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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
16/43

七.五夜 さなちゃん (語り終了後) 2

すみません!

この話飛ばしてました。途中で話が変わってとても意味が分からなかったと思います!

本当にすみません!!

「その本、一体なんですか?」


 美留町さんが俺に向けて発すると、皆の視線が俺の手元に集まった。


「あら〜、とっても分厚い本ね〜」


 氷見谷さんがそう言うも、気にせず俺はただ本の中身をずっと見続けていた。



 成る程、こうやって執筆されるのか。

 本自らが聞き取って書き残すって本当の事だったんだ‥‥。



「まさに、生きてる本じゃん‥!」



 その事に気が付いた俺は、嬉しくなり思わず感激の声を上げた。



 うぉぉぉぉぉ‥!!この本、本当に生きてるんだ!!生きてる生きてる!!もしかしたら、今度は自ら動いたりしてくれるかな!どこかに本の心臓コアとかなかったりしないかな〜!



 俺はひたすらページをペラペラ捲り本の表紙、裏側、中の紙束1ページずつ隅々まで調べようとした。


「春夏冬くん?」



 すぐ側からソプラノ声で俺の名前を誰かが呼んだ。その途端、妄想の世界から一気に引き戻され俺は顔を上げた。




 その声は、美留町さんだった。彼女は、俺を見るなり怪訝そうな表情を見せた。俺がそちらを見れば、「はぁ‥」とひとつ溜息をこぼす。




「‥‥!は、び、美留町さん‥‥?ど、どうしたの‥‥?そんな困った顔をして」





 恐る恐る彼女に尋ねれば、更に不服そうな顔をして、



「それはこっちのセリフですよ。さっきから、本なんか見つめてブツブツ呟いてるのを見たら誰だって不思議に思いますよ」



 「おまけに、目まで光らせて‥」と付け足しまたひとつ息を吐いた。




「椛大丈夫?さっきから1人百面相してて、ちょっと不安になったんだけど‥‥」




「お、お前何してるんだよ!壊れたかと思ったじゃん!!」



 その隣で、鈴と幸気ちゃんも心配そうな顔をして見ていた。



「あ、ごめんごめん‥‥。本にちょっと夢中になってて‥‥あはは」



 いけないいけない、夢中になりすぎて周りが見えなくなる癖がつい出てしまった。



「その本‥なんっスか?ずっと大事そうに持っているっスけど‥」




 向かい側に居た紺太郎くんが本を指さしそう言った。それは、他の人達も同じだったみたいで相槌を打つ者も居た。



「それ、朝俺に話してくれた本?」



「そうそう、鈴に言ったやつ」



「‥‥?椛くん、本それは何か大切なものなのですか?」




「いたってシンプルな本だな〜。何の内容なの?」



 恋仲さんと影京くんが質問する。




「あ、これね‥‥」




 俺は1年前、とある人に出会った事、そして、この"生きている本"について話した。



「えそれって、危ない宗教勧誘の人じゃなくて?」 



「うん、宗教に入ってるような人っぽくなかったよ」



 宗教特有の不思議なものを身につけている様子は無かった。着物を着てたから、旅館に住んでいそうな雰囲気をしてたが特にはない。後は、痩せ細っていたのは印象に残っている。



「なんだか面白そうですね〜♪」



「生きてる本‥‥か」



「‥‥‥」



 どうやら皆もその本に興味を持ってくれたようで、俺も安心した。変な目で見られたらと思うと少し悲しいから。

 


 

「‥それで?」



「へ?」



「それで?その本が本当に生きているのなら、私が話した怪談も執筆されているんですか?」



「うん。ほら」



 俺は、分厚い本を美留町さんに渡した。彼女はそれを手に取った後、丁寧に紙1ページずつ開いていく。そして、捲っていく度に目を見開き、俺を見て"信じられない"と訴えてきた。




「!‥これ‥‥」



「あ、あの‥?美留町さん?」



 そして、まじまじとその本を見つめ続けているため流石の俺でも気になっていった。



「‥‥‥」



「あ、あのー‥‥?」



 あの本に、何か見つけたのかな‥。

 でも、俺が探した時は何も無かったと思うんだけど‥。

 どーしよう、だんだん不安になってきた。




「‥あ、春夏冬くん。すみません、ぼーっとしてました」



 そう言って、本をやっと返してもらった。

 だが、彼女は本を渡した後もそれをずっと見ていて、ちょっとだけ緊張した。




 そんなに気になるかな‥?確かに、普通の本とは特殊だと思うし‥。




♫♫♫



「と、言う事は俺達がこれから話していく怪談もその本によって執筆されるって事だろ?なら、試しにもう1話誰か話して見れば次のページに出てくるんじゃねー?」




「じゃあ、雨音ちゃんの次は私なので話しますよ〜♪」



 影京くんの声に、森咲さんが元気よく「はーい」と手を挙げた。なんだか彼女はとてもワクワクした表情だった。



「う‥‥、あいつ良くこの状況を楽しめるな。まるで椛だ」



 俺の肩の上で、幸気ちゃんは何かをぶつぶつ呟いていた。




「幸気ちゃん、怖いんですか?大丈夫ですよ〜。今から私が話すのはそんなに怖くないので〜♪」



 どうやら幸気ちゃんの声は聞こえていたみたいだが、森咲さんはそれでもにこやかだった。



「(な、何かこの状況を笑えるなんてある意味最強っスね‥‥)」




「な、僕は怖くないし!!どんと来てよ!」




「森咲さん、頑張って!!」




「椛くん任せてくださいね〜♪それでは、行きますよ〜」





—これは、とある少年が中学生の時に体験した話です。



 

 そう言ってまだにこやかな森咲さんは、少し不気味に見えた。

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