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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第二章 暮六高等学校の十四不思議
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十九夜 二年生の呟き(No side)

(No side)

 入学式から数日後。一年霊組による騒動が大分落ち着いた頃のことだ。


「ふぅ‥。これで一件落着って所か」


 木製の長い廊下をコツコツとローファーで鳴らし前を歩く男子生徒-(さがん) 見太(けんた)は"はぁー"と溜息を吐く。

 制服の左腕には"生徒会書記"と活気の良い字で記させた腕章を身につけていた。


 (さがん) 見太(けんた)は、此処-暮六高等学校の生徒会員、書記担当している。いつも、生徒達が規則正しく楽しいスクールライフを送れるよう日々努力を惜しまず積極的に行動する見太だが‥。


「ほんっとに、あの人は何をしてるんだか‥‥」


 この時ばかりは珍しく落胆とした顔をしていた。

 見太がこんなに肩を落とすのには訳があった。


 先程、締切の企画書を提出しに生徒会室に向かった。がしかし、案の定部屋には彼が居なかった。しかし、鍵は閉められておらず机と椅子、書類と分厚い本が並べた本棚だけのもの抜け殻だった。


 部屋の真ん中に設置された机の上には彼の読みかけの本であろう物が、ページが開いたままになっていた。


「会長、自分から呼び出しておいて留守はないだろ」


 全く、自由奔放なのも大概にして欲しい。確かにこんな事は数え切れないくらいあったがそろそろ直してくれないと困る。見太は本気でそう思っていた。


「今年で生徒会長の役割も終わりなんだから‥あの人も偶には生徒会長らしい事すれば良いのに」


 ブツブツ独り言をかましながら机に書類を置く。それと、"書類置いておきますね"と書き置き紙を残して生徒会室を後にした。


 そして、廊下を歩いて現在に至る。


「‥そう言えば、自由奔放と言えば‥」


 見太は入学式で出会った淡い青髪の少年の事を思い出した。確か、春夏冬 椛くんと言っていた。

 この学校の在校生になってそれならは経つが、数々の妖怪や奇人と接したり、祓い屋の家系の人間とは関わってきたが、彼のような人間とは滅多にない。


 椛みたいな人達は、人間専門の高校にでも進学するのだと思っていた。皆自分達を忌み嫌う者が多いからだ。けれど、椛の口から出た発言は真逆だった。


「まさか、あんなに妖怪や奇人に好意的だったとはなぁ‥。思わずびっくりしちゃった」


 それもそうだ。妖怪や奇人だらけの学び舎、好き好んで入る人はまずそうそう居ない。


 そんな事をする人は、とてもな"物好き"だし"好奇心の塊"という言葉が似合っている。椛もその類の一つだと見太は考えた。


 それに‥‥あの時保健室に向かう途中、すれ違う生徒達妖怪達に目をキラキラさせながら話しかけていたのを今でも覚えている。一歩間違えたら襲われる確定なのに、期待の目線を送られている彼等はこそばゆい表情をしていたのも覚えている。


 これを、"相当な物好き"や"好奇心の塊"と呼ばないのなら一体何と言うのだろうか。


 頭の中でその当時を振り返りながら、スタスタと廊下を歩き続け自分の教室へと繋がる階段を上がろうとした。

  

「ケ〜ンちゃん」


 頭上からアルト音の声が聞こえてくる。それと同時に見太はピタッと足を止めた。ゆっくり顔を見上げると、階段の先に白い仮面を頭に付けた男子生徒が立っていた。


 白い月色に輝く彼の癖っ毛がさわさわと揺れ、そこから見えるシトラスイエロー色の目を細めた。


「? あ、表裏(ひょうり)


 見太は彼の事を知っていたみたいで彼の名前"表裏(ひょうり)"と呼んだ。


 明保能(あけぼの) 表裏(ひょうり)

 それが目の前にいる彼の名前だ。


 表裏は、見太に名前を呼ばれ嬉しそうな顔をして此方に駆け寄った。


「もう、生徒会の仕事終わったの? あまりにもケンちゃんが忙しそうやったから手伝いに行こかとしたんやけど」


 どうやら表裏は、教室で大量の書類の量を熟こなしそれらを一気に持っていく見太を見たと他の同級生から聞いて、様子を見に行こうとしていたらしい。


「あぁ、今日が締め切りだったからな。早く終わらせないと他の生徒会員に迷惑かけるからできる事は今のうちにやらないと‥」


「そうかぁ〜‥‥。何かあったら俺に言うてよ?」


「あはは、ありがとう表裏。お前には十分手伝ってもらってばかりだな。俺の仕事なのに本当、申し訳ない」


「何言ってるん? ケンちゃんはもっと俺を頼ってええて! 逆に無理したら俺怒るからなー?」


「分かった分かった。今度頼むからその時よろしくなー」


「‥ほんまに分かっとんの?」


 表裏に疑いの眼差しを受けられ、思わず目を逸らす。じーっと見つめられ擽ったい感覚を覚えた見太は"分かったから〜!"と強引に押し返し表裏より先に廊下を早歩きし始めた。


「そうやったらええんやけど」


 当の本人は何だか腑に落ちない顔するも、"しょうがない"と諦めそそくさと行く彼の後を追った。そして、とぼける見太の隣を歩き、


「なぁなぁ〜」


と話題を変える。


「知っとる〜? ()組の生徒、また居なくなったらしいねん」


「! 本当か‥?」


 表裏の言葉に目を見開き彼を見る。その言葉に"うん"と頷き語り続けた。


「噂によるとカガミ様に連れて行かれたらしいで」


 カガミ様。


(またか‥‥)


 その単語を聞いた時、見太は頭を抱えた。



「最近そないな事件ばっかりやね〜。ケンちゃんも気ぃつけやんとあかんで? ケンちゃんこう見えて間抜けなところがあるから」



「失礼だな(笑)。俺はこれでも生徒会に所属してるんだぞ? 何かあったら直ぐに知らせるし自分の身は守れる年にはなった。気にする事はないよ」


「せやけど、これで三人行方が分からんみたいだよ? ほんでも大丈夫って言える〜?」


「‥‥」


 確かに彼の言う通りかもしれない。見太は黙り込み顔を俯かせる。前々から噂を耳にはしていたがそこまで鵜呑みにしていなかった。


 妖怪が居る学校なため、いざこざや施設内の破壊などの事件は何度も起こっているが行方不明など神隠し関連は見太にとって初めてだ。


 生徒会長・副会長あたりがそう言うのを知ってそうな予感があるが兎に角不安でしかない。


(俺は‥表裏より弱い。そもそも俺の能力自体が戦い向きではない。もし一人で動けば‥)


「三人中一人が祓い屋の一族の生徒らしいし、俺らもそろそろ警戒せぇへんといけないな」


「‥あぁ」


「何困った顔しとんの? 安心しぃや、ケンちゃんは俺が守るから、な!」


「‥ありがとな、表裏。でも、まずは生徒会の皆と話し合ってみる。迂闊に動くと被害が拡大するかもしれないから慎重に行かないと。俺達が妖怪であろうと危険は俺達も襲うから、表裏も無理はするなよ〜? 」


(出来れば、表裏にはあまり負担は掛けたくない。いつもあいつには助けてもらっているから)


 そう言い加え表裏を見つめる。深海色の瞳が少しだけ淡みを見せ見太の表情が明るくなったように表裏は見えた。


「せやな。生徒会の言う事に従った方が面倒なことにはなれへんし、俺はケンちゃんを信じるよ」


「ありがとう、てか、お前そんなに俺の手伝いしてくれるなら生徒会入った方が良かったのに」


「えー? あそこ変人ばっかりやん。悪いけど俺はマトモで居たいねん。堪忍な〜」


「おいそれだと、俺が変人の類たぐいに入ってるみたいじゃねぇか」


「まぁ、ケンちゃんが生徒会長になってくれれば考えてあげるよ」


「はぐらかすなよ」


♫♫♫



「あ! (さがん)さぁーん、明保能(あけぼの)さぁーん!」


 二人が話していると向こうの方から新しい声が飛んできた。振り返ってみれば、男子生徒が此方に走ってくる姿が見えた。

 

 きめ細やかな白い肌を出し、艶やかな金色の短髪を靡かせ、爽やかな笑顔を見せて走ってくる彼はまるで白馬の王子様のようだ。


 初対面の人からすれば、異国からやってきた王子様と感じる者がほぼ。


 しかし彼と同級生の二人からすれば、彼は王子様の"お"の字もないと感じている。


 強いて言うなら、残念な王子様だ。(王子様の"お"の字あるじゃないかw)


「あれは‥」


「ホナちゃんじゃん」


 "ホナちゃん"こと、金屋敷(かねやしき) 怖無(ほな)は二人に自分の姿に気付いてもらった事で更に走るスピードを加速させる。


「おーい、廊下は走るなよ〜。転ぶぞ〜?」


「あっ! すみませーん!」


 見太に言われるも走るのをやめない彼。果たして本当に分かってるのだろうか。見太は若干呆れ顔をした。


「ちょっとちょっと聞いてくださいよ!! また生徒が行方不明になったんですよ! しかも今度は二年聻組の方が!!」


「(やっぱりその噂は広まってるのか‥)てか、怖無。少し落ち着け、御曹司ってのはこういう時こそ冷静になるイメージがあるんだけど‥」 


 そう、怖無は正真正銘金屋敷組のお坊ちゃんなのだ。しかし、先程のはしゃぎ声はその豪華な雰囲気を覆るような無邪気さがあった。


「そーだよ〜? ホナちゃん、そんなに興奮しちゃあかんで。余計にポンコツが出ちゃうよ」


「こら表裏」


"余計なこと言うな"と彼に失礼な言葉を掛けた表裏に注意する。しかし、当の本人はそんな事お構い無しに声をワクワクさせた。


 今自分が下に落とされた事分かってるのか?

見太は怖無に疑問を抱きつつ彼の話を聞く。


「それより二人とも! 私の話を聞いてください!!」


「はいはい、なぁに? ホナちゃん」


 表裏が問うと"ふっふっふっ‥"と何やら嬉しそうな表情をしていた。


「じゃじゃーん! これで‥‥これで‥! 皆様を救えるかもしれないんです!!」


「「これで?」」


 見太と表裏が同時に声を張り上げ見つめた先、怖無の手には"魔導書"と表紙に書かれた本があった。


(本当に、怖無は御曹司‥だよな?)


 しかし、見太達からすればその本に期待の眼差しを向けたただの無邪気な子供に見えたのは言うまでもない。






〈新キャラ〉

明保能(あけぼの) 表裏(ひょうり)/男


金屋敷(かねやしき) 怖無(ほな)/男




はい、作者です!

遂に第二章です〜! ですが、最初の回はno sideとなってます。実は、この作品書いてる当初からこうしようと決めていました!


そして、新キャラ二人出てきましたね! 


彼等も見太と同様妖怪の種族に入ります。


表裏くん、関西人なので大阪弁で書いたんですけど難しすぎる‥。何かおかしい所あったら報告してくれると助かります‥!


そして、次回から椛達登場させますのでよろしくお願いします!


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