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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
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十二夜 青薔薇の秘密

 俺が通っていた、中学校-月野中学校は青薔薇が咲いて綺麗な学校と評判だった。廊下に青薔薇の絵画が飾ってあるし、教室にも青薔薇の花瓶が添えてある所が殆ど。


 中でも有名なのが、青薔薇が沢山咲いた大きな庭だった。そこに、休み時間や昼休みに生徒や先生が出入りする人気のある場所になっていた。


 俺も何度か友達とそこに行ったことがあるよ。綺麗な青が一面に広がっていてとても美しかったな〜。


 文化祭とか、青薔薇鑑賞会というのもあるし青薔薇の魅力について語り合う青薔薇部と言った変わっている部活も存在していた。




 それくらい青薔薇が有名な場所だった。


 

 けれど、綺麗な花には棘がある。そのようにこの学校と青薔薇を結ぶ関係は俺的には、1番興味が惹かれた話だった。

 



 その内容はこうである。



 この学校が、開校して間もない頃。2年のクラスにごく普通のお花が好きな少年がいた。彼は、ガーデニングが趣味でよく植物図鑑を見たり学校の花壇に水やりを好き好んで行っていた。


 

 特に少年は、薔薇が大好きだったみたいで花壇に薔薇が咲いた時は物凄く喜んだそう。



 赤薔薇、黄薔薇、白薔薇‥‥色とりどりの薔薇が自分の視界一面に広がっているのが嬉しかった。



 けれど少年はふとある事を思った。



      "青い薔薇がない"



 どれだけ色んな薔薇が有ろうとも、青色をした薔薇だけは何処にもなかった。青色は色の中でも欠かせない色の1つ。そう思っていた彼は不審感を覚えた。



 なので彼は図書室の植物図鑑を再度読み返した。ですが、バラ科の部分を何処探しても青薔薇という名が表記されているのはなかった。



 それから、少年は行きつけの花屋さんに向かった。そして、よく話す店員さんに


「青薔薇はありますか?」


 と声をかけた。しかし、店員さんは首を横に振った。



「青い薔薇はね、存在しない花なの」



「‥え?そうなんですか‥」



「うん。確かに、赤薔薇や黄薔薇はあるのにどうして青はないのか凄く気になるよね。でも、咲いたら本当に綺麗だろうな〜」



 その言葉に少年は衝撃を受けた。まさか、売ってないんじゃなくまだこの世に存在しないだなんて。信じられなかった。少年もまた、青薔薇が物凄く気になっていたから余計にだ。



 そして、詳しい話によると青薔薇は存在しない花なため、花言葉が「不可能」や「この世に存在しないもの」などとマイナーなものばかりだった。


 


「青薔薇が存在しないなら、作ってしまえばいいんだ」




 しかし彼の青薔薇への執着は浅いものではなかった。少年は自らこの手で咲かせようと考えていたのだった。



「まだ、誰もみたことがない花青薔薇を僕が咲かせて見せる‥‥!」



 

 その時から少年は、青薔薇を咲かせる実験に没頭し始めた。勿論、花の世話は欠かさずに行いそれ以外は青薔薇への探求に夢中になっていた。最初は、白薔薇に青の着色料をつけたりと単純な作業から始めた。理科の先生に手伝ってもらったりもした。




 だが、どれも良い結果を出すことは無かった。



「いや、まだ諦めるのは早い‥‥!!」



 それでも少年は青薔薇を求め続けた。どれだけ、先生に諦めなと言われようと彼の情熱は燃え尽きることはなかった。クラスの皆に無駄だと馬鹿にされても彼は辞めなかった。



 そんな彼を見て苛立ったのだろうか。ある日の事、研究に没頭する彼に対して癪に触ったのか1人の男子生徒が飾ってある綺麗な白薔薇の花瓶をわざと落としてみせた。バリーンっと大きな音を立て花瓶は割れた。その拍子に白薔薇も無造作に床に放り投げ出された。



「?!」



「お前見てるとイラつくんだよ。いっつも無駄な事やりやがって」



 そう言って、花弁を踏みつけバラバラにした。あの白薔薇は少年が大切に手入れをしていたものだった。一度萎れていたのを何とかして元気にさせた時は、とても喜んだ大事な花だった。



 それを簡単に踏み躙られ、頭が真っ白になった。



 そして、少年は落ちた花瓶の破片を掴み、



「僕の大事な花に手を出すな‥‥!!」



 そう言って男子生徒の首筋に突き刺した。



「‥‥がはっ‥‥あぁ‥‥?!」



 刺したところから赤い液体が湧き上がった。痛みで苦しむ彼を、少年はお構いなしにどんどん刺していく。その光景を見ていた他のクラスメイトは、悲鳴を上げる者や先生を呼びに行く者、腰が抜けて蹲っている者などパニック状態になっていた。



「う‥‥‥や‥‥め‥」



「‥‥‥」




 そんな状況なんて気にせず、少年はひたすら彼に攻撃した。身動きが取れないようにと、馬乗りになり噴水のように溢れ出てくる血で手が真っ赤になった。男子生徒は、赤い泡を吹いてゴボゴボと声を漏らした。それでも、少年は構わずにいた。

 


 そして、先生達が教室に辿り着いた時にはもう、床が血の海と化していた。その先には、ぐったりと息をしていない青褪めた顔をしていた男子生徒学生、その上に馬乗りになっている血塗れの少年がいた。

 

 彼等はその光景を見て、目を見開き開いた方が塞がらなくなった。



 少年はただぼんやりと動かなくなった彼を見続けた。両手は彼の真っ赤な血液で染まり、制服にも返り血を浴びた。



「あ‥あれ、僕は‥‥」



 我に帰った少年は、静かに言葉を呟いた。だが、しかし真っ赤な床の上に一箇所だけ色が違うのを目にした。それはあの男子生徒が、踏んづけた白薔薇。



 どうやら、全ての花弁が散ったわけではなく何枚かくっついていた。その花は、どうやら棘が男子生徒の腕に刺さっていた。きっと、無我夢中でやってしまった時に一緒に刺してしまったのだろうと感じた。そう思いながらじっと見つめていると、



「‥‥え」



 少年は目を見開いた。何故なら、その白薔薇は、



花弁が青く染まっていたからだった。そして、その側には青褪めた顔をした動かなくなった彼の姿。



 その瞬間、彼はとてつもない事を分かってしまった。




 あぁ、人間の生気で花弁が青くなるのか。 青褪めた彼の生気を奪って青く染まる、成る程‥‥その発想は無かったよ‥‥!!





 自分で見つけたそれが奇跡だと感じ胸が熱くなった。同時に、嬉しさと興奮で抑えきれなくなった。少年は高笑いをした。



「あははははははははは!!!」




 あぁ、何でこんな簡単な事に気づかなかったんだろう。どうして分からなかったんだろう。



 血で濡れた両手で、その青薔薇をそっと掴み目を細めた。



「あぁ‥!! これが‥これが僕の探していた本命の花‥‥!! 愛しい愛しい僕の青薔薇だよ!!」



 そう言って、少年は大事に大事にその花を抱きしめてまた狂い出すようにひたすら笑い続けたのだった。

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