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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
14/43

七夜 さなちゃん

小学生の(はるか)ちゃんは、"さなちゃん"というとても仲の良い女の子がいました。

2人は、学校では勿論、放課後も毎日のように一緒に遊んでいました。


 遥ちゃんの両親は共働きで兄弟も居ません。なので、いつも家に帰っても1人でいました。そんな寂しい時に、さなちゃんは一緒にいてくれるのでとてもありがたい存在でした。


 そして、今日もさなちゃんと遊ぶ約束をし、家に帰って荷物をすぐに部屋へと置き、家を出る準備をしていると、家の固定電話がなりました。


 遥ちゃんは急いで、電話を手に取り受話器に向かって話しかけました。



「もしもし」


「‥‥‥」




 しかし、声をかけても向こうからの返事は返ってきません。

 そして、再び遥ちゃんは呼びました。




「もしもし?」




「‥私、さな。今日は用事が出来たから遊べないの。ごめんね。また、遊ぼうね」



 なんと声の主は、さなちゃんだったのです。さなちゃんは、"遊べない"と言ってプツっと電話を切ってしまいました。


 さなちゃんとの約束が無くなり、遥ちゃんはとてもがっかりしました。そして、リビングで本を読んでいると、いつもより仕事が早く終わったという母親が家から帰ってきました。


 しかし、母親は普段とは様子が違く、何だか元気がない顔をしていました。気になった遥ちゃんは、どうしたのかと訪ねました。




「お母さん、具合が悪いの?」




「あぁ、遥。ごめんね‥‥。別に体調が悪い訳じゃないのよ。ちょっと、目の前で交通事故を見ちゃってね」



 母親の話によると、家に帰る途中横断歩道の通りで事故の現場を見てしまったそうです。何でもその交通事故は、とても悲惨なもので被害者は大型トラックに引きずられて亡くなったとのこと。


 そして次の日の学校で、その交通事故の被害者がさなちゃんである事を遥ちゃんは知り、凄くショックになりました。

 

 いつも私のそばに居てくれたさなちゃんはもう何処にも居ない。

 嫌だよ‥‥。そんなの‥‥。


 例の交通事故から1ヶ月が経過しても、遥ちゃんは立ち直ることが出来ませんでした。


 その日も遥ちゃんは、学校を休みひとりで寝ていました。そして、お昼の14時頃、家のインターホンが鳴り遥ちゃんは起きました。


 親は仕事で居ないため家にいるのは遥ちゃんひとり。今は誰とも話したくないので最初は無視していましたが、しつこくインターホンは鳴り続けます。


 仕方なくリビングにあるモニターを確認してみると、


「え‥?」


 遥ちゃんは目を見開きました。

 画面の向こうに映っていたのは、赤いフードをかぶった子供のようで、しかも異常に痩せ細っていたのです。


「だ、誰‥‥?誰ですか‥?」


 恐る恐る尋ねてみるも、返事はありません。


 マイクから聞こえてくるのは、ノイズがかかった雑音のような呼吸音だけ。

 

 流石に怖くなり、警察に連絡しようと思ったその時、遥ちゃんは気づいてしまったのです。



「!!」


 

 その子供には両腕がありませんでした。

そして赤いフードだと思っていたものは、顎から上が押しつぶされた頭だったのです。

 

「い、いや‥‥」


 再びモニターを見ると、そいつは家の中に入ろうとドアノブをひたすら回していました。

 どうして良いか分からず、パニックになっな遥ちゃんはその場にうずくまり気がついた時には床に倒れていました。


「あれ‥‥。私‥」


 どうやら、気を失っていたようです。


 遥ちゃんは、そいつが居ないか部屋中を探し回り、モニターを確認しました。が、もうそいつは居ませんでした。




 その時になって、遥ちゃんはとある事に気づき青ざめました。



「そんな‥‥、まさか‥‥」



 あの子供が着ていた服が、事故当日のさなちゃんと全く同じだったということを。




 



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