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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
17/43

八夜 携帯電話番号

 朝日(あさひ)は、高校2年生の男子サッカー部です。小学生の時から彼はサッカーを習い始め、学校の休み時間も放課後の遊びもずっと友達と一緒にサッカーをするくらい、サッカーが大好きな少年でした。


 そして、今日の練習試合でも彼は大活躍しました。


「‥‥!」


 彼が蹴り入れた、サッカーボールが見事に相手チームのゴールに入りました。



「やった!朝日ー!!ナイスシュート!!」



 その様子を見て後ろで、叫びながら喜ぶ親友の桜介(おうすけ)が此方に走ってきました。勢いよく朝日に抱きつき、その衝撃で前のめりになりました。



「お前すげーよ!お前の活躍でもう2点取っちゃったんだぜ!?」



「いやいや、ただのまぐれだよ‥」



「またまた〜、本当は嬉しいくせに〜!」



 そう笑って、朝日の頭をくしゃっと撫でまわしました。


「‥お、おい!やめろよ〜」



♫♫♫



 それから、練習試合も終わり朝日と桜介は一緒に帰りました。

 帰る途中、


「あー‥‥、疲れた〜」



「そうだな‥早く家帰って寝たい」



「って、課題まだ終わってねーよ俺」



「あ、俺も‥‥」



「はぁー‥‥だりぃ〜‥」



 そんな他愛のない話をしながら、歩道を歩いていました。その時、桜介が「あ、そうだ!」と何かを思い出したかのように声を上げました。



「桜介?どうした?」


 朝日は気になって彼に問い掛けると、



「そう言えば俺、めっちゃおもしれー情報聞いちゃってさ〜」


と、嬉しそうな顔をしていました。



「え、何?」



「実はさ、自分の携帯に自分の電話番号、それプラス4を加えて掛けると、"自分が死ぬ直前の声"を聞けるんだってよ」



「‥‥自分が死ぬ直前?」



「そーそー!丁度暇だし、今からやって見よーぜ!」



 そう言って、桜介は鞄からスマートフォンを取り出し電話のアプリを開く。そして、キーパッドの画面を出し、「うーん」と何か考え込みました。



「どーせなら、新島(にいじま)の携帯番号にするか‥‥」


 桜介の言葉に朝日は、ギョッとした顔をしました。


 何故なら、新島は朝日達の学年で知らない人は居ないくらい超問題児だからです。しかも部活は2人と同じサッカー部。何か気に入らない事があると癇癪を起こして、人に八つ当たりするひどい奴です。


 朝日もこの前何もしてないのに"見ていてムカつくから"と、(すね)を蹴られました。全く、なんて理不尽な人です。この前は、田所(たどころ)先生にビンタしそうになりましたし、関わっても面倒な事になるだけです。


 取り敢えず、一緒にいたら必ず最悪な目に遭う事間違いなしの彼に、桜介(こいつ)は今からとんでも無いことをやろうとしている、心の中でそう思いました。

 


「おい、まじでいってんの?自分のじゃないのか」



「いやだって、流石に自分の聞くの何か怖えし‥‥。どーせなら、新島(あいつ)にしよって思って」



「お前メンタルチキンだな」



「な、朝日に言われたくねーよ!とにかく、噂だろうが"物は試し"だ!何もしないで後悔するより、何かして後悔した方が良い!それに、お前だって新島の死ぬ直前の声聞いてみたいだろー?」



「俺は、別に‥‥」


 

 どちらでも良い、そう答える前に桜介は構わずキーパッドに彼の電話番号それと4を付け足しました。そして、受話器ボタンを押して、相手のスマホへと繋げようとします。


 ちなみに朝日にも聞こえるように、スピーカーonにして聴けるようにしました。



プルルルルルルル プルルルルルルル




 着信メロディーが鳴り続ける中、朝日達の緊張感は高まります。



「おい、もし本当に出たらどーするんだ‥?」



「出たら?まぁ、その時は一緒に悲鳴あげて逃げよーぜ〜」



「逃げるって何処にだよ(笑)もしかしたら、死ぬ直前の新島じゃなくて、"今"の新島に繋がったりしてな〜」



「おい!それはめっちゃ怖えよ!!」



 気を紛らわそうと、冗談混じりの面白い会話をしながら2人で話し合っていると、プツっという音が聞こえてきました。



「あれ?まさか、つながった?」



「なぁ、何か話してみろよ」



「え〜?俺〜?しょーがないな〜。もしもーし!!」



 桜介が、元気よく画面に向かって声を発するも向こうからの返事はない。



「なーんだ、嘘じゃん」



「しょうがないよ。都市伝説って、そう言うのが殆どじゃん。信じなければ、怖くないんだし」



「朝日は本当、現実主義者だよなー。ま、もしかしたら噂だけの情報なんだろうし、つまんないのー」



 そう言って、桜介が電話を切ろうとした時です。



—なんだよ‥‥‥見てんじゃ‥ねえよ!




「「!!」」



 画面の向こう側から、振り絞ったような声と共に、



 ドンガラガッシャーン



「な、何だ!?」



 朝日達の後ろから、何かが勢いよく地面に叩きつけられたような音が耳にキーンの響き渡りました。



 振り向けば、車が壁に衝突し煙を漂わせていました。



「え、交通事故‥?」



「ま、まじかよ」



 俺達は後ろの光景に呆気に囚われていると、




—きゃー!!誰か、男の子が!!




— え、やばやばやばい‥‥。あの子車に挟まれているんだけど‥‥!?




—警察はまだかよ!おい、救急車は?!



 周りにいた人達も、悲鳴と動揺しかできずパニックになっています。朝日と桜介は、車の方向を恐る恐る見ました。



「!!」



「な、おい‥‥あれって‥‥」



 その時、2人は目を見開き悲鳴を上げそうになりました。



 何と、車と壁に挟まれている男の子はあの新島だったからです。




 彼は、顔から大量の血を流しぐったりとしていました。片目から血の涙が垂れるのが見え潰れかけていました。そして、下半身を車で挟まれているため見えませんが、原型をとどめていない程めちゃくちゃになっていました。




「‥‥ひぃ‥!!」



「う、嘘だろ‥‥?」



 

 2人は、その残酷な光景が目に焼き付いて絶句していました。身動きが取れず、足がくすみ震えが止まりません。


 そんな時です。さっきまで動かなかった新島の顔が動きだし朝日達をきつくそして鋭く睨みつけました。



 そして、2人に向けて何かを言う素振りをしていました。



 此処から現場までは、少し距離があります。なので、新島の声が聞こえるはずがありません。

ですが、朝日達には新島が何を言っているのか分かってしまったのです。




「なんだよ‥‥‥見てんじゃ‥ねえよ!」

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