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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
30/43

十三夜 ハプニング発生(?)

「‥‥と、言うわけで以上で『怪談・十二物語』を終わりにします」



 蝋燭一本の灯りを頼りに、美留町さんは俺達の顔を見ながら閉会の言葉を告げた。




「何か、初めは怖かったけれどあっという間だったよね」



「そうだよね鈴!あ〜あ、もっと皆が語る怖い話聞きたいな〜」



「ま、これからウザいくらい語り合うッスから気にすることないッスよ〜」



「ええ、そうね!皆で頑張りましょ〜♡」



 俺の言葉に、紺太郎くんと氷見谷さんが頷く。



「てか、俺らまだ登校初日でこんなに意気投合してるのある意味すごくない?!」




「怪談会での出会いなんて相当ありませんから。これも何かの縁でしょうね」



 そして、影京くんは興奮しながら"すげー!"と声を上げ、恋仲さんは静かにそう答えた。



「ま、まぁお前らと仲良くしてあげないこと無いけど‥‥?」



 隣に座っている、幸気ちゃんは顔を桃色に染めそっぽ向く。



「お、何だ何だ〜? 幸気ちゃん顔真っ赤じゃーん」



「ふふふ、照れ隠しですね〜♪」



「う、うるさい/// 」



 二人にそう言われ幸気ちゃんは更に、ほっぺを真っ赤にした。灯りが一本の蝋燭だけなのに彼の元の肌が真っ白なせいか頬の中心から濃い色が広がって見えるのがよくわかった。幸気ちゃんは所謂ツンデレなのかもしれない。



 ふふふ、幸気ちゃん顔真っ赤だな〜。可愛い。


 なんて思いながら微笑んだ。すると、反対側の方から"うーん"美留町さんが唸り声を上げた。



「遅い‥‥」



「雨音ちゃんそんなに難しそうな顔をしてどうしましたか〜?」



 森咲さんが、美留町さんの顔を伺う。彼女は、何やら険しい顔をしていた。



「先生達がまだ来ない‥‥。もうかれこれ10分経っているのですが、霜に電話をかけても繋がりません」



 "困りました‥"と小さく呟き彼女は、再びスマホを耳にかざした。



「えーっと、確か先生達は別の部屋で俺達の様子を監視してるんだよね?」



「はい、此処は学校の地下にあたる所ですが、電波回線が悪いはずはありません。この学校は、インターネット回線が全体に広まっていますし」



「もしかしたら、他の生徒達が使ってて回線が混雑しているとか?」



「それもあるかも知れませんが、行事の実行中時はスマホは使用禁止です。使えるのは、休憩時か行事終了後。もし仮に終わっているのなら普通、こうやって皆さんと話している間でも左右の部屋から少しの話し声や音が聞こえても可笑しくありません。それなら何故外から他の生徒達の声や足音は聞こえないんですか?」



「‥‥た、確かに‥‥」



 顔面蒼白になる皆に、続けて彼女は口を開く。


「皆さんも、初めの頃は聞こえていたでしょう? 隣の部屋で他の生徒らの話す声が」



 確かにそうだな。 

 

 俺は、美留町さんの問いかけに首を縦に振った。


 美留町さん達が怪談を話している時、左右の部屋からボソボソと何かを喋る声は多少耳に入ってきた。怪談を語るときは皆静かになるから、小さな音でも目立って聞こえるものだ。



「‥‥それ、色々とまずくね?」



「「‥‥‥‥」」



 影京くんがそう発した途端、先程の和気藹々とした雰囲気から突然お葬式のような静けさが俺達を襲った。確かに、外が恐ろしいくらい何も感じない。先生や霜さんが来る気配も感じないし、足音も聞こえない。



 何か、向こうでトラブルでも起こったのかな‥‥?



「もしかしたら怪異の仕業? と言うことは俺達今怪奇現象に出くわしてる真っ最中‥‥?! 何それ物凄く素敵だ!!」



「ちょっと椛怖がらせるのやめてよ!! てか、素敵とか言ってる場合か!」



「ふふふ〜、ハプニング発生ですね〜♪」



「森咲さん意外にこの状況楽しんでる‥?」



「いやいやもしかしたら、教師陣営が単に俺達の存在忘れてただけって言うのもあるじゃん?!」



「でも、何だか外が物凄く静かだわ‥‥」



「そうですね。もしかしたら、別のクラスはもう怪談会を終えたのかもしれませんね。ですが、美留町さんの言う通りこの静かさは異常すぎます。例えるなら‥‥、"無音"とでも言っておきましょうか。生き物にとって"音"という存在は生きる上で欠かせませんからね」 



「やっぱりそう感じちゃうわよね! 良かった〜、心待ちゃんと同じ考えで。違かったらどうしようかと思っちゃった!」



 ほっとした顔を見せ、氷見谷さんは恋仲さんの長い腕にそっと絡み寄せた。本当に、彼女は恋仲さんが大好きなんだな。



「てか、どーするんスか? これから‥」



「まぁ、俺達の監視してるなら行事が終わってる事知ってるもんな。にしては、遅すぎるな」


 ただ単に"遅すぎるだけ"ならいいんだけどな〜。



「まさか、あの人達そんなに遠い所にいる訳?! 本当、信じられない! てか、もっと驚きなのはこの地下空間の造りだわ! どーなってるの?!」



「幸気ちゃん、声すごく大きいよ。耳がキンキンする」



「はぁ〜? 鈴の分際が僕に口答えしないでくれな〜い?」



「幸気ちゃんこそ、小っちゃいもふもふの丸々のくせに!」



「もふもふの丸々〜?! こ、こいつぅ‥‥!」



「はいはい〜、鈴と幸気ちゃん仲良くしようね〜」


 

 隣で、幸気ちゃんと鈴が何やら騒がしいので俺は2人の間に入って宥める。幸気ちゃんの真っ白な髪を撫でれば、「お前まで、チビ扱いする気か?!」と何故か怒られてしまった。


 


「しょうがねぇ‥‥先生呼びに行くか」



 すると、低い声が聞こえてきた。そして、その声と共に彼方此方とバラバラだった視線が一斉に同じ方向に集中さた。

 声の主は、結羅くんだった。暗い空間の中で彼が立ち上がろうとしていた。



「な、絲目お前正気かよ?!」



「仕方ねーだろ、こんな暗い所いつまでも居る訳にもいかないんだから」


 絲目くんは入り口の方へ向かい襖に手を掛けようとした。それを遮るかのように、美留町さんが 「待って」 と言葉を投げつけた。



「待ってください絲目さん、貴方1人では危険です。私も行きます」




「お前は此処に居ろ。何か遭ってからじゃ遅いからな。祓い屋の血を引いているお前なら尚更、妖怪なら少しの耐性はついているが、妖力も攻撃の耐性も持ってない人間がこのクラスには居るんだ。もしそいつが命を落としら‥‥、何となく結果はつく筈だ。お前だって、祓い屋の名を汚したく無いもんな。しかも美留町家の一族だからな〜」



「‥‥それは‥‥」



「ま、理解したならお前はここに居ろ。その方がお前のためにもなるからな」



 絲目くんは、美留町さんの方を見ながら口を開きを強く睨み付け釘を刺す。彼を見た美留町さんは唇を噛み締め黙り込んだ。



「‥っ」



「待て待てよ! 本当にお前1人行くつもりなのか‥? 馬鹿なのか?!」




「少なくとも、お前らよりは頭が冴えてる自信はある(即答)」




「あれ? ちょっと今サラッと俺達ディスったっスよね? ねえ?!」



「へぇ‥‥、お前いい度胸してんじゃん」



「兎に角、無闇に動いたら碌でもない事になる。大勢で行動するより、誰か1人で行った方がダメージ少ない。そこには妖に慣れている祓い屋も居るし安心できるだろ」



「ちょっと、アンタ聞いてんスか?!」



 紺太郎くん達がギャーギャー騒ぐ中、彼にお構いなしに「俺は行くからな」と、絲目くんは再び襖に手を掛けガラガラと勢いよく開けた。

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