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逢魔ヶ高校生  作者: 囀
第1章 入学怪談会編
13/43

六夜 怪談・十二物語 開始 3

「それでは、順序も全て話しましたので、そろそろ始めましょうか!霜さん、僕達は別室に行きましょう」


「かしこまりました」


 源先生は、霜さんと顔を見合わせ立ち上がろうとした。その姿に、皆も困惑の表情をしていた。


「え?え?先生達もやるんじゃないんですか?」


 影京くんが戸惑いながらも、源先生に質問をする。その言葉に、何か思い出したのか話し始めた。


「あぁ、そう言えば言ってませんでしたね!実は百物語って、参加できる人数が限られているんです。百物語を行う時の条件で、3人以上から99人までが入れるのが決まりなんですよ。これからやる入怪は、11人でなので十二物語"とでも言っておきましょうか。この怪談会は、百物語のルールを見本に作られた行事です。そう考えると、3人以上から11人までって事になります!なので、僕と霜さんを含めたら定員オーバーになっちゃいますので‥」


 「うっかりです!」とはははと笑った見せた。


「へぇ〜。そうなんですか!」


 百物語を行うには、人数制限もあるのか。

 やっぱり、限られた条件を必ず守らないといけないと言う所から、百物語がどれだけ危険なのかを思い知らされるな。


「ちょっと、それ早く言ってくださいっスよ!1番頼りになる大人が消えちゃ意味ないじゃないっスか!椛くんも感心してる場合じゃないっスよ!」


 テンパる紺太郎くんに、黒脛さんは宥める。

 

「稲荷神様、どうぞご安心を。例え何がありましたらすぐに私達(わたくしたち)が駆けつけますし、何せ雨音お嬢様もいらっしゃいます」


「いや、そー言う問題じゃねーだろ!」


 黒脛さんの落ち着いた態度に、影京くんが盛大に突っ込んだ。


「大丈夫ですよ、僕達は別室で皆さんの活躍を見れる部屋があるので実質皆さんの側に居るような感じですし!」


 彼がそう言うも、落ち着くわけがない皆。因みに当たり前だが、俺は別の意味で落ち着きがなかった。


「いやいやいや、めっちゃ怖いじゃん!俺達妖怪でもまだ高校生ですよ?新学期早々死ぬのだけは嫌だー!!」


「うわぁ‥‥。凄く怖いな‥‥」


「ふむふむ、中々の試練ですね〜♪腕がなりますよ〜♪」


「わぁぁぁ!更にワクワクする!!」


「椛〜!ワクワクしないよ!恐ろしいもん!!」


「‥‥‥(あーこいつらうるせぇな)」


「どうしましょう‥心待ちゃん」


「‥‥まあ、何とかなりますよ‥」


 そして、次第に皆の声が大きくなり騒がしくなった中。






「皆さん、落ち着いてください」


 静かではっきりとした声が部屋中に響き渡り、騒がしかったのが一気に静寂へと変化する。


「「!!??」」


 俺達がそちらを見れば、声の主は美留町さんだった。彼女は、怒った表情もする事なくただ真剣な目で俺達を見つめていた。


「貴方達、これは遊びではないんですよ?百物語は、呪術や怪異を扱う行事です。一歩間違えたら命を落とす危険があります。今から行う十二物語もそう、百物語と同様油断禁物なんです。もっとしっかりしてください、何しに此処へきたんですか?」


「いや‥‥、それはっスね‥。美留町さんだって怖くないんっスか?!」


「危険だからこそ慎重になれと言ってるのです。どこかの誰かさんのように、好奇心だけで我が道を進むと痛い目見ますからね?」


 そう言って美留町さんは、俺達の方向を見て目つきを鋭くした。そして、ぱちっと彼女と目があった。


 ‥‥‥あれ?今俺、睨まれた?

 ‥‥え?? 俺?


 なんて考えてる間にも、美留町さんは


「霜、私達のことは大丈夫ですよ。安心してください。源先生も」


と2人に言った。


「はい!わかりました!異常が見つかった時は飛んできますから!」


「雨音お嬢様、もし何かあったらすぐ駆けつけますので。お側にいられなくて申し訳ありません」


「良いのよ、これは仕方ないことだから。怪異絡みじゃ、逆らうこともできない。反してしまったらその時点で終わりですから。それに、私は平気ですよ」


 彼女の言葉に、黒脛さんが「雨音お嬢様‥」と心配そうな顔をして静かに言葉を零した。





♫♫♫


 薄暗い空間の中、12個の蝋燭の炎が揺らめく。そして、それらを囲むように輪になって座り込む俺達。

 あたりは、酷く静寂が俺たちを包み込んで、孤独を感じさせるように、冷たい空気が漂っていた。

 

 先生と黒脛さんが、部屋を離れた後からずっと、ざわざわと声がしていた。


「う、うぅ‥‥。本当にやるんっスね‥」


「しゃーねよ‥‥。その時はその時だ!あぁ、まだゲームログインして無いのに‥‥!」


「よりによってゲームが心残りなのかよ。もっとマシなのは無いのか」


「な、絲目お前はどうなんだよ!」


「ない(即答」


「な、ないんスか‥‥」


 向かい側では、紺太郎くんと影京くんが何故かこの世の終わりの様な顔をしていた。そして、結羅くんはそんな2人を見て呆れ顔をしていた。



「皆さん、準備はよろしいですか?」



 そんな中、感の高い声が響き渡った。

 声の主は、美留町さんだった。皆一斉にそちらへと視線を向け、彼女を見続けた。

 小柄で華奢に見えるも、堂々と胸を張っていた。そして俺達を見ている姿は、とても凛としていた。


 その雰囲気に、騒がしかったのもすぐに静寂へと変わった。



 俺は合図をするように、ゆっくり顔を縦に振った。それは、皆も同じだった。



 少女は、皆んなの反応を見て一つの深呼吸を溢した。



 それと同時に、開かれた彼女の目付きが鋭くなった。

 それから、閉ざされた口を再び開いてこう言った。


「それでは、これから『怪談・十二物語』を始めます」


 その瞬間、俺達を閉じ込める暗い空間がより一層闇に包まれたような感じがした。




♫♫♫


「それでは、誰から話し始めましょうか‥」


「自己紹介の時と同じ、美留町さんから時計周りでやれば良いいと思うのですが‥」


 恋仲さんの提案に、彼女もうんと納得した。



「成る程、その方が良いですね。グダグダしている時間が勿体ないですし。では早速、私から話しますね」



—————これは、とある女の子が体験した出来事です。


 そう言って、彼女はひと深呼吸をし再び口を開いた。

次の話から、怪談に入ります!

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