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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
20/43

九.五夜 元気の良い人 (語り終了後)

 鈴は話を終えたあと、蝋燭に揺れ立っている炎にそっと息を吹きかけた。火は、少しの煙を漂わせながら静かに消えていった。



「‥‥挨拶しないと、殺される‥‥ですか」



「怖いわ〜。 これからすれ違ったら挨拶ちゃんとしないと‥‥ 心待ちゃんもそう思うわよね!」


 そう言って、氷見谷さんは顔を青ざめ隣にいた恋仲さんに引っ付いた。


「まぁ、どんな妖怪や人間がいてもおかしくないですからね」



「‥‥何か、これは別の意味で怖いっス。オカルトチックじゃなくて、現実味を感じる話だった」



「凄い、凄いよ鈴!!この話初めて聞いた!!背筋がゾクっとしてとても楽しめたよ〜」



「皆、心霊系の話しているから現実で起こりそうな話をしてみたんだけど‥‥良かった」



 皆からの言葉に、鈴は安堵したような表情を見せた。確かにこれは、実際に起こりそうな話だと俺も思う。"挨拶しない"だけで、殺人を犯すのは聞いたことがない。だが、やっぱり色々な方達が存在していると言うことがよく分かる内容だ。


 怪談は、妖怪や幽霊が出てくるのが殆ど。だから、人間が主犯の話はあまり聞いたことがなかった。


 今まで、心霊系的な話を読み漁ってきたが、こういう物語も悪くない。



 今度、そういう系の怖い話沢山調べてみようかな。



 そう思いながら、俺は膝の上に置いてある例の本に再び手をかけた。そして、丁寧に表紙を開き、紙ペラ一枚一枚捲った。


 

「あ、鈴が話したのが載っているよ!」



「本当?!」


 

 驚いた顔をする鈴に、俺は見開きページを見せた。そこには、前のページ達と同じ形式で"8話 元気の良い人"という題名とその内容が綴られていた。



「わぁ‥‥ 次々に、皆が話した怪談話が集まってくる‥‥ 」



 先程まで、何も書かれていない白紙だけの本がだんだん成長したように感じて俺は嬉しくなった。まだまだ、白紙のページは沢山存在するがこれからが楽しみだ。



「んふふ、皆ありがとう〜」



「あ、春夏冬、めっちゃ笑顔‥‥。まぁ、怪談を話すくらいなら俺達でも出来るしいつでも良いぜ!」



「そうよ〜♡椛くんの力になれて私も嬉しいわ!雪女の話またしてあげる、今度はもーっと怖いわよ〜?」


 


「うあぁぁぁ!ありがとうございます!!怖い話‥‥楽しみだ‥‥!」



 影京くんと氷見谷さんの言葉に俺は嬉しくなり、ニコッと笑った。



「やっぱり、こういうのを喜ぶのって椛くらいだよね」



「うんうん、今日初めて椛お前と会ったけどこんなに個性強すぎる奴には初めて会った」



「あはは、そうかな?普通に接してるんだけど‥‥」




「普通に?!クセが強すぎるよ!!」




「え〜?!そんなに?!」




「そんなに!!」



 ま、まじか‥‥。



 鈴と幸気ちゃんが放つ言葉に、俺は目を大きく開いた。


 俺ってそんなに個性が強いのか。中学の時も、友達から似たようなことを言われた気がする。頭の中でこれまでの出来事を思い出しながら心の中で呟く。



 でもでもでも、怪談好きなのもって夢中になっちゃってついつい周りが見えなくなるんだよね‥‥。鈴達が語ったのは、知らない話ばかりだったからワクワクして聞いていて本当に面白いし楽しい。



 あぁ、他にはどんな話があるんだろう‥‥。もう少しで終わってしまうけど残りの話も胸がドキドキして待ちきれない‥‥!やっぱり、これだからオカルトを研究するのはやめられない!!



 本を大事に抱えて楽しみで頬が上がりニコニコさせた。すると、俺の左肩を誰かがトントンと叩いた。









 


 

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