十夜 病院に潜む死神様 2
そして次の日。夏菜子さんは、昨日の出来事が頭から離れず、寝不足のまま仕事場へ行きました。荷物を置き、同僚達がいる所は向かうと廊下が何らや騒がしいことに気がつきました。
「あれ‥、一体どうしたんだろう? 」
「あ、夏菜子さんおはようございます!!」
「!瑞樹さん、おはようございます! あの、あれは一体‥?」
同僚の瑞樹さんと出会い廊下の方を指差せば、
「実は今さっき、208号室の土田さんの容態が悪くなったみたいなの‥‥ 」
—明日は、208号室の土田さんの番ね。
瑞樹さんの言葉に、昨日の出来事が頭に浮かび上がります。
そう言えばあの時、愛森さんは"今度は土田さん"だと、確かに言ってました。顔が青ざめ、思わず口に手を当てました。
「‥‥嘘‥でしょ‥?」
「あの人、元々癌を患っていたみたいでそれが原因で‥‥夏菜子さん‥?」
「‥あ、ううん。何でもないわ。私も仕事に集中しなくちゃね、今日も頑張りましょう!」
♫♫♫
そして廊下を歩いていると、再び瑞樹さんに会いました。
「夏菜子さん‥!実は、先程土田さんが息を引き取ったと聞きまして‥‥」
「‥!そんな‥‥」
彼女の言葉に夏菜子さんは驚きました。土田さんが亡くなった事に胸が痛みました。ですがそれよりも何より怖かったのは、昨日の愛森さんの言葉。
あれは、土田さんの死を予言していたのでしょうか。いや、あの出来事があってからそうしか考えられませんでした。
瑞樹さんと別れた後、夏菜子さんは確かめに行くため愛森さんが居る病室へと足を運びました。
「愛森さん」
「あら、夏菜子さん。おはよう〜」
彼女の名前を口にすれば、夏菜子さんの方を振り向き優しい笑顔で迎えてくれた。しかし、私の後ろで何人もの医師と看護師さんが走っていく音を耳にしました。
きっと、土田さんの事だ。夏菜子さんは考えました。
するとそれを見た愛森さんが一言。
「やっぱり彼、亡くなったのね」
「!どうしてそれを‥‥?」
「やっぱり、私ねそう言うのが視えるのよ」
「はい‥?」
頭の中が疑問でいっぱいになる私を見て、愛森さんはクスクスと笑いました。
「でも、周りからは私って霊感あるとか言われているみたいで、気味悪がられてるのよ〜。本当、勘違いされちゃって困るわ。私が視えるのは、死神様なのにね〜」
「‥‥‥!!!」
「病院って、死が絡みついてる場所じゃない?死神様ってそう言う場所を好むの。死期が近い患者さんの所へ歩み寄るみたい。でも、突然現れたら誰も驚くでしょう?だから私、彼等のお手伝いをしようと思ってね。あ!そうそう〜」
顔面蒼白になる夏菜子さんをみて、愛森さんは続けてこう言いました。
「明日は、506号室の夜野さん。そして明後日は、107号室の吉見さんよ〜。夏菜子さんもこれから忙しくなるわね。本当、病院で働く人達って大変ね〜」
そう言って笑う愛森さんの顔は、とてもにこやかで不気味な表情をしていました。
♫♫♫
それから、土田さんが亡くなった次の日、506号室の男性が亡くなりその次の日は、107号室の女の子が亡くなったと彼女は耳にしました。
そして、夏菜子さんは後から亡くなった2人の詳細を聞きました。
506号室の夜野さん、107号室の吉見さん。それは愛森さんが言った、あの2人でした。
まだ半信半疑で、愛森さんが死神が視えることもあまり信じられません。ですが、この出来事が偶然ではなく‥‥必然だったとしたら‥‥‥。
それを思い出し考えるだけで、震えが止まらなくなりました。
そして、夏菜子さんは愛森さんが皆から死神と呼ばれている理由が何となく理解出来た気がしました。
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