六夜 怪談・十二物語 開始 2
「ルールは、簡単です。1人1話ずつ怪談を話します。そして、話終わったら蝋燭を1本吹いて1人目終了になります。それを11回繰り返し、11本目の蝋燭を最後の人が吹き消せば怪談会は終了になります!」
「あ、そうそう12本目の蝋燭は絶対消してはいけませんよ?」と補足加え強く念を押された。
「え、どうして‥、12本なんですか?てっきり、11ぴったりの方がキリがいいのに」
「百物語のルールは、99話まで語り、99本目までの蝋燭を吹き消す、100話目は話してはいけないんですよ。そして、100本目の蝋燭を何があっても消してはいけない。そう言う決まりがあるんです」
「そうそう!美留町さん詳しいですね」
「この学校からすれば常識中の常識じゃないですか」
「じゃ、じゃあもし最後の蝋燭を消しちゃったらどうなるのかしら‥‥?」
氷見谷さんの心配そうな声、確かにそれは俺も知らない。最後の蝋燭を消したら一体どうなるのか。まだ、分からない。
百物語じゃないけれど館の住人の皆と、一度"出来る限り自分の知っている怪談を話す"という事をやってみた。しかし、ネタが尽きたことや、飽きてしまった方達がいて百話まで続くことはなかった。
噂によれば100話全て語ったら妖が出てくるとか出てこないとかなんとか‥‥。
周りに緊張が走る中、源先生はゆっくりと口を開いた。
「もし、全て消してしまったらですか‥?そしたらですね〜‥‥‥
とても恐ろしい妖怪が皆さんに襲いかかってきますよ〜」
がおーっと獣のポーズをし、いきなり怖い顔をしてそう言う源先生。
「‥‥きゃ」
「はわわ‥‥!?」
「(アホくさ)」
「ひ、ひぇ‥‥」
「おぉぉぉぉお!!」
「(椛だけ喜んでるし‥)」
皆が先生の方を見て、怯える人もいたがその真逆でひどく喜んでいる俺。隣で、見ていた鈴は呆れてきた顔をしていたのは知るわけがなかった。
とても怖い妖怪が出てくるって物凄くワクワクするんだけど‥‥!!是非とも会ってみたいな‥‥!!!
「うわ〜ん、心待ちゃんどうしよう‥。襲われたら助けてね!絶対よ〜?!」
「大丈夫です、分かりましたから、くっつかないでと言ってるでしょう!(力強い‥!)」
「ひ、ひぇ‥‥も、椛助けて‥」
「‥‥‥恐ろしい妖怪‥!一体どんなのだろう‥!!」
「椛話聞いてよ!!」
生徒達の様々な反応に、面白がって「あはは」と源先生は笑いの声を上げた。
「大丈夫ですよ〜。行う手順を間違えなければ、起きる事はありませんから!例え、何かの力が働かない限り異常な事は起きませんよー!」
「だから、安心してくださいね!」そう言ってにっこり微笑んだ。