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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
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十七夜 怪談会のあとさき 2


「怨‥念」


「あぁ、もう昔の話だな。女は若くしてこの世を絶ち、生前の恨み辛みの未練を残して怨霊化し沢山の人間や妖怪を殺めていった。そして、これ以上被害が及ばない様強力な陰陽師が彼女を"逢魔ヶ(おうまがどう)”に閉じ込めた」


「逢魔ヶ道‥‥?」


 首傾げる俺に源先生が教える。


「青行燈を率いる魔物達が住み着いてる異世界のことです。逢魔ヶ道に潜む者達は現世に現れては、人や妖怪を攫い殺めるんです。彼女は、怪談会で最後の話を語り合えた時に現れる事が多いため"青行燈"と呼ばれる様になったんです」



「青行燈、彼奴あやつはこの学校の唯一の汚点じゃ」



「汚点‥‥」


 ふと脳裏にあの女の表情が映像として流れ込んだ。青く死んだ長い髪が俺に絡みついたあの時、ちらりと覗いた彼女の瞳が俺を睨みつけていた。


 それから、俺に対して謝罪をした時。


"ワタシヲキライニナラナイデ"



「‥あの人は、汚点なんかじゃありません」


「!」


「‥‥ほう、そんな事分かっておる。人を殺める奴らに情を持ち、信じていた者に殺されて消える哀れな人間共を。本当、実に愚かだ」


「愚かじゃないです! そんな事」 


「でも、お前さんは襲われた時"あぁ、自分は此処で死ぬんだ"と妖に対し一つの恐怖を感じたのは事実じゃろう?」

 

「! でも、俺はあの人が悪い怪異だとは思わないんです! だって彼女、とても悲しそうで悔しそうな顔をしていた」


「春夏冬くん‥‥」


 自分の切羽詰まった表情に気が付き担任が心配そうな声で俺を呼んだ。確かに俺も何故こんなに焦っているのか分からない。


 けれど、あの人がそんな風に"汚点"だと後ろ指を指されるのは何故か気に食わないのだ。


「源先生も信じてくださいよ! あの人はそんなんじゃない! だから‥‥だから!! 俺は‥!!」


「‥‥そうですね。あの方はきっと何かに苦しんでいる、そうなのかもしれません」


「じゃあ‥((「ですが」


「これだけは肝に銘じてください。妖は良い奴ばかりではありません。人間に温厚な態度で接する者も居れば、人を恨み憎み殺める者も存在します。春夏冬くんは先程、あの怪異に殺されかけた。悲しい事ですがこれが現状なんです」


「‥‥」


「妖は人より優れた力を持っています。だから、弱者が強者に刃向かったら真っ先に処させるのは当然の事。僕もこれまで見てきましたから」


「‥‥」


「ですが、春夏冬くんはとても優しい心の持ち主です。そんな人当たりの良い貴方だからこそ多くの人ならざる者達が集まってくるのだと僕は思います。だから、その出会いを忘れないで欲しいし、これからも今まで通り彼等に優しく接してあげてください。そうすれば、貴方人間に心を開く者達も増えてきますから」


「‥‥分かりました‥」


 俺が渋々頷けば源先生も「はい! それで良いんですよ」とにっこり笑った。本当は納得いってないが、今の自分には力がないため諦めるしかなかった。





「‥‥おい、(さがん)


「はい」


 すると、いつの間にこの部屋に居たのだろうか。後ろから男性の声が聞こえコツコツと床を蹴る音が向かってきた。そして、俺達の前に現れたのは一人の男子生徒だった。彼は、制服の左腕に"生徒会"と腕章を付けていた。


「‥? その人は」


「こやつは、(さがん) 見太(けんた)。暮六高等学校の生徒会書記を務める2年生だ」


「初めまして、生徒会書記担当の(さがん) 見太(けんた)です。宜しくお願いします」


 そう言って目さんは軽くお辞儀をする。彼が頭を下げるとサラサラの黒髪が揺れた。

 そして、丸眼鏡をクイッと掛け直す彼を見て少しだけ、恋仲さんを思い出した。


 恋仲さんも丸眼鏡を掛けていたなぁ。あと、怪我大丈夫かな。あの子も結構な酷い怪我をしていたからなぁ。


 にしても‥‥


「生徒会、やっぱり何処の学校でも生徒会はあるんだ‥」


「妖怪達が務める生徒会って何だかレアですよね」



 俺の言葉に、源先生も"うんうん"と頷いてくる。俺は中学まで人間中心の学校に通ってたわけだから生徒会も当然人間中心に運営していた。


 妖怪の生徒会‥物珍しい。

 

 やっぱり、此処は新鮮な所ばかりだ。本当に興味が湧いてくる。"妖怪が運営する生徒会"というワードを聞くだけでも体が疼うずく。ドキドキする。

 

 先程、恐ろしい体験をしたのに更に妖についてもっと知りたいと思ってしまった俺は多分どうかしてるのだろう。でも後悔していない。


 あぁ‥! 

 俺、やっぱり此処に来て良かった!



 胸が高鳴るのを抑えきれず俺は思わず興奮気味の表情をする。


 すると、それを見ていたヒスケ先生が


「全く‥懲りない奴じゃ」


と呆れ顔になっていたのを俺は知らない。そして、気持ちを切り替えヒスケ先生はこちらに来た目さがんさんに話を切り出した。



「所で、校長はどうした?」


「あの方は先週から冥界めいかいに旅行ですよ」


「じゃあ神野(しんの)は? あやつは流石にいるじゃろ」


 ヒスケ先生の言葉に目さんは終始「はぁ‥」と溜息をついた。


「ヒスケ先生、生徒会長が神出鬼没なのは存じてますよね? 全く、会長あの人ったらこの時に及んでも現れないんですよ。今日は新入生の登校初日ですのに。副会長は別の仕事で居ませんですし」


「お互い家族でもないのにその自由奔放な所は似ておるのぉ。本当胃が痛む(妖怪としての実力は上級なのじゃがなぁ‥‥)」


「胃がキリキリするんですね。可哀想に‥ストレスですか? 禿げますよ?」


「やかましいわ、あと儂はフサフサじゃ」


 何やら、目さんに向かってキレているヒスケ先生。一体どうしたのだろうか。不思議に思うがそれよりも俺はとある事が気になっていた為源先生に聞いてみる事にした。



「本で読んだことあったのですが、この世界は冥界と繋がっているって本当なんですね」


「はい、幽霊でも現世に住みやすくする為に時代は進歩しましたから。実は、幽霊が現世に住むには冥界で許可証を書いて提出しないといけない規定ルールがあるんですよ」


「へぇ〜、そうなんですか! 詳しいですね源先生」


「此処に来る前、色々勉強しまして‥あははは」


「お前さんは上からの命令じゃなかったかい?」


「ヒスケ先生それ以上は禁句ですよ! 企業秘密ですから!」


 どうやらそれ以上の話は"タブー"と念を押され渋々諦める。しかし謎が少しでも現れたら検証をしたくなる癖があるので俺が「一体どんな内容何ですか?」とこっそり聞いて見た所、


「後で話のネタとして話しますから、ね?」


なんて言ってはぐらかされてしまった。


「目、春夏冬を一度保健室で診てやってくれ。もしかしたら、青行燈の呪まじないがかかっているかもしれない。まぁ、彼の体から妖力などは感じなかったがな。念のためだ」


「あ、はい。分かりました」


「それと源、お前さんは少し儂と話をしようか」


「僕ですか? 是非是非!」


「じゃあ、春夏冬くん行きましょうか」


「は、はいっ」


「春夏冬くん、僕は少しだけ彼とお話しするので保健室で診てもらったら先に教室に戻ってください」


「分かりました! ‥‥源先生!!」


 俺は一度背を向けるも直ぐに、源先生に視線を戻す。とうの本人は、俺の声に不思議そうな顔をして見つめていた。


「ん? 何か忘れ物ですか?」


「いえ‥あの、俺絶対に妖怪みんなの事裏切りません! さっきのアレは初めての出来事でびっくりしましたけれど‥これで怯む俺は俺じゃないです! 寧ろ、もっと皆と居たいって思いました!!」



「春夏冬くん‥」


「俺、やっぱり此処に来て本当に良かったです! もっとクラスの皆と怪談を語り合いたいし源先生から沢山のこと学びたいです! だから‥‥‥これから宜しくお願いします、源先生!」



「それでは失礼します!」 部屋中に響くように声を発し2人にお辞儀をする。そして、目さんの背中を追い生徒指導室から離れた。








 廊下にて。



「へぇ〜。人間が此処に来るなんて珍しいもんだ」


「あははは、やっぱり俺みたいなのが来るのってレアなんですかね‥?」


「うん。自分の知り合いでも人間の奴は指で数えられる位しかいないよ。実際、俺もこんな見た目だから人間だって舐められる事あるけど人間じゃないから」 


「ゑ?!」


 まさかの、目さんも妖怪だとは‥。

お久しぶりです。

2ヶ月以上投稿ができずに申し訳ありません。

カクヨムの方を投稿優先にしていたのと、リアルが多忙だったので投稿することが難しい状況でした。


カクヨムで更新してきたものが結構溜まってきたので、冬休み期間に投稿したいと思います。


よろしくお願いします!



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