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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
21/43

九.五夜 元気の良い人 (語り終了後) 2

トントン


「‥‥ん?」



 ふと、後ろから誰かに肩を叩かれたような気がした。俺は思わず後ろを振り向くがそこには誰の姿も見当たらなかった。



 ‥‥あれ?

 気のせい?



「春夏冬くん、どうしましたか?」



 自分の行動を不審に思った美留町さんが、俺を見た。



「いや、さっき肩をトントンって叩かれたような感覚がしたから後ろ振り向いたんだけど‥誰も居なくて‥」



「っえ?!早速、怪奇現象じゃないっスか!!怖ッ!!」



 向かい側で、紺太郎くんが顔を青ざめて背筋を震わせた。彼の隣に居た、影京くんも同じ素振りをした。



「‥な、なぁ‥‥。怪談これ‥辞めた方がいいんじゃね?めっちゃ怖ええじゃん。俺達絶対呪われるよ‥‥」



「だから俺達は妖怪なんだから、そう言うのには耐性が多少ついてるだろ?ちょっと何かが起きただけでいちいち騒ぐな」



「絲目くんがそうでも俺達は無理っスよ!!大体妖怪は怖いものなしとか誰が言ったんっスか!!妖怪(おれたち)だって怖いもの一つや二つはあるんっス!! 」



「まぁまぁ、2人とも落ち着きましょ〜♪こう言う時は、リラックスリラックス〜♪」




「そうだな‥ひとまず深呼吸‥‥ってなる訳ねえだろ!!」




 そして、影京くんと同様に怖い怖いと言う方がだんだん増えていった。中には、寒気を感じると言う者も出てきた。確かに少し肌寒くなってきたし、あまり良くない雰囲気も漂っていると感じる。蝋燭の数も残りわずかとなったせいでも有るのだろうか、この空間が段々闇と化している気がする。



 もうちょっと続けたいな。



 皆が騒ぎ出している中、俺はそう心の中で呟いた。


 

 まだ皆の話を全部聞いてない。そして自分の番ではなしい、何よりこのまま途中で終わらせていいのか?



「うーん‥‥、中途半端で解散するのは、なんだか良くないことが起きそうだな‥」




「お、珍しく椛が心配してる。やっぱり、お前もちゃんとした人間じゃん」




「あでも、このまま終わらせたら一体どうなるのかも気になるな‥‥」



 源先生によれば、とても恐ろしい妖怪が出てくるとか言ってたからな。俺的にはそれも凄く気になる。



「やっぱ前言撤回。一度でもお前を見直した僕がバカだったよ、通常運転すぎて逆に安心した」



 幸気ちゃんはそう言って呆れ顔を見せ、周りに視線を戻した。

 

 自分も皆の方に目をやれば、やはり治らない声声。更に色々な方の声が耳に入ってくる。静かな空間が徐々に騒ぎ始めてしまった。



「これで、終わりなのかな」




「残念ながら、それをしてしまうと余計に悪化しますよ?」



 俺が思わずそう口にした時、隣の方からそれを打ち消すような声が耳に響いた。



 声の主はやはり、美留町さんだった。



 皆も彼女の言葉に気付いたのか、それぞれ散らばった視線を一斉に集中させた。彼女は、こんな焦った状況の中でも微動だにせず、澄ました顔をしていた。



「え?そうなの美留町さん」



 俺が首を傾げれば、コクンと頷く。



「はい。数々の条件を守らなければいけない内の一つですよ。"百物語は、途中で終わらせてはいけない" この怪談会が百物語のルールと同じようにしているなら尚更です。11話まで話すつもりなのに、8話で止まるだなんて中途半端でしょう?」




「あ‥‥そうだよね。ここで終わらせんなんて嫌な予感しかしないもんね」



 彼女の言葉に俺は相槌を打った。周りも、「確かに‥‥」などと声を揃える者も居た。




「それに‥‥‥()もまだ、この怪談会を続けたいと言ってますから‥」




「‥‥かれ?」




 影京くんがそう問えば、「ええ」と俺の方を見た。美留町さんは再び口を開き、「春夏冬くん」と俺の名前を呼んだ。



「先程貴方が、肩を叩かれたのは気の所為となっていましたがそれはウソです。そんな事ありませんよ。だって‥‥」





—貴方の方に、彼—隠くんがずっと側に居ますから。




 そう言って、美留町さんが俺を‥‥いや、()()()()()()を見つめ手で示す素振りをする。




 慌てて俺がその方向を見れば、



「‥‥?!」



「‥‥」



 幼い子供が俺の隣でちょこんと正座をして座っていた。




 



 


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