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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
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四夜 謎の地下空間

 源先生の後に着いていく俺達。さっき走ってきた長い長い廊下を皆で歩いて行った。


 一体何処に行くんだろう。


 移動してる間も、皆静かでただ歩く足音が聞こえてくるばかり。


 それから、西校舎とは反対の東校舎に繋がる階段を下に降りていく。俺達のクラス1年霊組は、1階にある。けれど、西校舎に地下へ続く階段はなく、どうやら東校舎だけっぽい。


 てか、学校って地下あるんだな。


 下に続けば続くほど、冷たい空気が肌に染み渡り寒くなった。何だか、幽霊や妖が好みそうな空間だ〜。

 そして、地下へと続く階段を降り終えたその先には、


「!!」


「さ、着きましたよ!」


 真っ黒な闇が永遠と広がっていた。


「おい‥‥何だここ」


「めっちゃ暗いっスね、何か不気味っス」


「光も何もないわね〜。寒いし凍えちゃいそうだわ。心待ちゃん平気かしら?」


「別に、平気ですよ。てか、茉凜(まりん)さんは寒さの耐性あるでしょう」


「椛‥‥、ここすごく暗いよぉ‥。怖い‥、灯籠の灯りだけしかないから不気味だよ」


「ふん、お前、ビビリなんだな。猫宮一族のくせに」


「んにゃ!幸気ちゃんには言われたくない!」


「"ちゃん"は余計だ!」


 隣で鈴と幸気ちゃんが、何やら言い争いしているみたいが俺はただ、限りなく続く暗闇にずっと見惚れていた。


「初めて見た‥‥、こんなに暗い場所」


「ですよね!僕も初めて見た時驚いちゃいましたよ」


 俺の率直な感想に、源先生が食いついてくる。


「きっと、こんなに暗闇が綺麗だと思える場所は他でもなくここだけだと僕は思います。君もそう思いませんか?」


 そう言う彼に、俺は「はい!」と元気よく返事をした。


 こんな暗く不気味で恐ろしいと思えてしまう世界、何処を探してもきっとここだけ。気を抜いていたら、俺もいつかこの闇の魔物に飲み込まれそうなくらい、危険で最高な場所。ここで、有りとあらゆる禁断の呪文や遊びをしたどれだけワクワクするんだろう。


 それくらい、俺はオカルトに侵されているみたいだ。自分でも驚いている。

 

「この暗闇は、純闇(じゅんあん)と呼ばれ、新月の夜と同じ暗闇を放っているんです。この学校が設立して間もない頃、闇を操る妖怪一族がこれを生み出したと言われているんです」


 淡々と教えてくれる源先生に、皆は成る程〜と興味深そうな顔をした。


「すみませんが先生、ここへ来て一体何をするのですか?」


 すると、眼鏡をかけた落ち着きのある少女が質問をした。確かに、着いてこいと言われるも何をするかなど先生から言われていなかった。


「あ!僕としたことがうっかり‥‥。やるべき事をやらなくてはいけませんね。いけないいけない!」


 そう言って「あはは」と笑う先生に更に頭の中がハテナマークで埋まっていく。


 やるべき事‥?これから一体何をするんだろう?

 もしかして、禁断の遊びを皆でやったりするのかな〜!


「では!今からとある部屋に入ってもらい、皆と怪談話を行います!暮六高等学校と言えば怪談師、怪談師と言えば怪談話すなわち百物語!新入生の入学初日は入学式を行う代わりに1人1話ずつ怖い話を語ってもらい皆でそれを聞くのが伝統行事なんですよ」



 お、おおぉぉぉぉぉぉぉ!!

 怪談、百物語‥‥!ここの学校一らしい行事を今すぐやれるだなんて!!!

 ここは天国ですか?

 そう言えば、登校初日の持ち物に怪談話を1つって書いてあったな。成る程、そう言う事だったのか〜!

 怪談話なんて言うから、色んな怪談集を読み漁ってきた甲斐があったな〜。


「‥‥‥どの話を語ろう‥‥!あぁ、考えるだけでワクワクしてきた!!好奇心が疼く〜!!」


「‥‥も、椛?お前何でそんな目光ってんの?」


「幸気ちゃん、こうなったら椛はもう止められないよ。椛は重度のオカルト好きだから。今度教室でこっくりさんしよって誘ってみたら?快く引き受けてくれるから」


「何を言ってるかさっぱりだけど、要するにあいつはやっぱりやばい奴だったか‥‥」


「うん、だから椛の事を敵に回すのは辞めた方がいいよ。何されるか分からないら」 


「そ、そうか」


 俺が自分の世界に浸っている中、幸気ちゃんと鈴が隣でヒソヒソとそう話してたのは知るよしもなかった。むしろ、2人が話している事さえ分からないくらいだ。


「それじゃ、もう少し歩きますよ〜。灯籠の灯りだけが頼りですから、気をつけてくださいね」


 源先生の言葉に俺は現実へと戻され、更に闇の道を進んで行く。

 

 本当に灯りが、灯籠の光だけだから転ばないようにしなきゃ。

 

 灯りが灯されているほんの小さな道筋を失わないように皆の後をついていく。

 途中顔を横に向ければ、暗闇の中にぽつんと障子襖があった。中もあまり明るくないのか、僅かな光に灯された人影がより目立っていた。

 

 あの中で、怪談話をしているのかな?俺達も同じような所でやるのかな??

 

 考えれば考える程、体がうずうずしてたまらない。


 そんなワクワクとドキドキを胸に秘めながら暫く歩いていると、目の前にさっき見た障子襖が現れた。


 ここの部屋かな‥‥?


 すると、源先生がその扉に手を掛け開く。開いたその先にあったのは、一見誰もが見たことのあるごく普通の和室だった。


「‥‥‥わぁ‥」


 しかし、部屋の真ん中には何挺かの燭台にのった蝋燭が集まって灯されていた。光は蝋燭の炎しかなく、暗い事には変わりなかった。


「あ、着きました!皆さん入ってくださいね〜!」


 源先生の指示に従い、俺達は次々と小さな光が密集された空間へと足を歩んだ。









 













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