミュスヤーナ様のかすれた声が、私の耳元で響きました。

「はい」

「そなたに口づけてもいいだろうか?」

「……はい」

 恥ずかしくて、カミュスヤーナ様の顔が見られません。


 目を伏せていると、カミュスヤーナ様の身体がわずかに離れ、私の頬から頤に沿って、彼の手が当てられました。頤を上に向けられてしまい、私はカミュスヤーナ様と目を合わさざるを得なくなりました。

 目尻に赤みが差し、赤い瞳には強い光が宿っています。


 なんて、きれい。


 赤い瞳に視線が吸い寄せられ、緊張から私は身体をこわばらせました。

 近づく目が軽く伏せられました。長いまつ毛。鼻先が触れ合うほどに近づいて、私は唇にかさついた柔らかい感触を感じたのです。

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